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はたらくのりもの  作者: 楪葉 悠乃(ゆずりは ゆの)
8/30

邂逅、ガールミーツおじ、お兄さん

ゴブリンを無茶苦茶引き殺した

車の独特な臭いと、ゴブのあれこれがびっしゃりなので、そりゃあちょっと臭いかもしれないけど、体臭とかではないよ!

私はコロナ、16歳になりました。狼系の血筋をひいているそうです。お陰で、身体はそんなに大きくありませんが、走るのは得意な方です。


今日もいつものように薬草を摘みに、村から少し離れた森に出掛けたのですが、森の動物が悪さでもしたのか、入り口付近のポイントは荒らされていました。


普段なら、素直に村に戻り空いた時間を手仕事にあてるのですが、そろそろ涼しくなってきた時期なので、今のうちに多目に薬草は採っておきたいところです。なので私は、少しだけ森の奥に進むことにしたのでした。



森の奥には様々な生き物が居ます。美味しく食べられる動物もいれば、逆に私達を食べてしまうような大型の肉食獣も居るそうです。また、魔物も出るそうです。私は見たことはありませんし、こんな小娘が肉食獣や魔物に遭おうものなら、多分美味しく食べられてしまうのでしょう。村長や村の大人たちから何度も聞かされているお話で知ってはいましたが、これまで見たことがないのでお話の中の存在だと思っていました。



少し奥に進むと、薬草の群生地が見つかりました。入り口付近では見掛けない、貴重な物もいくつかありました。持ってきた籠が一杯になりました。そして気が付くと、前方からゴブリンが走ってきているところでした。



必死で逃げました。森を出て、村と反対側に出てしまったので、大きく回り込めるように頑張りました。途中で籠を落としてしまいましたが、背に腹は代えられません。命と色々なものを守るために走りました。


…少し引き離しましたが、このペースで走り続けるのは無理そうです。対して向こうは余裕そうです、ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべて流すように追いかけてきています。何処かに隠れようにも見通しの良い荒野が眼前に広がります。


……息があがり胸が痛くなってきました。今のところ距離はとれていますが、こちらの限界が近いようです。向こうは歩いているやつも居ますね。五匹くらい走ってきてて、二、三匹が様子を見ながら歩いてきてます。

その後ろから、遠くから、土煙をあげながら何か大きなものがすごい早さでこちらに向かってきています!


必死で逃げました、後ろを振り返ることなく全力も全力です。後方からぐしゃりごしゃりと鈍く大きな音が何回か聞こえました。ゴブリンの叫び声とおぼしき雑音も響きました。


もう限界です、足がもつれて前に倒れました。身体を動かそうとしても力が入りません、起き上がれません。あれだけうるさかった音も聞こえなくなりました、もしかすると私は知らないうちに死んでしまっていたのかもしれません。この世はなんと無慈悲なのでしょう、自分の無力とあまりの理不尽に悔しくて涙が出そうです。


「えーっと、大丈夫かな?」


こちらを気遣う優しそうな声が聞こえました。お迎えと言うあれでしょうか?ただ残念なことに呼吸を整えることで精一杯なので、返事をすることが出来ません。

あれ?死んだはずなのに、呼吸は必要なんですね。からだのあちこちも痛いです。私まだ生きてる?


「ひどい目にあったみたいだし、地べたでねっころがしておくのもなぁ。ごめんね、抱えて運ぶよ。とりあえず車に、安全なとこに行くから」


目を開けることも出来ません。優しく抱えられたと思うと柔らかくて独特な臭いのある床に置かれました。荒野を走っていたのに、地面が土や草では無いと言うことは、やはりここは死んだ後の世界なのでしょう。納得です。

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