229 誘拐星
マリエールは宇宙船の回収の指示を出した。この事を配信するといろいろ反応があった。この星の人間から否定的な意見が多かった。
229 誘拐星
マリエールはこの星に不要な宇宙船の回収を指示した。宇宙船は星内の移動にも利用されているから、乗船している場合もある。しかしお構い無しだ。宇宙船の存在自体がこの星にとって意味のないものだと知らしめる行為なのだから。インターネット上に宇宙船を収納した事を載せていく。個体識別の情報も出来るだけ詳細にしていく。反応は激烈だ。
「宇宙人が宇宙船を奪う行為は戦闘行為だ。絶対に許さない。」
とか、
「父親が乗っいた宇宙船が拿捕された。父親を返せ。」
なのである。一つのホー厶ページでは炎上するから幾つかに分けて発信する。返事は出来るだけするようにしている。
「宇宙船がこの星にとって不要な物ため、それを知らしめる行為です。」
とか、
「宇宙船に人が乗船しているかどうか識別しません。宇宙人を誘拐するような人間に人権を主張されるのは不愉快です。」
議論は伯仲していく。
「宇宙船が不要と言う事はバリアを張った連中なのか。」
とか、
「宇宙人を誘拐していたのは一部の連中だ。我々には関係ない。」
とか、
「話し合いを設けましょう。日時、場所を設定していただければ出向きます。」
警察のような動きもある。
「また宇宙船を収納したらご連絡します。」
宇宙船の収納は毎日十数件あり、その度に配信がある。この星にどれ程宇宙船があるか判らないが、消滅する日は遠くない。何が宇宙人を怒らせたか誰もが判る。責任追求をする者、宇宙人を批判する者、絶望感に苛まれる者と様々だ。
ある日こんな書き込みかあった。
「これ以上、宇宙船の捕縛を続けるなら誘拐してきた人間を殺す。」
宇宙人を誘拐したのが原因なら誘拐してきた連中を人質にすればいい筈だと考える者がいても不思議ではない。
「どうぞごかってにと言うしかありません。しかし、それをやっら戦争になりますよ。和睦の方法がありませんからこの星の人間を皆殺しにするまで戦争は続きます。」
これには多くの反応があった。
「和睦の方法を考えるべきです。私達には宇宙人を誘拐した事にあなた達が怒っている事が判っているから、どうやって私達が償うか話し合いが必要です。」
そんな話し合いはしない。
「私達はただあなた達がどんな事をしてきてどんな運命が待っているのか理解して貰う為にこうしたコミュニケーションをとっているのです。急激な死を望むのか、緩慢な死を迎えるのかの選択です。あなた方に希望のある未来はありません。早いか遅いの違いはあっても滅亡しかありません。やってしまった事は取り返す事は出来ません。誘拐は明確な犯罪です。それを容認する政府を選んだのは国民です。それを悔いながら滅びで下さい。」
これはマリエールの意思ではない。インターネット配信に自立型判断ユニットのアンドロイドを使っている誤差である。マリエールは一々配信をチェックしているわけでない。マリエールはこんな強硬な配信が行なわれている事を知るよしも無かった。しかしこの考えが宇宙人の考えと受け取った。
配信担当は自立型判断ユニットのアンドロイドが多い。普通のアンドロイドは反応が遅い。配信で遅かれ早かれこの星は滅亡すると送った。




