笑わない少女と勇者と機械兵……
6月30日の投稿になります。
時間が開いてしまい申し訳ありません。
第一章の編集作業終了しました。
全24話にまとめております。
よければ読み直していだだけると幸いです。 まあたいした変化はありませんが。
丘巨人の同種食いは、恭しく一礼をした後私達に自己紹介を始めた。
「初めまして私の名前は【塔】、魔王オージャ様に仕える王魔将の一人でございます。」
やはりこいつも王魔将か……
どこか貴種の風格を漂わせる【塔】は、こちらを見やると得心がいったように頷く。
そして。
「ああ、自己紹介は結構ですよ。 あなた方の事は存じておりますれば」
生まれたばかりに見えたが私達の事を知っている? どういう事なの?
「あなたが勇者」
そう言ってスバルを見る。
「そして、あなたがこの世界のオージャ様を滅ぼした人造勇者」
この世界の? こいつの言うことはまるで、魔王が他にも存在するかのような言い方で……
その後【塔】は、残念そうに告げる。
「あなた達とやり合ってみたかったのですが、【世界】から禁止されておりましてな? 非常に残念ですがここでお暇させていただきます」
【世界】、また新しい名前が出て来た。 一体何体いるのだこいつらは?
「【剛力】に【節制】に【塔】、【世界】それに【戦車】。 もしかしてこいつら大アルカナの名前じゃ? てことは22体存在するってことか?」
スバルのつぶやきが聞こえて来た。 22体? あんな物が22体もいるなんて。
「しかし袖触れ合うも他生の縁と申しますれば、一つ私の玩具と遊んでいただきたい」
そう言うや【塔】はなにやら呪文らしき物を詠唱し始める。
詠唱? 丘巨人が魔法を使うなど聞いた事がない。
そのありえない事態にヤツの詠唱を阻止するのが遅れ、ヤツは詠唱を完成させてしまった。
「御出でなさい。 我が僕達よ」
そう言うと、王墓のあちこちから埋葬されていたであろう遺体が地面から湧き出るように出現した。
「死霊使いか!?」
私達はそれぞれ武器を構え、散開する。 しかし。
「まだこれで終わりではないですぞ? さあ私に真の姿をお見せなさい!」
【塔】がそう言うと、その出現した遺体は浮かび上がり空中で一つになった。
爆発的な魔力の奔流が王墓にあふれだす。
黒い光としか形容できない光が辺りを照らしそれが晴れた時、現れたものは。
それは全長10メートルもあるほどの死せる巨人だった。、死者巨人とも言うべき物が私達の前に姿を現したのだった。。
「こんなのE2Oでもいなかったぞ!?」
スバルが焦ったような声を上げる。 それでも剣を死者巨人に向け戦意は失っていないようだ。
とはいえ、これはまずいわね。 デスデモーナを庇いがら戦うのは難しいかもしれない。
デスデモーナだけでも転移で逃がすか?
私の考えに気付いたのか、デスデモーナがこちらを向き親指を立てる。
「問題ない私戦力!」
そう言うと彼女は地面に手を着き叫ぶ。
「出てこい。 機械兵!」
その叫びに呼応したかのように地面が隆起しそして地面から巨大な腕が突き出された。
「うおおおおお!? なんだこれ?」
その腕の現れた場所のすぐ側にいたスバルが、慌てて私の方に避難してきた。
その出現した腕はそこで止まらず、ゆっくりと全身を地表に表していく。
そそ現れたものは。
全高10メートル強の体は金属に光沢に彩られ、白銀の輝きを周囲に照らしていた。
巨大な騎士のように見えるそれは片膝を着きデスデモーナに頭を垂れている。
これは…… 伝説にある機械兵?
自慢げに私達の方に向き胸を逸らす機械兵を従えたデスデモーナ。
そして彼女がステータスをこちらに向ける。
最初に出会った時に見たステータスは、レベル36程度だったはず。
しかし今、彼女が提示したステータスには。
名前:デスデモーナ・マナシュ・ラス・レシュトーラナ
職業:創造主/勇者
レベル:500
STE:125
DEX:255
AGI:180
VIT:200
INT:255
LUK:208
とあった。
「デスデモーナさんが勇者!?」
ステータスを覗き込んで驚きの叫びを上げるスバルに、デスデモーナはニンマリと笑うのだった。
さてここまでは昔から考えてたネタですが、これからどうしよう……