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       118 新たなる試練

 昨日担当者達と食事して、今日帰って来たと思ったらマリエールに呼び出された。数千年掛けてロケットで恒星間移動した人間が恒星間移動出来ない人間の星に到着して動物園にいるそうだ。

         118  新たなる試練


 アンドロイドは、5年振りに帰還した。久しぶりにゆっくり出来ると思ったら、マリエールから呼び出された。昨日ターニア星で担当者とマリエールとアンドロイドの3人で食事をして今日戻って自室に戻った途端の呼び出しだ。人使いが荒すぎると思うが。マリエールは怒っている。

「あなたが5年も仕事にかかっているから仕事が溜まっているでしょう。今度は素早く処理しなさい。」

何理不尽な物言い。アンドロイドは私一人でないのだから他アンドロイドに命令すればいいのに。

「こういう仕事はあなたに任せると私が決めたの。文句を言わずさっさと片付けていらしゃい。」

と言ってマリエールは用紙を差し出した。

 恒星間移動の出来ない惑星に、他の惑星から訪問者が来た。何とロケットで数千年掛けて慣性力だけで恒星間移動を果たし、他の人類の居る星に到着したらしい。この星で機体を回収分析したが下等生物の作った原始的な物だと判断された。人間らしい動物とのコミュニケーションを図ったが、上手くいかず、いろいろ調査した上で動物園に入れた。オス・メス2匹づついるので繁殖するのを期待されているらしい。人体実験もされているので残虐行為に相当する可能性がある。交流会として対応して欲しい。

 交流会メンバーからの通報である。恒星間移動の可能な星は移動出来ない人間との接触は禁止されているが、観察は構わない。蝿の様な小型センサーや人間自体が透明化して観察するのは構わない。今回の様なケースも通報するのが唯一の手段である。

 アンドロイドは苛立を覚えた。

「万能者様やマリエール様は私にどうしろとおっしゃるのですか。接触を禁止されている星の中にいる、恒星間移動したとは言い難い人間をどうにか出来るのですか。」

幾ら交流会とは言え自ら作ったルールを破るわけにはいかない。訪問者の星も恒星間移動可能な星とは言えまい。唯一恒星間移動した彼らに接触してもいいのではないか。

「恒星間移動した彼らだけには接触しても構わないという判断よ。彼らを救出する目的でね。私の固有アイテムボックスもあなたに開放するわ。小型センサーも高性能な物があるわ。彼らの救出をお願いしたいの。」

これまた難易度の高い命令だ。

 取り敢えず、通報して来たレクサス星で確認する事にした。レクサス星の代表のは面識もあり話した事もある。交流会の活動に協力的で万能者やマリエールとの関係もいい。早速翌日訪問する事になった。代表者と挨拶して本題に入る。

「訪問した星へも彼らの星へも接触出来ませんが。恒星間移動した彼らなら接触は可能でしょう。救出という目的で。」

代表は感心する。

「流石マリエール様、恒星間移動をした彼らとなら接触出来ますな。救出された後はどうされますか。」

そこが問題だ。

「彼らの能力にもよりますが、最低彼らの文化の再現はしたいです。中々恒星間移動の出来ない星の文化に触れる機会がないですからね。出来れば交流会活動の一助となって欲しいとも思ってはいるのですが、これは会ってみないと判りませんね。星へ返すのも一案でしょうが、浦島太郎ですよね。望めば返しますが数千年前の人間が世の中に適応するのは多分難しいですよね。その点はアンドロイドの星ではアンドロイドが合わせますので心配はありません。既に何人か実績があります。」

レクサス星の代表は納得した様子だ。

 

 訪問先の星も彼らの星も恒星間移動の出来ない星だから接触出来ないが、恒星間移動した彼らなら救出目的で接触可能だとマリエールはいう。

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