死にたいと、叫ぶ時。
久々に書いた一人称視点。お嫌いな方は速やかにバックを。悲話です。
「死にたいの」
震える声でそう紡ぐ。その言葉は僕の胸に雪のように染み入った。
俯いている彼女の黒い髪は小刻みに揺れていてとても、弱々しい存在に思える。
今、何が彼女をこのようにさせているのか、僕には分からなかった。
しばらく無言でいると、彼女はおもむろに顔をあげる。
――泣いてはいなかった。
ただ、死んだように何も映っていない瞳が、宙に淀んで見えた。
「何で生きなきゃいけないのかな」
その疑問は、殺風景な部屋に静かに響き渡り、消失。
僕は未だ一言も発せないでいた。
彼女は何かを胸の内から無理矢理に出すように、絞り出す、声にならない声を。
「どうして私はこの世に生かされたの」
言って欲しくなかった。僕は彼女を抱き締める。
掴んでいなければ、どこかに消えてしまいそうだったから。
細い、彼女の体から、生きているアカシが、とくとくと伝わってきた。
今ここに、君がいる奇跡を僕は喜ぶべきであるのか、分からなかった。
未来も、涙で視界が霞むのかのように、濁っている。見えない。
分かるのは、彼女が“生”に対して執着していないっていうことくらい。
窓の外は、僕達を嘲笑うかの如く、卑しい程に綺麗な晴天だった。