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真田隆盛記 ~おゆきの戦国日記(ぶろぐ)~  作者: とむ熊 しのぶ
真田の郷編
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005 幸村

もし真田幸村が女だったら?という発想から、筆者の果てしない妄想をつづっていくif小説です。若くして織田家に人質に出された真田幸村ことおゆきが、真田忍軍を率いて、大活躍するお気楽エンターテインメント作品です。細かい事は気にせず真田の活躍をお楽しみ下さい。


「お前は今日から真田源次郎幸村だ」


はい?


重臣一同を伴って、父上の前に引き出され、チョコンと座った途端、満面の笑みを浮かべつつ父がいきなり切り出した。


突飛な事を言い出すのには定評のある父だが今日は中々極めつけである。


思わず、自分では無く他の者に言ったのでは無いかと、周りをキョロキョロ見回してみたが、父と私以外の者は何かひどく不味い物を食べてしまった様な何とも言えないしぶい表情をしている。


私はというと、まるで埴輪のように口をポカンと開けていた事だろう。


許されるならポーズまでそうなっていたに違いない。


「村幸にしようと思ったのだが、なんか語呂が悪いのでやめた」


いやいやいや、そういう問題じゃないんだけど。


「源次郎はお前が生まれる時、男だった場合に考えていた名だ」


だから何で私が源次郎?幸村??思わず助けを求める様に、父の隣で、苦い表情のまま小さく首を振っていた母に視線を移すと、それに気づいたのか今度は母が兄の方に視線を向け、ジト目で何か念を送り始める。


「父上目的を言わねば、おゆきも途惑うばかりですぞ」


やれやれ仕方ないという感じで、フォロー入れてくれたが、自分で説明する気は無い様だ。


「おお、そうだな。おゆきお前は、近々京に向かうのだ。」


うん、わかった。私は京に行くのね。多分人質ね。


っで、なんで幸村?!


軽く笑顔を引きつらせながら、可愛くちょこっと小首をかしげて、父が続きを述べるのをひたすら待つ。


「あーえーと。そのなんだ、京に行くに当たって、真田家次男として行ってもらいたい。」


だからなんで?


「京は危ないからな!」


母の方をちらちら見つつ、ちょっと困った様な顔で断言する父。


遂に我慢の限界を迎えた兄が、軽く私の方に向き直る。


「つまり、お前は真田家次男として、京に赴き信長公に謁見するのだ。そして、信長公やその側近の為人を見て来てくれ。道中要らぬ危険を出来るだけ避ける為に男装すると言うのもあるのだが、女の身では直接の謁見が適わ無い可能性がある。だからお前は真田の次男として行けというお達しだ」


さすが兄上。理路整然と説明をしてくれた。判り易い!


「そうだ!その通り!」


父が、まるでそうだったのか。と言わんばかりの反応を示す。


一応父の名誉の為に言って置くと、決して何も考えていなかったわけではないのだ。父は物事を直感的に捉える人間で(そしてそれは多くの場合正しいのだが)、彼の頭の中では、課題⇒答えしか存在せず、途中経過はすっ飛ばされている事が多いのだ。


なので、いざ人に説明しようとすると上の様な事になってしまうのだ。


しかし、そういった事までちゃんと理解して、説明してくれるんだから兄は凄い。


いよっ!さすが次期当主!


「目的は、織田家の重要人物の為人の確認と織田家を中心とした家臣団の状況把握、京やその周辺での情報収集だ。もちろん伴には井浦や庄八郎の手のものから精鋭を付ける」


父の表情が急に戦国武将の顔になった。スイッチが入った様だ。


「井浦、佐助を中心に伴備えを選抜せよ。後、内記、きりも借り受けるぞ」


ははっ、と二人から小気味良い返事が即座に来る。


スイッチの入った父の様子を即座に感じ取り、家臣団もあっという間に戦闘モードに切り替わる。


「頼幸、信長公への手土産を差配しろ。うーん。馬が良いな。信長公は葦毛が好みと聞く。良い葦毛の若駒を見繕ってくれ。後は任せる。左近、滝川一益殿の方はどうなっておる。」


「ははっ、滝川殿よりは既にご許可を頂いたと、面会のご紹介状も数日のうちには届けられると庄八郎から連絡が来ております。」


さすが皆真田家を支えて来た功臣達である。打てば響くとはこの事だ。



こうして、私は一言も発しないまま、信長さんの元へ上京する事が決定されたのである。


ちょいと会社の研修で拘束されておりました。今日から復活です。

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