第12話
お久しぶりです
また間隔空きましたがなんとか4月初めに書き終えてホッとしてます
「───事情は分かった。一先ず知り合いの宮廷貴族に話をしておこう」
「ありがとうございます」
深々とお辞儀をする。
親父には本当に感謝しかない。今後の対応だけでなく現状どうするかまで纏めてくれたのだから暫くは困る要素がなくなった。山越えて商売相手見つけて恩返しするしかないな。
「───というわけで竜王、じゃなくてメリシュはうちで匿うことになりました。家賃は時々剥がれる鱗で払ってね」
「あのご主人様。本格的に王国と争うのですか?」
「まさか!竜素材を大量に売り捌ける証拠作りみたいな感じかな」
親父にも説明した通り国と仲違いするつもりはない。商会1個で出来ることなんてたかが知れている。まあ今後別の国に本店を置けそうなら移転する事も視野には入れているし、親父もその気みたいだが。
「お世話になるわ。あ、これ処理に困ってた鱗だから好きに使って」
「ありがと。敷金代わりに貰っておくよ」
この鱗を粉にしてから何らかしらの金属と混ぜるといい感じの素材になる。ゲーム時代はコレとどの金属が相性良いかで盛り上がったなぁ。アダマンタイトとかオリハルコン使っても全然性能が良くならなくてチャットとVCが紛糾したのは良い思い出。
「大丈夫?顔緩んでるけど」
「うわぁっ!?あ、大丈夫大丈夫」
顔近い…つかなんか成長してね?服大丈夫か?
「不思議生物過ぎない?」
「ご主人様、そもそも同種が全くおりませんので何も分からなくて当然かと思われます」
そっすね。
んでまあ、どうしよう。いや王城地下に行くことは確定なんだけども。多分メリシュを操ってたのは地下に居るスケルトン系モンスターのアイツだろう。名前は忘れた。
「王城の地下ってどうやったら行けるかな」
ボソッと行っただけだが、カトリーヌが耳聡く聞きつけて反応する。
「直接入るのは中々難しいかと…しかし地下水道からなら何処かに抜け穴があると思われます」
地下水道…あっそうかその手があったか!確かに、あそこならバレずに行けるだろう。となれば早速準備だ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
という訳で商会近くの川から地下水道に侵入した。
「臭いがぁ…」
「どうする?風魔法で吹き飛ばせるけど」
「ううん、この程度なら我慢出来るからいいよ」
前にカトリーとメリシュ、後ろに俺って感じで陣形を取る。ところで、ここに湧くモンスターは概ねスケルトン系やゾンビ系、若しくはゴーストみたいな実体の薄いモンスターばっかりでただの物理だと厳しいのだが…
「この程度でしたら」
「簡単に壊れちゃうわね」
カトリーは刀に闇属性付与でスケルトンを、メリシュはブレスでゴーストを焼いて回っていた。時々ゾンビ系統のモンスターも湧いたがメリシュがあっという間に消し炭にしてしまった。俺の出番はございません。
「っ!こっちの方から変な感じがします」
「あー…やっぱそうなのか」
俺の探知スキルにも引っかかった。それに、この通路は見覚えがある。テスト版時代の裏ボス、骨ネクロマンサーがいる部屋への直線通路だ。そして同時に王城の真下でもある。…帰るか!
「場所は分かった。一回帰ろう」
「えっ、調べないのですか?もし逃げられたら───」
「いや、逃げないよ。あそこには主犯にとって大事な大事な呪いの祭壇があるからね」
今はテストゲームの時のフレーバーテキストとは違ってタイムリミットが存在するだろうが、武器を揃えられないほど危機迫っている訳ではない。逆にフレーバーテキスト通りならアンデッド系モンスターが街中に溢れ出してくるようになってからが本番らしいからな。
なので久しぶりの鍛治と行こう。
「今日も借りるね」
「とんでもねえです。材料は要らないって仰られたんでご用意はしてやせんが…」
「そうそう、今日はコレを使おうと思ってさ」
空間収納から取り出したのはメリシュから剥がれ落ちた鱗とアムリウムインゴット。ちなみにアムリウムはウキト山脈で僅かに産出される希少鉱石だ。希少なこと以外の価値は基本的にないんだけどね。
そんなアムリウムが大活躍するのがこの竜王の鱗との合金化。合成に成功すれば竜化アムリウムインゴットとしてテストゲーム時代最強の素材と化す。
先ずはメリシュの鱗を砕く。次にアムリウムインゴットをドロドロに溶かし、さっきの粉を風魔法で投げ込む。後は錬金魔法でこねくり回して───
「これがその…竜化アムリウムインゴット…!」
我ながらいい出来だ。このまま武器を作成してしまおう。
「カトリーは刀でしょ。俺は杖で…メリシュは武器とかいる?」
「そうねぇ…籠手とかかしら。素手で戦うからそういった類の武具が欲しいわね」
「任せてよ。ちょっとサイズ測るね」
メリシュ、素手でゾンビの頭握りつぶしたりスケルトンの骨粉砕してたもんなぁ…
そろそろ一区切りつきそうな感じがして参りました
少しでも面白かった、また読みたいと思われたら⭐︎や感想のほどよろしくお願いします