4、勧誘
「うう・・・・・・・・・?」
吐く息に合わせてブクブクと泡の音が鳴る。重たいまぶたを開けると、俺は深い水底にいることが分かった。一応、これが夢で、あの全身黒タイツに眠らされたことは覚えているが、それ以上頭が働かない。
「こ・・・・・・こは・・・・・・・・・?」
口が無意識のうちに言葉を紡ぐが、当然応える者はおらず、口から泡が漏れただけだ。しかし、それがトリガーになったのか、水上から差し込む光が少しずつ強くなっていく。
「・・・・・・・・・・・・?」
またも無意識のうちに目を水面へ向けると、その眩い光に思わずまぶたを閉じる。だが、光は目だけでなく思考さえも白へ塗り潰していく。
「ぐ・・・・・・・・・うぅ」
やがて、わずかに残っていた意識も真っ白になっていき、俺はそれまでの白とは真逆の暗闇へ落ちていった。
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「・・・・・・・・・イ!早く・・・・・・・・・ろ!」
「・・・・・・・・・・・・うう?」
何かに呼ばれた気がして、まどろみから強引に意識を引き上げる。急激に覚醒していく中、光の眩しさを無視しながら、これまた強引に目を開ける。そして、俺が見たものは・・・・・・・・・
「知らない天井・・・・・・・・・・・・じゃなくて壁!?」
どうやら俺はイスに縛り付けられているらしく、コンクリートと思わしき灰色の壁が見えた。さらには、俺がいるところは完全な密室で、周りを見ても灰色の壁しかなかった。
「う〜ん・・・・・・・・・ここどこだ?確かあの黒タイツにやられて・・・・・・・・・」
俺は気を失う前のことを思い出そうと視線を下に向けると、そこにはなぜかプルプルしているマスコットが!?
「誰がマスコットだー!!我はフェナミグ!やがて怪人の王となる者だ!」
「うわ、ナチュラルに心読んできたし、痛い発言もした・・・・・・・・・」
「ああ!?何が痛い発言だ!我は事実を言っただけだ!」
マスコット改めフェナミグはそう言って両腕を振り回す。しかし、それは1mくらいの身長と相まって、子供が駄々をこねているようにしか見えない。一応、フェナミグは黒いガン○ムがデフォルメされたような姿をしていて、マスコット化されてなかったらかなりかっこよかったかもしれない。
「で?その未来の怪人王(笑)が俺にどんな用で?」
「こいつ・・・・・・・・・!まあいい、まずはお前に言うことがある」
フェナミグは俺の怪人王(笑)に震えながら怒っていたが、すぐに怒りを収め、先程とは打って変わって真剣な顔をする。ガン○ムの表情なんて分からんけど。一応、こちらも真剣に聞く準備をする。そして、長い沈黙の後、フェナミグは口を開いた。
「お前・・・・・・・・・我達『エルドラ』に入らないか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」