181 魔法のない星 9
この星は医療制度を充実させ上下水道事業やゴミ処理事業を整備して、衛生観念を植え付けた。
181 魔法のない星 9
市町村単位の病院、大学病院で治癒師でない医師とアンドロイドが働く。医療を学ぶため研修医として治癒師達も学ぶ。医療制度が確立する。薬剤も統一される。マリエールがもたらした新しい効果のある薬が出回る。抗生物質も普及する。出産時の死亡が低減する。盲腸炎で死亡する人が低減する。傷が化膿する事が減った。医療は確実に改善した。上下水道事業やゴミ処理事業が始まった。衛生観念も広まった。
悪徳宗教の時代は終わった。新しい時代の幕開けだ。魔法も広がった。魔法学校も出来て、治癒魔法や生活魔法だけではない、火水土風魔法、アイテムボックス、フライ、転移魔法が使える者が出てきた。海産物も扱えるようになった。今はマリエールのアンドロイドが主導で流通を担っているが、徐々にこの星独自でやっていって欲しい。
アイリス女王とユリア宰相とアンドロイドは話しあった。アンドロイドは、
「徐々にアンドロイドをマリエールの星に帰還させます。あまり宇宙人が内政に干渉する事は良くないですから。」
ユリアは星の根幹を変えておいてそれを言うかと思った。ユリアはアンドロイドに、
「貴方がたのお陰でこの星は本当に良くなりました。星の人々の生活も良くなりました。笑顔が増えました。」
これは本当の事だ。人々の生活が日々改善され、笑顔が増えたのは市場調査に行っているユリアには良く判っている。アイリス女王は口を挟んだ。
「今アンドロイドの方々に見放されたら星は滅びます。ご助力願います。」
アンドロイドは苦笑いをした。
「諸悪の根源を断ち切り、人々のために様々な事を実行してきました。そのためには力が必要でした。でもそれも終わりです。後は維持するだけです。引き継ぎはします。徐々にやって行きます。女王様と宰相様の回りにも人を配置してください。信頼出来る補佐がいれば、やりやすくなるのではないですか。」
現状は歪だ。王城に人間がほとんどいない。全ての王侯貴族が居なくなったのだ。補充はほとんどアンドロイドだ。全ての権力がアンドロイドに集中しているようにみえる。反抗的な態度をとれば殺されるからあながち間違いではない。アイリス女王は、
「人間の補佐など信用がおけるでしょうか。」
この一言が文官採用試験と文官学校の創設に繋がった。王城内の大型コンピュータに試験結果等が入力され様々な個人情報が入力されていきアイリス女王やユリア宰相の考え方が入力されて合否が決まる。文官学校を出れば政府職員には成れるが幹部職員に成れるのは文官採用試験合格者だけだ。幹部職員は女性ばかりだ。
アンドロイドが2人に別れを告げた。アンドロイドはほとんどマリエールの星に帰った。残っているのは軍事用のアンドロイドと水商売用のアンドロイドだけだ。これは頑としてアイリスもユリアも譲らなかった。不滅の存在がいれば敵の排除など容易なのだが、アンドロイドは最後の言葉を伝えた。
「自分達の力を信じる事だ。きみ達2人ならどんな困難でも超えていける。」
アンドロイドは去っていった。
文官制度を充実させ、アイリスやユリアの回りに人間を配置した。アンドロイドは2人に信じた道を進めといい残して去った。




