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笑わない少女と勇者と疑念……

6月11日(土)の投稿となります。


ここから基本的にマキナ視点で進みます。


スバル視点はある伏線のためなので頭の隅にでも置いておいてもらえれば幸いです。

……失敗したわね。

私はさっきの事を思い返していた。



この世界の事を教えてくれ、とせがむスバルに色々な話をした。

……途中必要ない歴史の話もしたが。


昔からそうだった。 私は歴史好きだ。

学園でも魔法学より歴史学のほうが楽しかったくらいには。


そのせいでイジメを受けたこともあったが……イジメ? だれに?

だ れ が……


-----ーーー


はっ!?


今、なにを考えていたんだったかしら?

鈍い頭痛を感じ頭を軽く振る。


そうスバルのことね。

スバルは、なんだか現実味がないというか、どこかフワフワした印象を受ける少年だった。


ある程度この世界について教えた後、彼の世界について聞いてみたが,

かなり文明の進んだ世界だったようだ。

それこそ神話時代(E2O)のような。


少なくとも魔物モンスターのいない世界ではあったようだ。

しかしそれだと色々疑問がある。


魔物モンスターを倒す事にまったく混乱がなかった事だ。

なにかを隠している? どうも神話時代(E2O)の話をしていて言いよどむ時があるのが気になる。


油断はできない。

それでなくてもあの力は危険すぎる。

勇者ブレイバーのもつ力はレベル差を容易く超える事が出来る。

それはカンストした能力値を見れば想像可能だろう。

装備もそうだ。


神話武装ゴッズウェポンを持っていないとは言い切れない。

あのイージスブレードがそうなのだろうか?


ノースリーフの戒めの話を教えている時にも感じたが、平和ボケといえばいいのか凄く悪意に鈍感と言えばいいのか。

私の事も無条件で信じている節がある。


出会ってすぐの女をだ。

そのくせ魔物モンスターは平然と狩るのだ。


チグハグ。 そんな印象の少年だ。


魔物モンスターのいない平和な世界で育って、人の悪意に鈍感で、そのくせ魔物モンスターに平然と立ち向かえて、並みの人間を凌駕する力を持つ……


なにを言っているのだ。 他の人間から聞いたなら一人の人間についての評価だとは思わないだろう。


おぞましいなにかの片鱗に触れてしまったかのようだ。

これが勇者ブレイバーなの?


不用意に関わるべきではなかったのかもしれない。

しかしもう遅い。






明けて翌朝。


まだ眠そうにしているスバルを伴ってギルドへと。

朝早いのは彼の提案によるものだ。 なんでも絡まれるのはめんどそうだそうだ。


テンプレがどうとか言っていたが……


「しっかり歩く!」

「ふあーい」


まだ寝ぼけているかのような返事にイライラするが次第にしゃっきりしだす。


ギルド内は、日をまたいで依頼を達成した冒険者以外はまだいないようだ。

その冒険者も少数でカウンターで受付をすますと足早にギルドを出ていく。

出来るだけこちらを見ないようにして去っていくのは初日の効果(・・・・・)が出ていると言う事だろう。


「なんかマキナ見てビビってる感じしたけど?」

「女性が苦手なんでしょう。 それより掲示板の所へ行きましょう」

丁度、新しい依頼が何枚か追加されていた。 


「うーん、なにがいいのかなあ?」

スバルがなににするか悩んでこちらを見てくる。

昨日の話では手早くランクを上げたいということなので、とりあえず裏道を使ってやる事にする。


「これと、これ」

手早く依頼書を引きはがし受付へ。


カウンターには三人の受付嬢が座って対応していたが、その中で一つだけ人の並んでいない所。

不機嫌オーラで冒険者を牽制しているデスデモーナの所へと。


「むう、マキナ来てしまった」

早番で今だ眠そうなデスデモーナは、相変わらず起きてるのか分からない目でこちらを睨むがあきらめて仕事をして欲しいものだ。 ギルドの受付嬢として給料を貰っているなら。


「まず、このスバルとパーティーの登録と、パーティーでこれとこれの依頼を受けるわ」


本来、自分のランク以上の依頼は受けれない。 カッパーランクの依頼では評価ポイントの低い依頼しかない。

そこでパーティーである。

パーティーを組む事でそのパーティー内での最大ランク、つまり私のアイアンランクの依頼を受けれる。

この時、依頼を達成すれば評価ポイントはパーティー全員に入る。

これが裏道だ。


おもに、貴族のボンボンなどの冒険者ランクを素早く上げる場合が多いためあまりいい顔をされないが、人脈や金さえあれば簡単に出来るためやる者は後を絶たない。

故に、わずか数日でランクアップなどという事は日常茶飯事にちじょうさはんじであるためだれも反応することはない。

まあそんな伝手つてもない私は一日に量の依頼を達成してランクを上げたが。


「ショックだ……」

テンプレが一つ(つい)えた、などと呟いているスバルとパーティー登録をし、イヤイヤ仕事を処理したデスデモーナに挨拶して目的の場所へ向かう。


今回受けた依頼は、二つ。

豚亜人(オーク)の定期的な間引き依頼、そして赤鬼熊(オーガグリズリー)の討伐だ。


この二つは同じ森での討伐依頼であるため同時に受けた。

私もそうだが、スバルもこの程度の相手ならすぐに終わるだろう。


問題は、赤鬼熊(オーガグリズリー)が見つかるかだが……


私も実際に討伐したことはないが、情報によるととても警戒心の強い魔物モンスターらしい。


赤鬼熊(オーガグリズリー)を探しつつ豚亜人(オーク)を間引く方向でいきましょうか」

私はそうスバルに提案する。


「ん? オーガグリズリー? ちょっとまって……」

そう言って、スバルは空中でせわしなく手を動かしている。

あれは、システムメニューを操作している?


しばらくするとスバルはこちらを見て言った。


「見つけたよ。 こっちだ」

といって森の奥を指さした。


「MOBサーチが使えたからやってみた」


どうやら勇者ブレイバーの能力は魔物モンスターを個別で索敵する事が出来るようだ。



……デタラメな力ね。

見つけるだけで何週間もかかるような魔物モンスターでも容易く見つけれるなら、間違いなくとんでもない能力だと言えるだろう。




あきれながらもスバルの案内で森に分け入るのだった。











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