↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真田隆盛記 ~おゆきの戦国日記(ぶろぐ)~  作者: とむ熊 しのぶ
京後編
PR
41/268

038 本能寺の変 その8

予想外の大部隊と遭遇してしまった。おゆきたち。佐助率いる真田忍軍が死力をつくす。


佐助一団に潜り込まれた敵集団が潜り込まれた箇所から次第に混乱して行く。


敵部隊に突入した忍軍が中で暴れているのだ。暴れていると言っても敵を次々と倒しているという訳ではない。彼らはその素早さを生かして、集団の間を縫う様に移動しつつ、隙を見つけては一撃離脱しつつ、斬り付けたり、当身を食らわしたりしまくっていた。


敵を倒すとかは全く考えていないので有効打には一切拘らない、所謂ハラスメント行為をただ只管繰り返しているのだ。


当然敵は彼らを押し包もうとするが、その度に彼等は身軽さを生かし擦り抜けては、また別の場所で嫌がらせを行う。しかも夫々が一見てんでバラバラな方角に動くので、周辺では何が起こっているか解らないまま混乱の輪が広がっていく。


勿論千名もの戦闘集団をわずか十数名でどうこう出来る訳はないのだが、少なからず混乱する自部隊を放置できる指揮官は居ない。


部隊が混乱した時、其れを収める方法は凡そ二つ。一つは、指揮官を含む司令部が部隊の後方に後退し其処を起点に徐々に混乱を収めて行くのが一つ。もう一つは逆に指揮官自ら先頭に立ち、それを全軍に見せつける事で一挙に動揺を鎮めてしまう方法だ。


どちらが正しいとかでは無く、指揮官のキャラクターに依るのだが、この部隊の指揮官はどうやら後者のタイプらしい。部隊の中央からのっそりといった感じで、一際目立つ騎馬が一騎、その威容を現した。居るだけで周りを圧する存在感。人目でヤバイとわかる。


「斉藤利三か!」


後で信忠さんが叫ぶのが聞こえた。勿論私も名前は知っている。光秀さんの股肱の臣にして明智軍最強の武将だ。一体全体そんな大物がなんでこんな所に?!


利三さんは大陸の武将が戦場に兵気放つ様に、ジロリとあたりを睥睨する。


佐助が動いた。利三さんに無言で襲い掛かる。だが利三さんは、ぶぉーんといった感じで、長大な矛で襲い掛かってきた佐助を打ち払った。一見緩やかな動きに見えるがすさまじい威力なのは其れを受けた佐助を見れば一目瞭然だ。何とかその攻撃を受け流したものの、堪らず吹っ飛ぶ佐助。いや自ら飛んだのだ。そうでなければその一撃で佐助は真っ二つにされ勝負は一瞬でついていただろう。遅れて佐助の配下の何人かが同時に襲い掛かるが、事々く吹っ飛ばされていた。致命傷は何とか避けてはいる様だが、骨折位している者はいそうだ。


本来の佐助達の狙いはこうだ。ハラスメント攻撃により敵の大将を誘き出し。それをしとめる事によって一時的に敵部隊を混乱させ、その隙に一気にこの集団を突破し様としていたのだ。だが誘き出したまでは良かったが、いかんせん相手が悪すぎた。


彼は本物の武辺だ。しかもちょっと最近ではお目に掛かれない程の化物だ。以前武田家に彼の様な化物じみた武辺が数多くいたが、いざ敵に回すとこれ程恐ろしいものなのか?


私はブルリっと身震いしたが、直ぐに気を取り直した。タイプこそ違うが佐助も化物だ。必ず何とかしてくれる。今は彼を信じて突入するしかない!


「筒っ!」


私はそう叫ぶと、佐助の部隊に変わって私達の直援についていた甚八の手の者の一人に短槍を差し出した。私の直ぐ脇を走っていた者が差し出された短槍を受け取り、換わりに鉄砲を渡してくれた。ずしりと重い。六匁ではなく八匁銃かもしれない。射程よりも威力を重視した銃だ。私が扱うには少々大きいが今のシチュエーションにはピッタリかもしれない。勿論既に弾は込められ、火縄にも火がつけられている。


敵軍まで後わずか。信忠さんが突入に備え獲物を抜こうとしている気配を感じた。


「奇妙さん!刀を抜いてはダメ!突破する事だけに集中して!」


誰が聞いているか解らないので、私はあだ名の方で信忠さんに叫んだ。一方私は銃を両手で支えつつ。足だけで新月を操り、戦場をもう一度見渡す。突入場所を探っているのだ。直ぐに見つけた。あそこだ。一際混乱している場所に狙いを定める。


「白星!私から離れるな!」


信忠さんではなく馬の方にに命じた。信忠さんがこっそり傷ついて無いといいけど(笑)


数瞬後、私達は敵の先頭集団に突入した。甚八を先頭にその手の者達が我々の進路をこじ開ける。だがそうは持たない。このままではいつか突進力を失い取り囲まれてしまう。


その時、佐助達と戦う利三さんの偉容が目に入る。アレを倒すしかない!私は銃を利三さんに向けて構える。チャンスはたった一度。


「佐助!通るぞ!」


私はあらん限りの声量で叫ぶ。私の位置と突入のタイミングを知らせる為だ。


佐助は答えない。その代わり佐助の姿が消えた。その次の瞬間利三さんの目の前に佐助が出現し、ガギっ!という異音が戦場に引き渡った。


“猿飛!”


佐助の奥の手だ!内気功を瞬間的に高め一瞬で敵前に移動。一般に瞬歩と呼ばれる歩法だが、違うのは速度をそのままに相手に一撃を加える点だ。話だけは聞いていたが、私ですら始めて見た。しかしこれを矛で受けた利三さんも利三さんだ。全く戦国の武辺は度し難い!


だが受けた利三さんは予想以上に強力なその一撃に矛を大きく弾かれる。自らも弾かれた佐助だったが、佐助の攻撃は止まらない。弾かれた勢いを利用し自らの体を回転させ二撃目を狙っている。


私の独楽舞の変形?!私の場合震脚を起点にするが、彼は弾かれた時の衝撃を利用している。畜生、格好いいなぁ!


だが私は彼の二撃目を待たなかった。佐助の強打に驚いている利三さんに向けて、一切の躊躇無く八匁弾を放った。


ダーン!という重低音が戦場に鳴り響く。一瞬の静寂。


次の一瞬利三さんの兜が吹っ飛んだ。私が放った弾は利三さんの眉間を見事に捕らえていたが、惜しくも眉間を守る鉄製の兜に阻まれてしまったのである。


私は舌打ちするが、無駄ではなかった。さすがの利三さんも一瞬脳震盪を起こした様で大きく仰け反る。その隙を佐助が逃す筈はない。佐助の二撃目が利光さんに致命傷を!・・・与えなかった!


佐助は利三さんを直接狙わず、その騎馬の手綱を切り裂き。続けて三撃目で馬の首を切りつけたのだ。


棹立ちになるお馬さん。脳震盪を起こし、手綱を切られ、体も支えられず思わず落馬する利三さん。


すかさず戦場に甚八と思われる声が大音量で鳴り響いた!


「敵将!斉藤利三!討ち取ったりー!!」


どうせならという事で、明智軍最強の利三さんにご登場頂きました。この人とっても良い人そうなので、世が世ならおじさまキラーのおゆきちゃんととっても仲良くなれてたかも知れません。おゆきちゃんファン倶楽部に入っていた・・・という事はさすがに無いでしょうね(笑)勝手な想像すいません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。