いけない妄想
レオニスがいなくなると、「あ~!」と叫び、私はベッドにダイブした。
本当は、レオニスにいろいろ確認したいことがあったのに!
突如浮上した夫婦の寝室により、聞きそびれてしまった。
ただ、この件について考える時。
何度もいけない妄想をしてしまい、口元が緩みそうになっていた。
レオニスの真意は分からないのに。それでも結婚に向けた準備が着々と進んでいる。ウェディングドレスしかり、夫婦の寝室しかり、そして……結婚式を挙げる日!
レオニスは夕食の席で「11月に式挙げるつもりだ」と宣言する事態になっていた。例の夫婦の寝室は二人一緒がいい……という件が発展し、寝室を同じくするなら、まずは夫婦にならないと!となった。そうなると結婚式はいつあげるのか、となる。
スターフォード伯爵夫人が特に目を輝かせ「お式はいつにするつもりなの、レオニス!」と何度も尋ねるから……。ついぞレオニスは「では11月に式を挙げられるよう、国王陛下にも許可をいただきます」と言い切る事態になったのだ。
今は三月末で、間もなく四月。半年以上はあるので、準備期間的には問題ない。ウェディングドレスだけは、少し急いでもらう必要はあるが、でも間に合わせることはできるだろう。何せ先んじてレースや刺繍選びは終っているからだ。
それに夫婦の寝室に関しては、スターフォード伯爵家が懇意にしている家具屋や壁紙職人が明日、屋敷へ来ることになっていた。スターフォード伯爵夫人が夕食の後、手配をすると言っていたのだ。
こうしてレオニスと私の結婚の準備は、問題なく着々と進められているのに、彼の真意はまだ確認できていない。
違うわね。
そう、チャンスがない、時間がない。
……これは言い訳ね。
どこかで確認するのが怖い……という気持ちが私の中にあったのだ。
時に冷たくなることもあるが、基本的には誠実に私に向き合ってくれるレオニス。大きな波風はないのだから、今の曖昧なままの状態でも、いいのではないか。だってもし「君は道具に過ぎない。自分の足手まといになる弱点になられては困る」――本音として、真意として、冷たく言われたら、たまらない。
だから……。
もう曖昧なままでいいのでは?
そんな風に思う気持ちも生まれている。ゆえに今日も聞きそびれたことを、実はあまり反省していない。
そして確実にレオニスへ自分の気持ちが向かうのを実感しながら、眠りに落ちていた。
◇
「あ、おはようございます、お嬢様。もう起きてらしたのですね」
「おはよう、エアリル。……アーリー・モーニング・ティーね。屋敷にいる時は、いつもレオニス様が出してくれたわよね。今日は……寝坊でもしたのかしら?」
レオニスが部屋に来る!
そう無意識でも思ってしまったのか。
いつもより早く、目が覚めてしまった。
カーテン越しにまだ明かりは届かず、夜は明けていない。
しばらくはベッドの中で、悶々としていた。
その上で扉がノックされた時は、嬉しくてすぐに上半身を起こしていたのだ。
それなのに!
「失礼します」と部屋に入って来たのは……エアリルだった。エアリルは何も悪くないのに、まるで責めるように尋ねてしまう。
さらに尋ねながら、少し不安になっている。
曖昧でいい……ということは、最高と最悪のどちらにも転ぶ可能性があった。当たり前の行動をレオニスがとらない。例えばニックネームで私を呼ばない。アーリー・モーニング・ティーの時間に部屋に来ない。それすなわち、最悪な事態が待っているのでは!?――そう不安になってしまう。
「レオニス様は、例の襲撃犯に会うため、早朝に屋敷を出られました」
そうだったのね……!
安堵した私はベッドから上半身を起こし、エアリルは紅茶をいれる準備を始めた。
「アーリー・モーニング・ティーのご用意ができました」
エアリルからたっぷりのミルクティーが入ったカップを受け取る。私がカップを受け取ると、エアリルはエプロンのポケットから取り出した封筒を差し出した。
「屋敷を出発されるレオニス様から、お預かりしましたよ」
シャンパンゴールドの、光沢のある上質な紙で出来た封筒だった。
「早朝だったので、お嬢様を起こすのは可哀そうだからと、この手紙を用意されたのです」
「なるほど。でも律儀ね、こんな風に手紙をわざわざ書いていただけるなんて。準備で忙しかったでしょうに」
するとエアリルはクスクスと笑う。
「お嬢様ったら! 愛する人のための手紙なら、例えつまみ食いする時間しかなくても、レオニス様は、お嬢様に手紙を書くと思いますよ!」
「つまみ食いなんて!」















