不思議な修学旅行の夢の続き
私は、修学旅行に来ていた。青髪の友人と、金髪の友人とプールを泳いでいた。プールは貸し切りなのか、人が偶々居なかったのか、私たちしか居なかった。
その後、私たちは夕食を食べた。
私の隣には先生が座っていた。友達とは離れてしまったらしい。
スゥーと、私の隣に食事のお盆を置いてくる、スーツにグラサンの男が二人いた。
特に疑問視することなく、私は彼らが座れるように、先生の方へ詰めた。
食後、しばらくして気がついた。
「きやっー!?」
「いやぁー!?」
友人たちが、何処かに連れて行かれている。私の腕を、スーツの男が掴んでいた。
「なっ…!?」
「逃げるな」
私はスーツの男の腕を振り払おうとしたが、びくともしなかった。
夕食になった。旅館の豪華な和食がテーブルに、私は白と青のボーダーの浴衣を着て座る。
よく分からなかった。だが、薄っすらと理解した。これは、ループだ。
スゥーと、私の隣に食事のお盆を置いてくる、スーツにグラサンの男が、こんどは3人いた。
「あの、何で其処に座る必要があるんですか?」
「こら!そんな事言ったら、失礼でしょ!?」
どうやら、先生は私の味方ではななかったらしい。
「すみません。先生の話を聞いていなかったようで。」
「いえいえ」
「大丈夫ですよ」
「気にしないで下さい」
斜め前、少し離れた席に、小学校高学年くらいの女の子が座っていた。
私が夕食をゆっくり食べている間にも、彼女はなぜか和食に付いている、牛乳と格闘しているようだった。
私は席をたち、盆を下げる。途中にいた店員さんに渡し、席へ変えると見せかけて、私は逃げる。
グラサンの男たちが追ってきた。私は逃げた。逃げる内に、そこは洞窟だった。男は一人になっていた。必死で逃げる内に、私は転げ落ちた。それは、深い深い穴だった。
気がついたら、くらい洞窟の中だった。上を見ても、真っ暗で何も見えない。グラサン男は居なかった。
私は、洞窟を進むことにした。進んでいくと、景色が変わった。
大きなステージがあった。沢山の、人ではない、ナニかがいた。
私は、さっとステージと階段の間に見を縮こませて、隠れた。いや、ほんとんど丸見えと言って良い。だから、浴衣に砂を被せた。幸い、地面は何もコーティングしていなかったからだ。砂色に染めた浴衣を頭から被り、帯で締めると、ステージに集うナニからしくなった。
寧ろ、ここで蹲っているより、ステージにそれとなく紛れて行く方が良いと思った。
ステージにいる、ナニかと一緒に私はいた。一番最後尾だった。
ステージの視界は、思った。神になって90年くらいの老神だろう、神は老けないからな。恐らく力も殆どないだろうな。
「ある程度集まったようだ。では、さっそく扉を解禁!」
マイクを手に持った神が、言った。
どよめきが起こる。ナニかたちが、次々と舞台に落とされたカーテンの後ろの、紺色の渦巻く穴へ飛び込んでいく。
「まったく、堪え性のない奴らめ。どうせ、現地で一旗上げようと思っているんだろうが……」
こうして、ナニかは全て消え去り、私一人になった。
「…ほぅ」
ナニかは、感心したように、恐らく此方を見てつぶやいた。間違ってない。私の勘が告げている。
しばらくすると、また続々とナニかが入ってきた。
「ちっ、だから早く来ようって言ったんだよ」
「うっせぇーなぁー」
そんな会話を、私の後ろに来たナニかがしていた。
そして、もう暫くすると、またステージは満杯になる。
今度は、私が先頭だ。ステージのカーテンには、もう穴が空いていない。
「では、始めるとしよう。これは、神の資質を問う問題だ。」
ナニかは、神だったらしい。
「日本の問題だ。100年後、とある地域に集中して虹が見える、そこはどこだ?」
「えぇー…分かるわけねぇーよ」
「なによ、その問題。意味分かんないわ。」
口々に神が囁く。
「あの、はい!」
一柱の神が言った。
「ほう。では、此方に」
一柱の神はふっと、司会の神へ近づき、地図に丸い印を、触れずにフッと付けた。九州から西日本辺りだった。
「ふ〜む。違うな。」
突然、ビュウー!と、音が聞こえた。ステージのカーテンがひらめき、その布の1反が、巻物のような形となり、私の頭へスッと入ってきた。
世界が変わった。輪郭が鮮やかになった。司会の神の顔が、よく見える。思ったよりも、若そうだった。人間で言えば、20代前半ほどだ。
私は、貞子のように下ろして見えないようにしていた髪を上げた。
あの巻物は、司会の神の知識だけでなく、穴を通り抜けた神の力も含まれていた。所謂、通行税である。
本来、それが神に影響することがない。神は、それ自体で完璧だからだ。しかし、人間には、多大な影響を与えてしまったのだろう。
「はい」
「どうぞ」
私は、スッとステージまで飛んでいき、創り出したピンを北海道にさした。
「…正解だ。この者を、未来の神とする!」
司会の神は、まさかここまで正確に示されるとは、思わなかった。発生地の中心を、丁度ピンは穿っていた。
わっと、声が上がった。怒声のような歓声だった。
「少し野暮用が」
私は、その場から消えた。早速力を使い、グラサン男たちを全員伸して、人間たちを旅館に戻した。すると、新たな道が開けて、グラサン男のボスがやってきた。筋骨隆々のグラサンの男の神だった。私は、それを1発で伸して、ステージに戻った。
「どうした急に……ん?そいつは、巷で人間狩りをしている、悪党の神、バッキンキかっ!?」
「あーはい…」
どうやら、有名な悪党だったらしい。
「おぉー!スゲェー!」
「きゃあー!強いわねぇ!憧れちゃう!」
ざわざわと神々が騒ぎ立てる。
「静まりなさい!これにて、最高神決定戦を終了する!」
こうして、私は神となった。でも、私は私だ。私は気配を消して、本来の有るべき場所、旅館へと戻った。
「…あれ?」
「…ふわぁ〜よく寝たぁ〜」
「ふふっ…」
友人の彼女らの様子に、私は微笑みを洩らした。私の居場所は、今も昔もココと決まっている。
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