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笑わない少女と勇者と初期街…… Side:スバル

6月9日(木)の投稿になります。


視点変更は不定期で変更いたしますのでご注意を。

同一話内での変更はしない方針ですが。

スタッドの街。 E2Oでは最初に人間を選んだプレイヤーが訪れる街だった。

設定だとノースリーフ国に所属している街だったかな?


そんなことを思い出しながら同行者である少女、マキナさんに目をやる。

歳は僕と大差ないかな? つまり十代だろう。 二十ハタチ超えてるとかないよね?


見た目は、無表情だけどとても整った顔立ちをしており、とても僕好みの……ゲフンゴフン。


暗い藍色というのか深みのある色合いの髪の色をしていてそれを後ろで三つ編みにして二本で纏めている。

瞳の色は、こっちは透き通るような青色で見てるとなんだかドキドキするのは僕の女性経験が少ないからではない……と思いたい。


身体つきは華奢で、今はストレージに仕舞っているが彼女の武器はラグナ・フェンリルという槍のようだった。

これは、通称スイ〇バーと呼ばれていた武器でその刀身が明るい赤で色とその形からス〇カバーそっくりと言われていた。

PTでも槍職はスイ〇バー無しはキックされるほどの必須武器だったのだ。


PTリーダーをしていても、槍職の人が違う槍を持って来ると他のメンバーから囁き(ウィスパー)で、ちょwwwww〇イカバーないとかwwwこいつ寄生wwwwwwキックよろwwwwwwwとか来ることもざらだった。


……うん、殺伐としてたな。


でもなんか彼女のは色が違ってたな? もしかして違う武器かもしれない。


そして、身体に装備している鎧は最上級の皮防具である、ドラゴニスレザーアーマーだ。

これ本来すごく露出度高い装備なんだけど…… リアルだと下に服着てますよね、そうですよね。

とはいえ、足装備部分は太もも上までのぴっちりした物なのでズボンが履けなくてスカートなのだろう。

デザイナーGJ!!


……それはそれとして、これ製作するのめんどいんだよなぁ。

素材の一部が取引不可のドロップのみ品だったり、そのドロップするMOB(モンスター)もレアボスのため順番待ちで列を作ってたりと(過疎っていた時ですらだ)製作するにはハードルが高い。


現物ドロだとレイドボスであるディザスタードラゴンからしかドロしないし、てことは彼女はレイドボスを倒したのかな? あれは200人規模のレイドパーティーで臨んでやるものだったから、最低でも200人規模のカンストした人が必要だ。

つまりこの世界にはレベルカンストした人間が200はいることに……


あれ? もしかして僕、異世界で無双出来ない感じ?


ちょっと凹んだ気持ちを奮い起こし前を行くマキナさんに話しかける。

「マキナさ「さん付けはいいわ」……マキナ、それからどこいくの?」


「とりあえず冒険者ギルドかしらね。 身分証とか持ってないでしょう?」


と言われ、街に入る時に門番にそんな事を言われたなぁと思い起こした。

やっぱりギルドあるのか、などと思いながらマキナの後をピョコピョコ付いて歩く。


うーむ、町並みとか大分記憶と違っているからはぐれたら迷子になれる自信があるな!


そんな情けない事を考えながらマキナに付いて歩くこと少々、時間的には10分くらいで大きな建物に着く。


「ここがスタッドの街の冒険者ギルドよ」


記憶にあるギルドの位置から大分はなれた所にそのギルドはあった。


しばらく入口の前で見上げていると、半ば背中を蹴られるように中に押し込まれた。


マキナって時々暴力的だよね?

怖いので言わないけど……


中は結構清潔な感じだった。

まるでお役所のような雰囲気だった。


ただ、強面のお兄さん、お姉さん含む、がこちらを睨んでなければだが……


そのうちの眼付きのよろしくない男がこちらを見て、仲間と思われる数人と二言三言話したと思ったらこちらに近づいて……くる前に入口側のテーブルに腰掛けていた男が声を掛けて来た。


「よう、マキナの嬢ちゃん! 男連れとは珍しいな。 コレか?」

そう言って男は下品そうな仕草で親指を立ててこちらに見せて来た。


……こういうのはどこの世界でも同じなのかなぁ。


「アルベル……殺すわよ?」


「おお、怖い怖い! 冗談だよ、冗談!」


アルベルと呼ばれた男はそう言ってテーブルに座り直しお酒を飲みだした。



「アルベルに感謝しなさい」

そう小声でそう言うと奥にある受付カウンターまで進む。


ふと見ると絡む気満々だった男が元の場所に戻っていた。

「どういう事?」

僕も小声で尋ねる。

「アルベルはね、このギルドの冒険者の中の顔役みたいな物よ。 まあアナタを守ったってよりは相手を守ったって所かしらね」

つまり先に話をする事で他の冒険者を牽制してくれた、のかな?


やっぱり感謝しなくてもいいわ、そう言ってカウンターの前まで近づき受付嬢に話し掛ける。



そのカウンターに座っている、およそ子供にしか見えないその子は……寝ていた。


「寝てない、起きてる」


よく見ないと分からないが、その目は薄っすらとだが開いていてこちらを睨んでいた。


「デスデモーナ、新規登録よ」


デスデモーナと呼ばれたそのちびっ子は無言で頷くと書類をズイっと出してきた。


……えーと書けってことかな?


なにも言わずに、書類だけ押し付けてくるちびっ子に困惑しているとマキナが教えてくれた。


「ここに名前と、職業、あと得意武器なんかを書いて、全部じゃなくてもいいわ」


ふむふむ、スバル、職は……戦士でいいか。 剣聖マスターオブソードとか書いて目立つのもあれだし、得意武器は……け、ん。っと。


書き終えてちびっ子、もといデスデモーナさんに渡すと、さらっと書類を見た後、カードが出来るまでの間、マキナからギルド規約を教えてもらえと言って沈黙する……


おい、いいのか受付嬢!


そういえば、デスデモーナってシェイクスピアの劇の登場人物で絶世の美女の名前だったな。

演劇やってる従妹の子がその役をゲットして狂喜していた覚えがある。


に、にあわねぇぇぇぇ!


口には出さないが、なぜか睨まれた。 勘が鋭いな!?


そうこうしている内にカードが出来て、こちらに投げるように渡された。


なんだろう? マキナといい女の子達からの扱い悪くね?


少なからずショックを受けながらその渡されたギルドカードを見る。


材質は、銅かな? 最初はカッパーランクかららしいので間違いないだろう。

それをストレージに仕舞いマキナを見る。


「どうする? なにか依頼を受けてみる?」


「うーん今日は疲れたしやめておくよ。 それよりこの世界のこと教えてほしいんだけど」


「いいわ。 なら宿を取りましょう」


そういってギルドを出て彼女が泊まっている宿に案内される。


その道中、僕の持っているお金は現在使えないことが判明した。

僕の持っているゲーム時代のお金は、今では古神貨と呼ばれるコレクター垂涎の的らしいがこれを少しならともかく、大量に流すと確実にマニアな貴族達に狙われると言われ封印を決意したのは言うまでもない。


出来るだけ目立ちたくないからね。

無双できないならなおさらだ。



そう決意しながらマキナの後を歩くのだった。








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