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笑わない少女と勇者とその力……

「ほう! もう一人も勇者だったとは。 これはまことに興味を惹かれる事象ですが…… 致し方ない、【世界ワールド】の指示には従わねば。 骸闘士よ、後は任せましたぞ」


タワー】はそう言うとその場から消える……

どうやら転移したようね。

……クソッタレな置き土産を残して。


こちらの戦力は、私とスバル。それにデスデモーナとその機械兵ゴーレム

ここで未知数なのはデスデモーナとその機械兵ゴーレムだけど……

チラとそのデスデモーナに視線をやると、任せろとばかりに頷いた。


すかさず機械兵ゴーレムに命令するデスデモーナ。


「やれ。 ゴーレム」

その命令に従い機械兵ゴーレムはその巨体を動かしもう一つの巨体たる死者巨人ジャイアントゾンビに相対する。

そしてその拳を死者巨人ジャイアントゾンビに振り下ろした。


凄まじい轟音と衝撃が王墓を震え上がらせる。


機械兵ゴーレムの拳が死者巨人ジャイアントゾンビの顔面に叩きつけられ、その巨体を大きく揺るがした。


「ゴーレム、連打ラッシュ

そのまま畳掛けようとデスデモーナは連打の命令を機械兵ゴーレムに与えた。

機械のうなりを上げてその剛腕を振りかぶり、死者巨人ジャイアントゾンビの反撃など許さぬとばかりに攻撃の手を緩めない。

圧勝するかに思われた闘いはしかし、死者巨人ジャイアントゾンビが連打の合間をぬって放たれた攻撃でその動きが止まってしまう。


その連打の隙を突いた攻撃は、機械兵ゴーレムの胸に突き刺さり数歩ほど後退させた。

その攻撃は、死者巨人ジャイアントゾンビの身体から伸びた数多の人間の身体が繋がった物だった。

その攻撃を切っ掛けにして、その体面から幾つもの手や足の様な物が生えウゾウゾと蠢く。

機械兵ゴーレムはいや、それを操るデスデモーナはそれには頓着せずに攻撃を続けさせる。

大きく振りかぶった一撃。

が、しかし……


死者巨人ジャイアントゾンビは小動もせずその拳を受け止めていた。

その身体の表面にはなにやら黒いオーラの様な物が出ていてそれで機械兵ゴーレムの拳を受け止めたようだった。


「あれはっ!? 物理無効のエフェクト!」

そのオーラを見たスバルが驚愕の声を上げた。

物理無効、それが正しいなら機械兵ゴーレムの攻撃は意味がない事になる。


スバルも剣聖マスターオブソード、物理主体のはず…… つまりそれは、攻撃手段を持つのが私だけということになる。


だが。


「問題ない。 ゴーレムは無敵!」

デスデモーナが不敵に微笑む。 それは絶対の自信を感じさせるもので。


「ゴーレム! 破壊衝撃は《ディストラクションインパクト》!」

デスデモーナの指令語コマンドにより機械兵ゴーレムの両腕がうなりを上げる。

そしてその両腕が展開して開き、その隙間から眩い光があふれる。


その光は空中で文字となり、腕を中心として回転しだす。


あれは! あの左腕の文字はまったく解読出来ないけれど一部が束縛系の力を持っていることは分かる。 その証拠に死者巨人ジャイアントゾンビはまったく身動きが取れていない。

そして右腕の文字のほとんどの部分は魔力威力転換だろう。 凄まじい勢いで今まで機械兵ゴーレムに存在してなかった魔力が高まっている。

つまり物理力を魔力に転換する力。


「ゴーレム! ラストアクション」

機械兵ゴーレムは、その言葉と共に右腕を死者巨人ジャイアントゾンビに向けて振り上げる。

死者巨人ジャイアントゾンビは逃れようとするがその身体はまったく動かない。そして高々と振り上げられた機械兵ゴーレムの拳はあっけなく死者巨人ジャイアントゾンビに叩きつけられる。

叩きつけたと同時に凄まじい唸りと共に両腕の文字が更に回転を速くしてそして。


死者巨人ジャイアントゾンビはサラサラと砂のようになりコナゴナになって消滅した。



……この、力は。


歓声を上げてデスデモーナに近づいていくスバルを横目に、私は戦慄した。


あれは神話時代(E2O)の機構そのものだ。 私の『始原蝶オリジン』にも似たあの力。

勇者ブレイバーの力はやはり脅威ね。

ハイタッチを決める二人を横目に私はため息を吐いた。


取りあえず、王魔将ベスティアリーダーの報告もあるしラル=ハランへ戻ることにした。



ラル=ハランの冒険者ギルドへ到着しすぐさまギルド長の元へ通される。


話の最初はニコニコとしていたアルセミナだったが次第に深刻な表情になっていく。

あたりまえね、首都の近くで王魔将ベスティアリーダーが生まれたのだから。


「これは由々しき事態だな。 すまないがランクアップの話は少し待ってくれ。 まずはこの懸案を会議に掛ける必要がある」


そう言って退室を命じられ私達は一階に戻る。


やれやれ、めんどくさい事になったと私は肩を竦めるのだった。




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