5、キレッキレ
・・・を…にしてみます。少し違和感があるかも知れませんが、ご了承ください。
「ヤダ」
俺がそう答えた瞬間、フェナミグの目から光が消えた。ってか、本当に点いていた光が消え、フェナミグの体はわなわなと震える。しかし、まだ諦めないのか、俯きかけてた頭を勢いよく上げた。
「さ、先程の言葉は聞こえなかったことにしよう。では、もう一度聞く。お前は我達『エルドラ』に」
「ヤダ!」
「……………………」
フェナミグが仕方なくというような感じでまた誘ってきたので、さっきより強い口調で答えた。俺の2度目の明らかな拒絶で今度こそ本気で怒ったフェナミグは完全に俯いた。
「……………す。ぜっ………に……す」
「ん?なんて言って」
「絶対に処おおぉす!!」
フェナミグは突然叫ぶと、背中に付けてあった日本刀に似た曲刀を取り出し、そのまま俺に振り下ろしてきた。
「ちょっ、ボス!それはヤバいですって!抑制システム起動!対象は、フェナミグ!」
「っぶな!?おま、マジで斬ろうとしてる!?」
「処す処す処す処す処す処すぅぅ!!…………っ!?」
どこからか黒タイツの声が聞こえたと同時に体を全力で右に倒し、かろうじてフェナミグの怒りの一撃を避ける。フェナミグはまた曲刀を高く振り上げるが、その途中で曲刀が空間に接着されたかのように動かなくなった。フェナミグはどうにかして曲刀を動かそうとするが、曲刀はびくともしない。
俺はそんなフェナミグを眺めながら起き上がろうとしたが、やはり両腕両足を縛られた状態では10cmも上がることが出来なかった。しかし、それでもなんとかしようともがいていると、誰かがイスを立ち上げてくれた。ここにいるということは、目の前でまだ騒いでるフェナミグの仲間なんだろうが、一応お礼を言うために後ろを向いた。
「あ、ありがとう……………ってお前かぁー!?」
「そうっす、僕ですよ!」
俺を立ち上がらせてくれたのは、あの黒タイツだった。っと、先程も黒タイツの声を聞いたような気がして思い出してみると、フェナミグが暴走したときも黒タイツの声を聞いた覚えがあった。俺はフェナミグを指差して、黒タイツに聞いてみる。
「ってことは、あれもお前が?」
「そうです、僕がやりました。最初は穏便に勧誘するはずだったっすけどねぇー」
黒タイツは俺の質問に肯定し、黒タイツに何か怒鳴っているフェナミグをポンポンと叩く。叩かれたフェナミグはより一層うるさくなったが。
やがて、黒タイツはフェナミグを思う存分にいじって満足したのか、くるっと俺の方を向き、今日で三回目のあの言葉を放った。
「で、僕達『エルドラ』に入る気はないっすか?」