228 半精霊体
村長は攫われた女性をこの星に戻す事は迷惑をだと言った。覚悟のある言葉だ。
228 半精霊体
精霊体には精霊と半精霊体がいる。人間や生物として生きていても精霊の部分がある生き物だ。精霊や半精霊体と念話が出来る。マリエールも半精霊体なのだろうかと考える。精霊体と念話が出来るのだ。村長は、マリエールの考えを読み取り、
「あなたは精霊体ではありませんよ。精霊体は他の人を罰して精霊体を守ろうとは思いませんから。」
テレパスされたとマリエールは思った。
「私はテレパスは出来ません。あなたの思いが聞こえて来るだけです。ついでに言えばあなたは誘拐された半精霊体をこの星に帰そうとして見えます。それは我々にとって不都合な事です。我々は居なくなれば自然に増えます。逆に戻って来られると混乱します。精霊体は一定を是とします。それが調和です。」
マリエールは少し頭にきた。
「じゃ、私が余計な事をしていると言うの。」
村長は平然としている。
「私達は半分人間ですから女性が攫われたら怒りを感じます。攫われた女性達も苦痛でしょう。攫われないようにして頂いた事に感謝しています。しかし、起こってしまった事は取り返せないのです。既に補充が済んでいるのに戻って来られるのは困るのです。」
マリエールは精霊体には感情がないのかと思った。
「半分正解で半分は誤解です。彼女達は私達の仲間ですから、誘拐された事に強い怒りを感じます。しかし、我々は精霊体ですから狩りを除いて力を振るう事が出来ません。あなたがもしも私達のあり方が許せず我々を皆殺しにするなら贖う手段もありません。あなたには可能です。」
天地創造の事を言ってのだと判るがそうして貰いたいのか。
「積極的に殺されたいとほ思っていませんがあなたが我々を気にいらないなら殺されても仕方ないと思います。」
意味のない会話だ。マリエールは彼らを殺したいわけではない。女性達を助けたのもマリエールの自己満足だし感謝されたいわけではない。ただ攫われた女性に帰る場所がない事が理不尽だと思うだけだ。マリエールの気持ちは村長に伝わった筈だが返事はない。
やりきれない思いを感情のあるアンドロイドにぶつけた。アンドロイドは、
「精霊体がそういう物だという事はマリエール様が良くご存知の筈です。」
しかし誘拐された女性が帰る事が出来ないというのは理不尽だと言った。アンドロイドは、
「精霊体が星に帰る事が出来る道筋を作ったのはマリエール様ですよね、マリエール様がいなければ自分達を増やす努力をするのが種として必要な事ですよね。誘拐された女性には申し分ないですが今更どうにもなりません。ご存知だとは思いますが、村長はこの星の全ての生き物が絶滅すると思ってました。」
マリエールは自分のやっきた事が徒労だったのか新ためて思い返した。結論はでない。
この星を後にして誘拐犯の星に来てアンドロイド達の報告を聞いた。攫われてこの星に連れて来られたのは10万人誘拐された星の1%に当たる。バリアされた事の影響は大きい。宇宙へ脱出しようする者は多い。だけど尽く失敗する。
マリエールはアンドロイドに愚痴を言った。アンドロイドに説教された。




