今の気持ち
本を読んでいると心が焼き切れそうになる時があるんだ。
足を閉じ腕を回してもう何も考えられなくなる。
物語の中のキャラクターが文字の隙間から這い出し、あたかも自分の身が切られるように、痛い胸の奥の柔らかいところがぎゅっと締め付けられるように苦しい。
そしてとても悲しくなる。
そういう時は大抵本を閉じる。
読み終えた本をそっと撫でる。
そうすると気持ちが落ち着く。
ふと思った。
僕は誰かにこの本を読んでもらいたいのか? 違う、そんなことはどうだっていい。
ただ読んでほしいだけだ。
僕と同じ気持ちになってほしいだけなんだ。
僕は誰かにこの本を届けたかったのか? 違う、そんなことのために書いたんじゃない。
僕の想いを知ってほしかっただけだ。
誰かに伝えて何かが変わるなんて思わないけれど、それでも知ってほしかった。ただそれだけだ。
じゃあなんでこんなにも悲しいんだろうか? この気持ちはどこへ行けばいいのだろう? この悲しみも苦しみも全て物語の中に置いてきたはずなのに………… それでもまだ足りないというのか? そうだな、きっとそうなんだと思う
けどその感情を押し殺さないといけない理由はないはずだ。
だから書き続けるよ。
たとえどんな結末になろうとも。