2話「くっころの合唱」
VRジャンル日間ランキング入りしてて草
息抜きに書いているので息抜きに読むぐらいが丁度良いかと!
画面が変わり、気付けば小部屋に俺は立っていた。
部屋の奥はそのまま通路になっており、奥から光が差し込んでいる。壁には色んな武器が立てかけてあった。
俺のすぐ横にはチチパイがいて、腹を抱えて笑っている。
「なんじゃあれ! 死因がスライムによる撲殺とか! ひぃー、腹が痛い!」
「おい、チチパイ。どこだここ。あの村がリスポン地点じゃねえのか?」
「ひぃーひぃー……ん? あれ、お前も死んだのか?」
ようやく俺に気付いたチチパイが立ち上がった。
「スライムによる斬死だとよ。いくらなんでもスライムlv1にしちゃあ強すぎだろあれ。瞬殺だったぞ」
「斬死かよ。攻撃パターン多彩過ぎだぜあの雑魚」
「で、ここどこだ? なんか闘技場の控え室っぽいが」
「知らん。リスポン位置がバグったか?」
「さもありなん。とりあえず行くか」
こういうゲームにありがちな、リスポンバグ。昔やったクソゲーではリスポン位置がバグって、本来なら終盤に行くダンジョンの最奥に飛ばされた時は殺意湧いたな。
「まあ、待てやすみん。せっかく武器があるんだ。貰っていこうぜ」
そう言って、チチパイが壁に掛けてある斧へと手を伸ばした。
「あれ? ん? おい」
「どうした?」
「触れねえ。これオブジェクトですらねえわ。ただの画像データだぜ」
俺も試しに剣を触ろうとするが、手が突き抜けた。
一通り触ってみたが、触れたのは初期装備と同じ感じの棍棒のみだった。
「手抜きにもほどがあるな」
「しゃあねえ。もしかしたら装備出来る武器しか触れないのかもな。とりあえず予備の棍棒として貰っとこうぜ」
俺とチチパイはそれぞれ両手に棍棒を装備した。右手が初期装備。左手がニュー棍棒。
「じゃあ行くか。闘技場とか嫌な予感がしないが」
「エロい女闘士!」
「いないと思うぞ」
通路を歩いていくと出口が見えた。
その出口から俺らが出た途端、歓声が沸く、
「やっぱりか」
そこは円形のコロシアムだった。囲んでいる階段状になった観客席は満席だ。しかし、そいつらは微動だにしない。なのに、歓声だけが響く。
「見ろよ、あれ、観客も多分画像データだぜ? どんだけポリゴンケチってるんだよこのゲーム」
「それよりも……チチパイ。ほら、ご待望の女騎士だ」
俺達の反対側にも通路がありそこから、一人の女が出てきた。
「やったぜ!!」
金髪をポニーテールにしている美人だ。爆乳でか尻のエロボディにいわゆるビキニアーマーを纏っていた。かなり際どい格好で、手には剣を装備している。
女騎士というよりは女戦士という感じだが、まあそこは誤差だろう。
ただし……。
「いや、あれ数多くね?」
チチパイが呆れたような声を出した。
その通路から出てきた女騎士。その後ろからぞろぞろと同じ姿の女騎士が出てくる。
ざっと見るだけで100人ぐらいか? しかも……。
「グラ使い回しのコピペかよ! もっとバリエーション増やせよ!」
チチパイのツッコミの通りその全員が同じ姿だし、同じモーションで出てくる。
なんというか全員動きが一致しているため、機械的に感じどこぞの共産国の軍隊を思わせた。
「わあああああああああああ」
全然感情のこもってない雄叫びを上げて迫ってくる女騎士の群れ。
ぶっちゃけちょっと怖い。
「いくぞやすみん! 背中は任せたぜえええええ」
「お、おう」
やけにノリノリになったチチパイも負けじと雄叫びを上げながら突撃していく。
おーい、ついさっきスライムにワンパンされた事忘れたのか?
まあ、とりあえずチチパイが殺されてから、どうするか考えよう、とか思っていると。
「オーク痛恨撃ぃぃ!!」
だからそんな技ないだろと、ツッコんだ途端。
「ぐわーー」
女騎士の群れの10人ほどが、チチパイの棍棒の薙ぎ払いで壁まで吹き飛んだ。
「は?」
チチパイも戸惑って、棍棒を見つめている。
うん。明らかに棍棒のリーチ以上の範囲が吹き飛んだな。
チチパイが試しにもっかい棍棒を振る。
「ぐわーーー」
またあの抑揚のない悲鳴を上げながら女騎士達が吹き飛んでいく。見ればそれぞれのHPゲージが5割以上減っている。
やっぱりどう見ても、棍棒と当たり判定が合ってない。
「やすみんもやろうぜ! これおもしれー」
チチパイが調子に乗ってブンブン棍棒を振り回すと面白いように女騎士が吹き飛んでいく。
俺も参加して群がってくる女騎士を吹き飛ばす。
分かった事は二つ。初期装備の棍棒は、当たり判定は見た目通りだが、一撃でかなりのダメージを与えられる。
控え室で手に入れたニュー棍棒は、攻撃力は控えめなものの……当たり判定がバグってる。
具体的に言えば1mちょいぐらいの大きさなのに、体感5〜6mぐらいの大きさになっている。
「アタリハンテイ力学を勉強してこいクソ運営!」
そう言いながらニュー棍棒を薙ぎ払う俺とチチパイ。吹き飛んでは律儀にまた同じように突っ込んでくる女騎士。
え、こいつモーション少なくねえ? スライムより攻撃パターンないとか有り得んだろ!
こうして何度も攻撃され、ついにHPがゼロになった女騎士が、膝を地面へとつけ、剣を杖にした姿勢のまま声を上げた。
「くっ! 殺せ! 貴様らの辱めは受けぬ!」
出た! くっころ!
「出た! くっころ!」
おい、同じ事を考えるなチチパイ。
いやあベタだが、いいなあ。とか喜んでいたら
「くっ! 殺せ! 貴様らの辱めは受けぬ!」
「くっ! 殺せ! 貴様らの辱めは受けぬ!」
「くっ! 殺せ! 貴様らの辱めは受けぬ!」
「くっ! 殺せ! 貴様らの辱めは受けぬ!」
「くっ! 殺せ! 貴様らの辱めは受けぬ!」
倒した女騎士が全員同じ姿勢になって同じ言葉を叫ぶ。
しかも一度だけと思いきや……。
「くっ! 殺せ! 貴様らの辱めは受けぬ!」
「くっ! 殺せ! 貴様らの辱めは受けぬ!」
「くっ! 殺せ! 貴様らの辱めは受けぬ!」
10秒おきに言いやがる。
「うるせええええ!!」
しかも倒したタイミングが違うせいで、
「くっ! 殺せ——」「くっ! 殺せ! 貴様らの辱め——」「くっ! 殺せ! 貴様らの辱めは受け——」
と輪唱しはじめた。
カエルの合唱かよ!
「行動プログラムが雑過ぎるだろ!」
うるさいからとにかく早く全員倒さないと。
しかし数が減るたんびに、合唱が増えるので余計にうざい。
ようやく最後の一人を倒しそいつのくっころを聞き終えると、ミッションクリアと表示された。
俺とチチパイはシンクロしながらこう叫んだ。
「何のミッションだよ!!」
この二人、凄く仲が良い。腐の波動を感じたら負けです。




