第10話
かなり投稿遅れました
こんにちは、ウィルク・バーチェスです。竜王が止まったままです。どうしましょう。
「かれこれ1時間は経ちましたが…動く気配がありませんね」
「死ん…死んだ?いやでも解析には体力表示が出たまま…」
色々と竜王のデータが出ているがやはりHPは0ではない。どう見ても6割は残っている。仮死状態ってやつだろうか、竜って爬虫類みたいなもんだし。
「一先ず、ギルドに報告されてはいかがでしょうか。竜王が活動を止めた、というのは事実ですから」
「どうかなぁ。このまま止まり続ける確証はない訳だし、何より完全に倒してはいないからもし何かあったら怖いんだよね」
「でしたら、私がここに残りましょうか?竜王の足止めぐらいならば、先ほどの通りですから」
「それやるんだったら逆にしよう。俺がここに残った方が竜王を止められる。何が起こるか分からないから、確実性が高い方がいいでしょ?」
カトリーが異を唱えようとしたとき、視界の端に光が写った。瞬時にカトリーが刀を構え、俺は魔法の起動をして待機する。ただ、俺らが見たのは立ち上がった竜王の巨体ではなく、俺と同じぐらいの背丈のちっさい女の子だった。なんか角とか尾とか翼とかがあるし全裸だけど。
「えっ、え、はぁ!?」
「ご主人様、一先ずこちらを向かないでください!」
それは確かにそう!
慌てて後ろを向き、竜人(?)の少女に声をかける。
「君は…もしかして竜王?なんで女の子になってるの?てか雌だったの!?」
「わたし?わたしは竜王のぉ…名前なんだっけ?あ、そうそう。助けてくれてありがとー」
竜王なのは確定っぽいけど、雌なの?え、雄が竜王になるんじゃないの?学園の資料にはそう書いてあったんだけど。あと助けてくれて?あの破壊したやつが竜王の何かを阻害とか蝕んでたりしたのか?ダメだよく分からん。
「カトリー、マント有ったから羽織らせてあげて。流石に直視出来ないと不便だから」
カトリーが慌ただしく竜王のもとに駆け寄り、マントを羽織らせる。そっちを向いても良いとなったので改めて竜王の姿を見る。
身長は俺より少し大きいぐらいか。角は大きいし尻尾も太く長い。ぶつけられたら普通に痛そう。胸は…デカくね?まあいいや。
「えっとー、竜王なの?俺の知ってる情報だと、竜王は雄個体が成長する過程で成る進化先の一つなんだけど」
「竜王は種族と称号、2つあるんだよー。って言っても称号だけなんて滅多にないんだけどねー」
ふわふわしてるのはこの個体の癖?妙に話しづらい。つか種族と称号で別々って…勇者とか英雄かよ。
「えーと、それで貴女の名前は?思い出せないみたいだったけど、何かあったの?」
「それはねー。なにあれー。変な石ー」
「石…?っ!ご主人様っ」
隕石?じゃなくて魔法か。まああれぐらいなら障壁貼れば問題なし。空中でピタッと止まり即座に崩壊した。
大方正体は予想付くけど一応聞いてみる。
「どなたでしょうか。人がいるところに広範囲魔法を撃つほど冒険者は腐ってなかったと思うのですが」
「そりゃあ俺らは冒険者じゃないからな。言うなれば山賊さ」
確かに冒険者じゃないのは本当っぽい。どう見たって騎士が変装してるもん。流石に隠す気無さ過ぎじゃないか。案の定カトリーの目が敵を見る目じゃなくて胡散臭いものを見る目だし。
「山賊と申されましたが…我が主人になにかご用でしょうか。何かございましたらパーチェシズ商会に一度連絡を入れていただきたいのですが」
「面白いことを言う姉ちゃんだな。山賊がそんな律儀なことするとでも思うか?それに、俺らが用があるのはそこの竜王サマだよ」
指差しながら山賊(騎士)が言う。面倒くさいことになってきたなぁ。
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