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真田隆盛記 ~おゆきの戦国日記(ぶろぐ)~  作者: とむ熊 しのぶ
真田の郷編
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003 おゆき

もし真田幸村が女だったら?という発想から、筆者の果てしない妄想をつづっていくif小説です。若くして織田家に人質に出された真田幸村ことおゆきが、真田忍軍を率いて、大活躍するお気楽エンターテインメント作品です。細かい事は気にせず真田の活躍をお楽しみ下さい。


改めましてこんにちは。おゆきです。


後に戦国武将の粋とまで言われた名将、今はただの田舎豪族真田昌幸の次女をやっております。


数えで16歳になります。


自分で言うのもなんですが、美人な母に似て結構な美少女だと思います。


そんな私が、今短槍に見立てた棍をもって対峙しているのは、佐助。


偉丈夫と言うほどの体躯ではないですが、鍛え抜かれたしなやかな肉体は中々のものです。


苗字はまだないですが、遠くない将来「上月」という、忍頭の一人が代々受け継ぐ姓を名乗るのではないかと言われています。


要は若手ナンバーワンです。


彼は美少女(自称)らしからぬ私の立会い訓練の相手をしてくれているのです。


持っているのは忍刀に見立てた短い模造刀。


彼と私はギリギリ私の棍が届かない間合いを隔ててにらみ合っております。


その周りには、何名かの若者というか駆け出しの忍びたちがへたり込んでおります。


ハイ、私が倒しました。


こう見えて結構強いのですよ。美少女(自称)だけど立派な兵法者なのです。


私が訓練しているのは一対多の戦闘訓練。一対一で戦うなんて、今時大将どうしの一騎打ちでも発生しないと中々起こらないですからね。


そこで、美少女(自称)相手に容赦なく迫り来る駆け出し忍びたちを、庄八郎師匠直伝の短槍術でばったばったと打ち倒したのですが、最後にこの佐助が満を持して登場した訳です。


言うまでもないですが佐助は強いです。これまでの駆け出し君達とはちょっと桁が違います。


なので、最後の一人になるまでは様子見していてくれていたんですが、他は私にやられてしまったので、しょうがない・・という感じで今に至っています。


といっても彼からは一向に仕掛けて来ないので、私から仕掛ける事にしました。


男女の体格差はあるものの、棍をもった私の方がどう考えてもリーチが長いです。


それに膂力は兎も角、事スピードに関しては彼に劣るものでは無いと自負しております。


どうしても男性に比べて非力で小柄な女子としては、スピード勝負なのですよ。


格闘戦で短槍を使っているのもちゃんと理由があって、重くて振るのも大変な大太刀と違って、短槍であれば、重心位置近くを持て、行き足さえつければ、後は意外と少ない力で連撃を繰り出せるのです。


私は小脇に抱える様に穂先を横斜め下に構え、その時を待ちます。


なんでも無いですよ~、攻撃なんかしないですよ~というお気楽な表情見せつつ、その時期を窺います。


彼は真面目なので、私が不真面目なそぶりを見せると、必ず注意します。


こう見えても幼馴染といえる程、幼い頃からの付き合いなので、彼の性質は熟知しています。


「っ・・」


案の定、焦れた彼が何事か言おうとした瞬間、その一瞬を狙って棍を繰り出します。


間を外すというこれも立派な兵法です。


(受けてみよ!必殺!独楽舞!)


と今思いついた適当な必殺技の名前を心の中で叫びますが、これは声に出すと後で怒られるからです。


私は気合も十分、強く一歩を踏み込むと同時に、その地面から反動を腰から抱えた棍の後部に伝え、鋭く回転力を乗せて彼に向かって初撃を放ちます。


しかしこれは囮。本命は体を素早く回転させて再び繰り出す二撃目です。


しかも微妙に軌道を変則させるおまけ付き(予定)。


ありとあらゆる手管を使った渾身の一撃!


これはさすがに決まるだろうと、心の中でほくそ笑みます。倒すのは無理ですが、せめて一発位当てたい。それが私の目標です。


初撃がかわされるまでは予定通り、と、瞬間違和感が?!鋭く体を回転させ二撃目の狙いを定める為、彼に視線を向けると、彼の顔が目の前に。


「え?!」


予想以上のスピードで彼の接近を許してしまいます。しかも二撃目も模造刀にいなされ、地面に穂先が激突。


しまった誘われた!と後悔するも時既に遅し。


一瞬で懐に入られた私はなす術無く、彼の体当たりをまともに食らってしまいます。


「ぎゃふん」


美少女(自称)らしからぬ悲鳴を上げつつ体勢も備えられないまま哀れ吹っ飛ばされる私。


無防備な胴体部に真面にタックルを食らったため、呼吸が止まる程の衝撃を受けて体の自由が一瞬奪われます。


やばい受身が取れない。地面に激突する!容赦ねぇな!佐助!と本気で危機感を感じたのも束の間、何者かが私を柔らかく受け止めてくれた為、何とか危機を脱することが出来た様です。


神か?!


兄だった。


「おゆきまだこんな事やっているのか?いい加減にしないとその内怪我するぞ。佐助も適当に手を抜いてやれ」


至極もっともな事おっしゃった。そうだ、そうだ佐助お前が悪い。もうちょっと手加減しろ。


「信幸様何かご用が?」


主君の跡継ぎの言葉をスルーしたよ。お前すげーな佐助。


「おおそうだ。おゆき、父上が呼んでおられる。行くぞ」


兄は私を抱きかかえたまま、館に誘う。というかかなり強引に連行される私。


嫌な予感しかない・・・。


しばらく人物紹介的な展開を予定しています。その内纏められたらいいなぁと思っているので、適当に何となく雰囲気だけでも把握頂けたらと思います。

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