箱車ではなくカバーのタイプです
お菓子で餌付けに成功
追加を造りに車に戻る。キーちゃんは寝てた。もう、自由だなこいつ。
この世界に来てわかったこと。俺のスキル限定なのかわからんが、このお菓子セットやお茶等は、車の中じゃないと創造できない。
熟練度が上げれば離れた場所でとか他のものが出来たりするんじゃないかとか言われたが、出来ないものはしょうがない。
そのうち出来るかもしれないってんなら、そんときだな。
それにしても俺セレクトのコンビニ食料達が大好評だったようで嬉しい。運転中に食べるもの、おにぎりとか菓子パンは当然なんだけど、甘い辛い塩っぱいが見事にあわさって最強に見える布陣。塩昆布とか梅干しもどきもあるのでスナックだけでは無いところをね。チョコもポテチーも、毎日食えるわけじゃあ無いから、一週間分のまとめ買いをしておいて良かった。
「ヒロシ様は一体何者なのでしょう?」
あのあと3回ほど行って戻って出して追加でお菓子パーティをしていた。幾らでも作り出せるとはいえ、運べるのは2本の腕だけだからである。俺がいくらお人好しで危機感の無い人間とは言え、まだ他人に愛車に近寄らせたくないと言う感覚があったからだ。
お菓子パーティには村の人間もどんどん参加してきて、今では奥のほうで酒を飲んでる人間もいる。
「この歯応えのある白いやつヤバイな、酒が止まらんぞ!」
いかくんかなぁ、スルメやたらたら君もあったから、酒に合うだろうな。
「こっちの赤いパリパリしたやつは辛くて凄く酒に合うんだけどー」
「同じ形で白っぽい粉がまぶされてるのは、なんか魔法みたいに甘くてオイリーで、いくらでもいけちゃいそうです!」
イカの姿をした煎餅のカラシとマヨネーズのあれだな。ビール飲みたいなぁ。
『ビール飲めますよー』
姿は見えないが急に声が聞こえてきた。
「キーか。起きたのか?ビールってこっちの世界にもあるのか?」
『マスターの中に、お酒を運ぶのりものがあったじゃないですかー。今ならあれもいけちゃいそうですよー』
「職場のトラックのことか、いけるって、まさか」
『はいー、多分なんですけど、お昼にゴブリンを倒したことで熟練度が上がったんだと思いますー。今まで最適化に要領食われてましたので、セーフモードでしたが、おかげでワンランク上の召喚が出来そうですー』
なんか自由でおひるねしてるとかいってごめん、頑張ってくれてたのね。
『いえいえー。それでどうしましょう、やっちゃいますかー?』
んー、3トントラックが人の集団の中に突如降ってくるとかどう考えてもヤバイよな。
「どうされましたか、魔力の使いすぎでしょうか?」
心配そうなカルナさんが声をかけてきた。そう言えば気が付けば敬語で話されてるな、引かれた?
キーとの会話って言うか、はたから見たら独り言だもんな。でも、その前から敬語だったような。まぁ良いや。
「あ、それは全然大丈夫なんですけど。それよりちょうど良かった、村長さん。ちょっとスペースを貸してもらって大丈夫ですか?」
「?」
会場外の広場に、大きなものを出しても良いと言う許可をもらったので、早速行うことにした。
「キー、準備は良いか?」
『アイアイ、マスター!シンクロ完了、トラックが意識領域で固定されました、魔力と呪文をお願いします。前回よりは軽めでお願いします!』
ちょっと気が削がれたが、ビールのためにノリノリである。後ろに刺さる村人さんたちの視線もそんなに気にならない。
「いくぞ、出てこい、俺のトラック!クリエイト!」
身体から何かが抜け落ちて、それが形を変えていく感覚。愛車召喚の経験があったため、今回はスムーズにいった気がする。
数瞬ののち、酒屋の配送で使われる、よくある形の3トントラックが姿を現した。
「荷台は出発前の、もりもりの状態じゃん、何これ凄い!」
1日の出荷分を店毎に組んで、トラックの荷台に積載する。
ある店は段ボール、ある店はプラスチックのケース、ある店は一升瓶のケースといった具合にまとめ、毎日平均40店舗ほど酒や飲料を配達している。
生ビールの樽がずしりと積み上げられ、崩れないようにケースや段ボールを組み上げ、決められた限りのあるスペースに敷き詰める。まさに芸術である。
さておき、中身全部新品で、入っている状態で、3トントラックの山盛りの飲料や食品が顕現した。
全部並べてひろげると、教室の黒板二枚半くらい。樽やケースの量で前後します。