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第11話

お久しぶりです

何とか1ヶ月中に2本投稿できました

 ウィルク・バーチェスです。竜王が人に変身したかと思ったら山賊に扮した騎士が襲ってきました。


 さて、なんでこのタイミングで騎士団が襲えたのか。

 考えられるのは常に見張りがいて、俺らが竜王を気絶させたところで騎士団に連絡が行った。あるいは竜王討伐の常設依頼の依頼主が騎士団で、受注された際に連絡が行き先回りして身を潜めていた。

 このうち後者はない。何せ俺らはギルドの依頼を受けずに来ている。となると見張りが常にいたということになるが…俺だけで無くカトリーも探知スキルはかなり高いので、そこから隠れられるとなるとアサシン系上位職だろうな。そうすると自然と連中の正体も見えてくる。まあ、常に見張りがいたという予想が当たっていた場合の話だけど。


「黒騎士団だっけ?汚れ仕事を一手に引き受ける、数ある騎士団の中でも異端の集団」


 その場にいた、なんなら隠れている山賊までもが殺気立つ。いや、そんなに気配出しちゃダメでしょ。答え合わせみたいなものじゃん。


「坊主。それが誰からの評価からは知らねぇが、迂闊に口にしたらダメだぜ。命が惜しけりゃ黙っておくもんだ」


「こういう風になるからな」


 その瞬間、俺の首元に山賊の頭領っぽいやつの短刀が突き付けられていた。俺も、カトリーも、竜王も反応出来ないほど速い移動とそこからの抜刀。


「相手が悪かったねおじさん」


 山賊の頭領、というか騎士団長の腕を掴み投げながら風魔法でさらに吹き飛ばす。相手側の攻撃を防ぐため、俺を中心に半球状の障壁を展開しカトリーや竜王を守る。

 案の定投げナイフやら様々な属性の魔法が飛んでくるが障壁が破られる心配は無さそうだ。

 とはいえ鬱陶しいのに変わりはないので、周囲の黒騎士を魔法で麻痺させる。これで騎士団長を相手するのに集中できるな。


「上に放り投げたのは失敗だったなぁ!」


 騎士団長が大剣を大きく振りかぶり、風魔法で落下速度を速めて落下してくる。よく見ると剣の方にも魔力が込められているようだし、安易に受け止めるのはマズイか?

 いや、自分の魔法を信じてみよう。


「障壁魔法だからって舐めない方がいいよ」


 魔法スキルの中でもシンプルな障壁魔法。上位魔法になってくると障壁の耐久力が上がるだけだが、当時のプレイヤー達は手当たり次第試した結果判明した魔法の構成要素を弄くり回し障壁魔法のバリエーションを増やした。

 俺がさっき使ったみたいな形状を変えただけのシンプルな改変から、各一属性にしか反応しない障壁魔法。更には属性付きの障壁魔法まで作っていた。

 その中でも外部サイトで公開され人気を博した障壁魔法が、対物障壁魔法と対魔力障壁。


「元々竜王とか地下の裏ボスを周回する為に作られたものだからね。そんなレベルの剣と魔法に負けるほどやわじゃない!」


「ヌゥ!?止まっ…!」


 騎士団長の背中側と腹側両方から風魔法をぶつける。ちょっとやばそうな音したけど大丈夫でしょ。

気絶した騎士団長から剣や鎧を外し、糸でぐるぐる巻きにして安置しておく。


「これ…誰に言えばいいんだろう?」


「一先ず旦那様にご相談なされてはいかがでしょうか。然るべき組織なり、処遇の助言をいただけると存じます」


 確かに。転移魔法使っちゃ…うか?


「ねえねえ、早く戻りたいの?」


「う、うん。急ぎたいなぁって」


「ならさー。私に乗ったらどー?」


「はっ?」


 ボン!とちょっとした爆発並みの音がしたと思ったら竜王が再び竜に戻っていた。変化って自由自在なのか。


「場所はどこー?」


「えーっと、ここから南の方。レイザーってとこなんだけど…わかる?」


「分かんないから指示出してくれるー?」


 竜王の背に飛び乗ってしがみ付く。空気抵抗で吹き飛ばされたら元も子もないので防風障壁を貼り、姿勢もなるべく流れに逆らわないよううつ伏せになる。


「それじゃ飛ぶよー」


 返事する間もなく飛び上がったのはいいとして、気になる点がある。なんか意識を取り戻した時よりハキハキ喋るようになった気がする。あ、竜形態は多分テレパシー的な感じで話してきてるんだと思うけど。

 本人…人?に聞いてみるか。


「ねえ、なんだか段々上手く話せるようになってない?俺の気のせいかな」


「ううん、頭の中がくっきりしてきてるのに併せて話せるようになってるよ。さっきは襲ってごめんね」


 討伐しようとしてた身からするともの凄く返答に困る。まあ雄弁より沈黙的な言葉がある程だ、下手に口を開くよりは黙ってた方が吉だろ。


「そういえばこっちの方向で合ってるの?さっき言ったけど場所知らないよ?」


「んえ?あ、うん合ってる合ってる。ていうかもうそろそろじゃないかな」


 何km/hか測ってないけど本当に速い。ファストトラベルかよ。もうレイザーの街周辺の草原が見えてる。

 っと、流石に竜王を連れて街中入る訳にはいかない。


「飛んで待ってられる?無理なら近くの森に隠れてて欲しい」


「いいよ。君は私のこと探知出来るんでしょ?周辺を飛んで待ってるからー」


 お礼を言って飛び降り、風魔法で衝撃を相殺しながらそのまま走る。ギルド証の確認で時間食ったけど、それでも降りてからトータル12分ぐらいでバーチェシズ商会に帰って来れた。


「父さん!黒騎士団を撃退して捕縛したんだけどどうしたらいいですか!」


「えっ?」


 父のディジスが手に持っていた書類をバサバサと落とし、動きが固まる。

 息子が竜退治に行くと言って飛び出して行ったら数時間で帰ってきて国の組織を叩きのめしたって言われたらそうなるわな。

 申し訳ない…

面白かった、また読みたいと少しでも感じましたら⭐︎や感想のほどよろしくお願いします

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