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はたらくのりもの  作者: 楪葉 悠乃(ゆずりは ゆの)
15/30

そして宴会へ…

アルコールが入りました

異世界で生ビールを飲む。居酒屋にあるような専用のサーバーは無くても、お祭りの屋台であるようなレンタルサーバーがあれば可能だったりする。


「くあー、染みる!」


トラック召喚の後、早速一杯。トラックの荷台からサーバーとビールの樽を降ろしガスを繋ぎ、簡単な台を用意して設置完了。売り物のプラスチックのコップ(祭りの屋台の生ビール三百ミリカップ)に注いでとりあえず生である。だが、飲めたのは最初の一杯だけだった。召喚のために離れていた村の皆が、俺の様子を見て近くまで集まってきたためである。皆を代表してコロナがたずねてくる。


「ねぇねぇヒロシさん、それ、何ですか?」


「俺の世界のお酒のひとつなんだけど、んー、とりあえず飲んでみる?」


新しいコップにビールを入れて配っていく。途中で中身が無くなったので樽を入れ替えて、サーバー一式をもう一個作り出し、近くにいた人にやり方を教えて押し付ける。試しにと七リットルの小さな樽でやったのだが、瞬殺だったなぁ。このメーカーの一番大きな20リットルの樽に替えて同じく任せる。ビール注ぐ係任命、まぁなんか勝手に飲んでてもらえれば良いかなと。

ビールだけでも飽きるだろうと、ウイスキーやブランデー、焼酎や日本酒も並べていく。割り材各種シロップも近くに用意して、好みを聞いて渡していく。


ざっくりだけど、大きめな居酒屋10件分の週末の1日に消費される飲料が積まれている。ビール等のアルコールだけではなく、ジュースも水や氷も、ジャーキーや冷凍食品、醤油や味噌、梅干しなんかもある。助手席にはちょいとお高めのシャンパンも乗ってる。


こっちの世界にも簡単なエールやどぶろくのようなお酒は普通にあるらしいので、とりあえず好きなものを食べて飲んでもらおう。


「お兄さん、凄いっすねー。色々いただいたっすけど全部おいしかったっす!」


緑色の短くまとめた髪に犬耳と言うか狼耳がこんにちは、小柄だけどパワフルなオーラを出している。可愛いけど、独特なしゃべり方。三下チック?ちょっとやかましい後輩ちゃん?でも嫌いじゃないかな。


「あー、ありがとう。喜んでもらえてるなら嬉しい。」


「お礼を言うのはこっちっすよー。コロナちゃんを助けてくれて、美味しい食べ物とお酒をいっぱい貰ってるんすから」


俺の言葉を聞いて笑いながら返してくる。


「そう言えばそっか、でも、何か嬉しくってな。」


異世界二日目、人とのふれあい、会話、まともなコミュニケーション。思えば週で一番ハードな仕事上がりに拉致され、故郷には戻れないようにされ、よくわからないファンタジー世界でゴブリンを引き殺したりした。馴染みのビールとお祭りの雰囲気、ようやく落ち着けたような気がして、余計に嬉しく感じるのかもしれない。コロナの時は生き物引いてすぐだったしな。


「や、何かまともな会話に飢えてたのかもな。色々あってさ」


「?まぁお兄さんが村を気に入って貰ってるんなら良かったっす」


首を傾げたがすぐ戻し、笑顔でカップのビールを飲み干した。

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