214 冒険者
マリエール達はCランク冒険者になり護衛依頼を担った。中規模な護衛依頼だ。店主の娘に懐かれ、幻影を見せた。
214 冒険者
マリエールは程なくCランク冒険者になった。護衛依頼もこなすようになった。この辺りは非常に治安が悪い。商隊には冒険者の護衛が必須だ。
今回は中規模の商隊とその家族の護衛にあたる。皆穏やかそうな印象だ。夫婦と娘2人御者が3人だ。娘達と同じ年頃の女性の冒険者だというので不安だったが娘達と打ち解けて安心した。Cランク冒険者だというし。
3人は御者席に座り、マリエールという少女は家族と一緒だ。4人共に美しい少女だがこのマリエールという少女はとりわけ美しい。娘達よりもいささか年長なのだろう。王都で有名な演劇、手品、ファションなどを幻影という魔法で見せる。2人の娘だけでなく夫婦までが感心する。
「今王都で一番流行って居る演劇ロミオとジュリエットを紹介します。」
演劇を幻影で見せながら、ロミオ役ジュリエット役ナレター役を上手く使い分け、話し進めて行く。マリエールは話しを中断した。
「後は王都の演劇を見てのお楽しみです。」
楽しんでいた娘達は唖然とした。姉のミリーは、
「私達が王都の演劇を見る機会はありません。心躍る夢の様な幻影続きを見せて下さい。」
マリエールは半信半疑で夫婦見た。店主は、
「我々家族が王都に行く事はありません。続きを娘達に見せて下さい。」
娘達は王都に行く事はないのだ。マリエールは、
「判りました。続きをお見せしましょう。」
マリエールは、2人の悲劇的な最後を含め全ストーリーを見せた。最後に哀愁を感る主題歌を歌い上げた。4人はうっとりマリエールを見た。
マリエールは緊張に満ちた顔をした。
「盗賊が待ち伏せして居ます。逃げるのは難しいでしょう。御者の方に馬車を止めさせて下さい。出来れば御者の方もここに避難させて下さい。私は出ます。」
店主は3台の馬車をを止めた。何十人という盗賊が押し寄せて来るのが判った。御者も馬車に入れ、マリエールは、
「絶対にここから外に出たり、外を見ないで下さい。安全になれば呼びに来ます。」
店主は盗賊の人数から考えて安全な筈がないと思った。彼女達が戦う間に逃げる方法もあると思ったが、それは却って危険に思えた。何がと正確に言えないが彼女達の信頼を裏切りる事は出来ないと思った。
どれ程の時間が経ったのだろう。彼女は安全になったと知らせにきた。御者達に早くここを立ち去った方がいいと伝えた。宿泊ポイントまで重くるしい感じがした。マリエールがトランプをしようといい出した。店主は王都で流行り出したのは知っているが、実物を見るのは始めてだ。娘達が興に乗り歓声を上げ始めた頃には重苦しさはなくなった。
2度目の襲撃は急で大量だった。何百もの盗賊が襲い掛かったがそれに対応するように何百もの彼女達が盗賊を吸収した。まるで何にもなかったように。
流石にマリエールも何にもなかった事には出来ないようだ。マリエールは、
「我は、万能の魔法使いマリエール。悪人どもを成敗するものなり。」
その後は気まずかった。
2度の盗賊の襲撃があり、一度はなんとかやり過ごしたが、2度目は見られてしまった。気不味い気分のままだ。




