笑わない少女と勇者と巨人……
6月26日(日)の投稿になります。
ちょっとスランプぎみ?です。
「君が何を気にしているのか、大体把握しているよ。 安心するといい。別にレシュトーラナ王国はギルドに干渉した結果、私がギルド長の地位に着いた訳ではないよ」
そう言って私を見つめてくるギルド長。
レシュトーラナ王国の冒険者ギルドの長の地位にレシュトーラナ王国の王族が収まっている。
これを、国によるギルドへの干渉の結果だと思うのはごく自然の事だと思うけれど、さて……
「そもそも私は先々代の王妹なのでね。王位継承権はすでにないよ」
ギルド長の言葉に私は記憶を掘り返す。
そういえば、妖精種の側妃を娶った王の話があったような、レシュトーラナ王国の話だったかしら?
ちなみに、人間種と獣人や妖精種の混血はどちらかの親の種族になる。
そうこの国の歴史などを思い返していると、ギルド長から席を勧められたのでスバル共々着席する。
デスデモーナはすでに着席していた。
「さて、君達のランクアップだったね? スタッドのギルド長によると白銀以上が望ましいと念通話ではあったけれども。 もちろんこの手紙にも念押ししてあったよ……」
私達が席に着く間に、読み終えたのか手紙を私達に見せテーブルに置く。
それから再びギルド長は話出す。
「とりあえず、ステータスを見せてもらえるかな? なんにせよ判断材料が欲しい」
スバルと視線を交わし頷くとそれぞれステータスを可視化した。
「ふーむ、実際に見て見るとすごいな」
私とスバルのステータスを交互に見ながら感嘆の声を上げる。
「ありがとう。 さて、能力的にはまったく問題がないようだ。君達のランクアップを認め……たいところなんだが、すまない! 横槍が入ってね。 そのままランクアップという訳にはいかなくなった」
ギルド長は本当にすまないと謝って来た。
横槍……ね。
私は何も言わずただ視線を送って話の続きを促した。
「知っての通り、白銀になるには高ランク者の推薦がいる。しかし君達には推薦する人がいない。 そこを指摘されてね」
頭の固いヤツだよ。と愚痴を言っている内容から少なくとも大勢ではなさそうだ。
「じゃあ僕達はどうしたらいいんですか?」
スバルの問いにギルド長はその問いを待っていたとばかりに話出した。
「それなんだが、君達には私からの依頼を受けてもらう。 ギルド長からではなく、王族である私からのだ」
その依頼達成で、ギルド長ではなく王族であるアルセミナ先々王妹からの推薦を貰うと言う訳ね。
たしか推薦は王族、上級貴族からのでもよかったはず。
「依頼ランクはちょっと高めだが君達なら問題ないはずだ」
そう言ってギルド長は書類を取り出す。
「内容は、丘巨人の討伐だ。 それも上位種」
なんでもこの近くには王族の遺体を安置する王墓があるらしく、最近そこに丘巨人がどこからともなく現れ住み着いたらしい。
当然、国は軍を派遣したがあえなく敗退。
次の軍を派遣するためにも軍費が掛かる。
加えて今は収穫期でもあった。 特にレシュトーラナは土地があまり豊かではないので収穫期に人員を削るともろに国家予算に影響が出る。
「まあ今回は渡りに船だったよ」
そう言って笑うギルド長だが……
話しがうますぎる気がするが、まあいい。
乗せられてやりましょうか。
私達は依頼を引き受けることにした。
丘巨人程度ならなんの問題もない。
そうこの時は思っていたのだけれど……




