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自責のシガラミ。

リスカシーンあります。悪しからず。


――私が狂うのは、いつも些細なことで。


「死にたいの」

私は彼の反応が怖くて俯きながらそう言った。


幻滅した? いつものことだから、呆れてる?


ルームメイトの彼はこんな私を見ていつも何を思うのだろう。


ふと気になって顔を上げる。

彼は私を心配そうな顔つきで見つめていた。


――ねえ。

それは私に同情してるの?

友達として本当に心配してくれているの? ……それとも。

突然今朝の出来事がフラッシュバックする。私はある淡い期待を頭から取り除く。


「何で生きなきゃいけないのかな」


私の声が部屋に響いて消えゆく。

何だか虚しさだけが残る。


彼はまだ何も言わない。

私が言えなくしてるの?



なんか答えてよ。



「どうして私はこの世に生かされたの」

もう擦れ声しか出なかった。

永遠のように頭の中をループしていた問い。

あぁ、こんな醜い私に生きる権利なんてないでしょうね。

さっさと死ぬることができたなら――


そんな思考が頭の隅を過った時、温もりが私を支配した。彼が私を抱き締めたのだ。


今の私は、それを為す術もなく受け入れるしか無かった。

……また、頼ってばかり。


彼の独特な香りが鼻を優しくくすぐる。その匂いで心が少し落ち着いた。


そのせいもあってか冷静になってみると逆に私の醜さが浮き彫りだって、自分に嫌悪感を抱いた。


こんな、こんな汚い私に――触れないで。触らないで。


私は温かかったものから自ら離れると、距離を置くかのように自分の部屋に引きこもった。もちろん鍵をきちんと閉めて。


――ごめんなさい。


罪悪感ばかりがつのる。

何で私は頼ってしまうの? 彼を、彼を解放しなきゃ。

――私が貴方の重荷になってしまうくらいなら私は……。


机の引き出しからカッターナイフを取り出した。

私の愛用しているもので、切れ味は中々良かった。


私はその銀色に光る刃をチキチキと出すと、手首に押しあて一気に引いた。

鋭利な冷たい刃がまだきめ細かい肌にのめり込み、後には赤い線が残った。


ぷつぷつと、血の珠が線からできる。


「……っ」


その痛み以上に私は自分に憤りを感じていた。


真っ赤な血はとどまることを知らずに溢れてゆく。

今日は相当深くまで切れたのだろう。


結局、私はまだ死ぬことができない。怖くて。


私はその場に(うずくま)ると、声が漏れないよう、それでも何かを吐き出すかのように嗚咽を漏らした。誰にも見せぬ涙を流しながら。



――生きていて、ごめんなさい。

予め言いますが軽い気持ちで書いてはないです。

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