◆雑記・参考文献◇
◆はじめに。
『婦好戦記』では、歴史を題材とした小説でありながら、一少女の視点で話が進むため、歴史的な記述が少ないつくりとなっています。
歴史的な知識を求めている方のため参考文献を、また、調べたことの備忘記録をここに記していきます。(今後さらに増設予定)
◆『婦好戦記』漢字起源解説
『婦好戦記』本文中に出てくる、漢字の起源については、故、白川静先生の研究を参考にしています。
以下、白川静『字統』(平凡社、一九八四年)より抜粋いたします。(以下敬称略)
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「階」(カイ、きざはし)
フ(偏)は、神梯で、神霊の陟降するところ。皆は祝祷に対して、神霊の並び降ることをいう。
「臤」(ケン、かしこい)
臣は眼の形。目に又(手)を加えて、その眼睛を失うことをいう。
「道」(ドウ、みち、みちびく、いう)
首を携えて道を行く意で、おそらく異族の首を携えて、外に通ずる道を進むこと、すなわち除道の行為をいうものであろう。
「法」(ホウ、のり、のっとる、てだて)
タイ(旁)は神判に用いる神羊で、獬タイとよばれるもの。去は大とキョに従うて、大はその神判に敗れたものの正面系。キョはその審判のとき、自己詛盟をして誓った盟誓の器の形であるサイの、蓋をとり払った形。その詛盟に虚偽があったとして蓋を去り、破棄する意を示す。すなわち法の字形は、その敗訴者の提供した神羊とともに、水に投棄することを示す字で、金文には、これを大きな獣皮に包んで投棄することを示すものがある。その獣皮はシ夷と呼ばれるもので、馬を空抜きにしたような大きなものを用いたのであろう。敗訴者は神を欺き、神を穢したものとして、わが国の大祓のような法式によって、八重潮の潮のかなたに遠く流される。のちその神羊の形であるタイを省略したものが、法である。
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※漢字変換できなかった部分は、カタカナ表記としております。興味をもたれたかたは、ぜひ、白川文学を参照いただければと思います。
◆主要参考文献(著者の姓の五十音順)
落合淳思『殷──中国史最古の王朝』中公新書、二〇一五年
落合淳思『殷代史研究』朋友書店、二〇一二年
佐藤信弥『中国古代史研究の最前線』星海社、二〇一八年
白川静『文字講話』平凡社、二〇一六年
白川静『字統』平凡社、一九八四年
鈴木舞『殷代青銅器の生産体制』六一書房、二〇一七年
曹定雲『殷墟婦好墓銘文研究』雲南人民出版社、二〇〇七年
※『婦好戦記』はフィクションです。




