186 故郷 2
マリエール商会のディナーショーだ。王族はそれぞれに違う対応をした。天候に恵まれたと言うもマリエールの活躍や奇跡だと言うもの。
186 故郷 2
故郷の星での活動である。マリエールはディナーショーを主催して挨拶回りをしている。最初は王女である。外見上のマリエールよりも少し上である。
「商会会長のマリエールです。シャルロッテ王女陛下のご尊顔を拝謁でき、恐悦至極です。料理の方は楽しんで頂けたでしょうか。」
シャルロッテは美しい王女だ。しかし、心優しいのかは少し疑問だ。
「あなた、辺境の男爵の娘だそうね。偶々雨が降って作物が実って大儲けしたそうね。来年どうなるのか判らないのでしょう。こんな所で散財してしまっていいの。」
強烈な皮肉だ。分不相応な行ないだという指摘だ。内なるマリエールの記憶でも王家がマリエールに好意的ではなかったのは知っている。
「来年苦境に喘ぐ可能性はあるのでしょう。だからこそ手を広げ、苦境を脱出する手段を探っています。辺境の料理の味が王都で受け入れられるならばビジネスチャンスではないでしょうか。」
王女は反論される事を予想していなかったようだ。退席を則した。
次も王女だ。王女は美しい者というのは常識なのだろう。不細工な王女など想像も付かない。しかもこの王女は心根も優しいようだ。
「マリエール令嬢のお噂はかねがねをお聞きしております。天変地異を操り、様々な事業、産業起こし商会を立ち上げ、領土を麗しの楽園に変えた聖女。お初にお目にかかります。王女シルビアです。」
シルビア王女は、マリエールの活躍をとうとうと述べた。かなり変だ。
「私は父親に命令されてやっただけです。仰るような奇跡は起こしておりません。」
もう一人は王子だ。
「奇跡じゃないと言っても十分奇跡だろう。そなたは奇跡しを起こせと父親に言われたか。」
言われていない。奇跡は確かに起こった。しかし、重要地でもない東の辺境の事が詳しく知っている筈がない。
「お褒め言葉なら我が領の文官達にお与え下さい。確かに奇跡のように水脈を見つけました。私はただ言葉に従って穴を掘り進めただけです。」
正確でもないが間違いでもないだろう。取り敢えずばれなければいい。
一人目の王女の言うように天候の加減ともマリエールの活躍とも奇跡ともとれるような曖昧な噂話しか伝わってないのだろう。確証を持って断言する王族はいない。この星にはそんな魔法は存在しない。
引き続き、上位貴族に挨拶に回った。食事の美味しさや水の確保やマリエール商会の活躍や流行の話が主だった。
一通り挨拶が終わると、マリエール商会の産業、事業の拡大、魔王との戦い、東の地域への冒険の話しをする。産業は事業は秘密ではないが、積極的に広がる気もない。正当な対価かあれば応じるつもりだ。
魔王討伐は可能だと思うが、5種族が一丸にならないとアーロンが復活する。そうすれば人間種の絶滅だ。5種族が一丸となる事を前提に報奨が約束されるならば魔王の封印は可能だ。
東への冒険は早く始めたいが、国王の許可無く進めるのは躊躇われる。事業、産業や魔王封印の報奨の一つに東への冒険の許可があればいい。
マリエールは宣言した。事業や産業について、魔王封印について、東への冒険ついてだ。




