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笑わない少女と復讐の果て

6月30日(木)

編集作業に入りました。


ラストをカクヨム様に投稿分と変えております。

こちらは二部があるためです。

『終わったな』

部屋に戻り一息ついた頃、ストレージからカリヴァーンが出てくる。


「ええ終わったわ」

あと二人、正確にはリティシャに譲ったので一人か? いるがあとは些事である。

コンティナ家の庇護の元好き勝手やってきたのだ。そのコンティナ家の力が弱まればどうなるか。

ジョリーナは殺した。アベリナもリティシャが殺すだろう。

一人くらいは生き地獄を味合わせてもいいだろう。


ーーー どうして? --ー


私の中から声がする。


ーーー そのために何人の人を殺したの? ---


うるさい


ーーー こんな筈じゃなかった -ーー


計画通りよ


ーーー こんな恐ろしい事したくないのに -ーー


あいつらの自業自得よ


ーーー 彼らは? ただ冒険者として生きていただけの彼らは? ---


コンティナ家のお抱えだったからよ


ーーー 殺すことはなかった -ーー


死ぬべきだったわ


ーーー 殺さなければいけない事をジョリーナはしたの? ---


あいつのせいで私は何度も死んだわ


ーーー それはジョリーナのせい? ---


だまれ、だまれ!


ーーー 殺すことはなかった 殺すことはなかった -ーー


『おい? どうした嬢ちゃん?』


「マキナーいるんでしょ? 入るよ」


リティシャが部屋に入って来た。 鍵をかけ忘れたようだ。


「外は凄い騒ぎよ? 聖霊炉ル・ファーネスが何時まで経っても起動しないから」


『そういや結局起動させなかったんだな? 最初は少しの間だけ動かすって話だったが』


そう、だけどそれはやめておいた。

そのほうが混乱するだろうしね。


「まあ私も、養父おとうさんも復讐が終わればこの国を出るつもりだし、この国がどうなろうが知ったことじゃないけどね」

と、リティシャはあっけらかんと笑う。


復讐……そういえばステータスを確認してなかった。 私にも復讐者アヴェンジャーの称号は付いたのだろうか?


しかし、そこに復讐者アヴェンジャーの称号はない……


ーーー あなたのした事は復讐じゃなかったんだよ -ーー


ああ


ーーー あなたはなんの罪もない ヒトタチヲ -ーー


あああ、ああああああああ!


「うあああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁ!!!」


『どうした!』


「マキナ!?」

突然の叫びに二人が驚きの声を上げる。


しかし、しかし


私は、な・ぜ・ひ・と・を・こ・ろ・し・た ?


幾重にも掛けられた『暗示サゼッション』は、しかし音を立ててはじけ飛んだ。


そして私に襲い掛かってくる人を殺した罪悪感、恐怖が心を壊さんとしてくる。


それらが、本来の私を、弱虫で泣き虫で、人の顔色ばかり窺っているちっぽけな、だれよりもクソッタレな私をさらけ出す。


「私は…… わたしはぁぁぁぁ!!」


混乱する意識が引き金になってか突然魔力が暴れ出す。


その暴走する魔力を押さえられないまま私はそれを解放した。


『まずい! おいチチでか姉ちゃん!? 俺様の側にこい! 急げ!!!』

そのカリヴァーンの言葉に慌てて駆け寄るリティシャ。


私は最期に残った意識で魔力を変換した。


その力を転移の力に変えて……


『おいおい、俺様を置いていくなよ……』

消えゆく意識の中、カリヴァーンの声だけが届いた。





          ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



あれからどれだけの時間がすぎたのだろう?


聖霊炉ル・ファーネスが起動しなかった騒動は、コンティナ家が自らの栄誉を得るために嘘をついていたと噂になりその後すぐにコンティナ家はお取り潰しに、伯爵も処刑された。

その取り巻き達の家も力を失っていった。

アベリナは……私の姉は、弱くなっていた。


あの純粋だった悪意は、成長と共に権力に塗れる事で汚れていったのだろう。

アベリナはジョリーナを利用するつもりで近づき、そしてその権力の恩恵に依存していったようだ。


私が彼女に会いに行った時は、すでに抜け殻のようだった。


あれはもう……殺す価値すらなかった。

その後すぐに養父おとうさんと共にストレイナを出た。



ねえ? マキナ。 

私はあなたが変わって強くなったって思っていたけど違ったんだね。


少しあの下品な剣に聞いたけどあなたは傷ついててそれを誰にもわかってもらえなくて……




「おいチチデカ姉ちゃん。 そろそろ国境じゃねえのか?」

何とも下品な声が聞こえた。


「はいはい、分かってますよ」

私は返事を返し身分証の用意をする。



ねえマキナ? 今あなたはどこにいるんだろう?


下品な剣、カリヴァーンは、私を条件付きで仮のマスターと認識した。

その条件とは……


『いいか。 ぜってーあの根暗女を引っ掴まえるぞ!』

「はいはい。 このリティシャさんに任せなさいって」

『マキナの魔力を辿ると北に反応がある まずはそこに行こうぜ』

「北ってことはレシュトーラナ王国かな?」




ねえマキナ? もう一度出会えたら私達今度こそ友達になれそうな気がするよ。



仮面を外したあなたと私なら……




だから絶対に逃がさないからね?









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