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はたらくのりもの  作者: 楪葉 悠乃(ゆずりは ゆの)
18/30

宴会の翌日

宴会の翌日、コロナに起こされ村長の家に呼ばれた。朝の挨拶と泊めて貰った礼をして朝御飯をいただく。炊いたお米に野菜の漬け物とスープのようなもの。和食っぽいけど、味噌は無さそうである。


「粗末なものですみません、何せうちの村では人手が少なく畑も小さいもので、警邏中に獣でも狩れれば肉も出せるのですが」


「いえいえ、手作りのあさごはんって感じで嬉しいですよ」


朝の四時前からトラックを動かし、家には夜の八時過ぎに帰りつく。二十代後半の独身男性にしてわりとブラックな酒屋でのトラックドライバーであるヒロシにとって、ご飯は基本車のなかでのおにぎりやお菓子、手軽に食べられるものがほとんどである。ごく稀に運転しながらコンビニ弁当とかするときもあるけど、よゐこは真似をしてはいけないよ?

ともあれ、あたたかいご飯はそれだけでご馳走である。それも綺麗なお姉さんと可愛い女の子の手作りと思われる朝御飯が用意されているとなれば、十分にご馳走である。


「このお米はお母さんの手作りなんだよ!」


「お米が手作り?ご飯を作ってくれたってことかな?」


「ううん、お母さんが、お米を作ってるの」


「なるほど、村長だし稲作を。それにしては、昨日ざっくり見た感じ水田は無かったけど。この世界だと稲作は違うやり方なのかな?」


「すみません、ヒロシ様。このお米は私が魔力で作り出したものでして。この力のお陰で若輩ながらも、長の役割につかされている次第です。お口にあえば良いのですが」


なるほど、お米を作ってるのですね。異世界凄いなぁ。そう言えば、村で魔法を使えるかって話を聞いたっけ。

すごくふっくらしてて、炊きたてお米の独特の良いにおい。噛み締めるごとに甘さが口一杯に染み渡る。一回だけ泊まったことがある、某高級旅館の朝食で食べた味とそっくりである。いつも食べてるスーパーのお米とは確実にちがうことがはっきりわかる、グレードの高い系のお米だ。ものすごく美味しい。



朝食後のお茶をいただいていると、コロナがご飯一式を持って出掛けていった。


「村長さん、コロナはどこ行くんです?」

文化や世界が違えども、田舎出身のヒロシの考えは、ご飯をわざわざ届けるなら、一緒に住めば良いのに、と。ならば居ないことの理由があるのだろう。深い考えはない、単純に浮かんだ疑問を口にした。


「村長さんなどと、私ごときはカルナ、で充分ですヒロシ様。

それでコロナですが、村はずれのおばば様のお世話に向かいました。その、少し変わった方でして。決まった時間以外は連絡もできないと言いますか」


「そっか、まぁ色々いろんな人がいるよね」


異世界で異種族が色々いるのだから、平凡な日本人の自分には理解出来ないことも多いだろう。


「ところでヒロシ様、旅の途中とのことでしたが、これからのご予定はどのようになされるのですか?

勿論この村に好きなだけ居てくださっても、何もないところですが、私を好きにしていただいて構いませんから」


途中からおかしい、なんだろう。今目の前の美人さんから好きにしてと言われた気がする。

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