笑わない少女と勇者と王墓……
6月27日(月)の投稿になります。
丘巨人のセリフを変更します。
代々のレシュトーラナ王国の王族を埋葬する巨大な王墓。
ラル=ハランの北側に広がる丘にその王墓はある。
王墓はその一部を観光客に開放しており、誰でも見学することが可能だ。
とはいえ見学可能なのはほんの入り口までなのだが。
その入口に埋葬されているのは王族ではなく、その忠臣達であるので王墓を見学出来る訳ではないのかもしれないが。
それはともかく、今は観光客など一人もいない。
それはそうだろう。 まず軍によって封鎖されているし、よしんば封鎖されてなかったとしても、誰が魔物が居着いている観光地にくるのか。
まあおかげで、誰にも邪魔されることなく討伐が出来るのだけれども。
あの後すぐさま王墓へ向かった私達だが、最初に墓を封鎖している軍に拘束されそうになった。
が、なぜか一緒に付いてきたデスデモーナによってすぐに開放された。
「まさか、デスデモーナさんがレシュトーラナの姫だったなんて……」
スバルがデスデモーナを見ながら、信じられないと言った面持でしみじみ呟いた。
道理でギルド長の前でも堂々としていた訳ね。
そういえばギルドの職員もデスデモーナの事を知っている風だったと思い返していた。
デスデモーナは、スバルの前に立つとふんぞり返った。
「私偉い。崇めるといい」
「ははー!」
二人がそんな風にじゃれあっているのを尻目に、王墓の索敵を始める。
おっとり刀で(急いだが)ようやくスバルも索敵を始める。
さすがは勇者の能力で、目標の丘巨人をすぐに発見出来た。
王墓の内部はまるで迷宮と見まごうばかりに入り組んでいた。
天井がないので暗いと言う訳ではないが。
「墓荒らし用の罠ある注意する」
そう言うデスデモーナの忠告に警戒を強め、目標に近づく。
罠は機械的な物もあったが、メインはこの迷宮じみたこの通路だろう。
幾度か行き止まりに当たり、何度も引き返すはめになった。
そこで浮遊で上から順路を確認することを思いつき、ようやく目標にたどり着くことに成功した。
そこに居たものは……
全高8メートルほどの丘巨人だった。
どうやら壁にもたれ掛かって眠っているようだが。
通常の丘巨人は全高4~5メートルほどのサイズであるが、これは……
上から見た時は、壁が死角になっていて正確な大きさは分からなかったのだが。
この大きさは異常過ぎる。 いくら亜種だとしても。
「こいつステータスが丘巨人としか表示されないんだけど」
スバルも困惑している。
こんな異常種なら亜種としての名前が表示されるはずである。 それがないとなると。
そこで、ある物が目に止まり怖気が走った。
その寝ている丘巨人の側にこれまた巨大な骨が転がっていた。
人間の骨をそのまま大きくしたような……
「ま、マキナ! こいつの表示が変化していくよ!!」
そのスバルの叫びに反応したかのように眠っている丘巨人の皮膚がみるみる内にどす黒く染まっていく。
そしてその目がゆっくりと開く。
その目は、金色。
そう同種食いの誕生だった。
その同種食いが壁に手を着いて起き上がる間に身体が大きくなっていく。
身体が大きくなるごとにギシギシという音が王墓に響き渡る。
そして、最終的に全高12メートルを超えるほどになった。
「ふむ、どうやら寝ていたようですね」
丘巨人の同種食いは、そう言い目をこすりながら周りを見渡す。
「おや? そこにいるのはどちら様ですかな?」
やけに丁寧な口調ではあるが、その狂気に満ちた金の瞳は私達を捉えて離さないのだった。
文書が浮かんでこない。
最近書いた物は後々書き直すかもしれません。
もしや おっとり刀でようやく ってウチの地方の方言なのだろうか?
急いだけど遅れたみたいな意味合いなんですがどうでしょう?