表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/26

お嬢!聞きましたか!

「リローイ!飯だぞ~!」



ノックもせずに入ってきた男はぴしりと固まる。

部屋の中には美女達がわらわらと居たからだ。

その美女と美少女達に囲まれるのは一人の少年。

ややきつめの目元が猫みたいて可愛いと最近評判な美形リロイ・ウォルクラウン。



「飯か!

ありがとう、ガスト。実は昼も食べ損ねて死にそうだったんだ。」



にこーっと笑うと幼く見える。

リロイはちょっとつんとすました顔しているが、公爵家という高い身分を感じさせないフランクさで平民かつ孤児院出身組のガスト達とも仲良くしてくれる少年だった。

はじめはいけすかないやつとも思ったが、リロイの残念感漂う無自覚のシスコンっぷりに毒気を抜かれて以来仲良くしている。

リロイを橋渡しに他の貴族の青少年達とも仲良くなり、今では特寮の晩餐にも招待され、ガスト自身も平民と貴族との橋渡しに力を注いでいる。


具体的には平民の間で流行る恋愛本(男のロマン溢れる妄想設定に基づいたエロ本)を流行らせてみたりとか。

もちろんリロイには内緒だ。

彼の従者から純情童貞なのでそっとしてほしいと頼まれたからだ。ナニも知らないリロイがおもしろ…いやいや心配にもなるが、そのうちどうにかなるだろう…と、ガストは思っている。


だっておかしいって!

こんだけ美女や美少女が周りに居てなおかつ婚約者や許嫁、恋人にふられたり傷付けられて弱っているのにも関わらず、漬け込むことなく親切にして手助けして、ちょっとトキメキを感じさせたあげく自分のシスコンっぷりで想い粉砕させて立ち直らせるってどういうことだよ!!

状況だけならハーレム野郎感満載だが、仕事がありすぎてリロイはそれどころじゃない。

リロイがハーレムしたらガストは鼻フックと心に決めていたが、そんなそぶりもなくデレデレすることもなく、お前のムスコは大丈夫なのかと本気で心配になった。


まぁ、リロイ不能疑惑は置いといて、現在の学園は学園祭を二日前に控え大忙しだ。

学園の外に、自分達の才能を売り込むチャンスでもある。ガストは卒業後の進路が決まっているが、そうでない者にとっては正念場だ。

特に芸術科と技術科は今後の人生が決まるかもしれないという大事な時期。普段つるんでいる友達も自分の事に必死になっており、助けたい気持ちはあるが畑違いのガストは居ても邪魔なだけなので、リロイの手助けしようとやって来たのだった。

正直、ガストは武道科に余裕で入る実力を持っているが頭はあまりよくない。なので差し入れがてら肉体労働をしに来たのだ。

リロイ以外の生徒会メンバーは今や女性しか居ない。たまに男もいるがリロイ同様もやしなのだ。



「あ、ガスト。なに持ってきたのですか?私も食べたいです。」



鈴を転がすような可愛らしい声が聞こえた。

そこに立つは未来のザクイチ家当主夫人予定のハナだった。

14歳になるというのに低身長、童顔、まな板な10歳位にしか見えない可愛いお嬢様だ。

ガストの出身の孤児院の管理をしているザクイチ家に幼い頃から引き取られ奥さま教育を施されてきたそうで、ガスト達とも旧知の仲。

孤児院の環境改善を徹底的に行い、色んな道があることを教えてくれた年下であるが恩人な人である。

時々ばばくさい。



「お嬢!

もちろんです。平民料理ですが味は確かです。どうぞどうぞ!」



「まぁ、ハナさんお知り合いですの?」



金髪巨乳美女が首をかしげ、こちらを見やる。

その仕草すら色っぽい美女の名はエレクトラ・グルモワール。

リロイ同様公爵家のオヒメサマで王太子の元婚約者。

ハナと並ぶとその体型格差は号泣モノだった。



「ザクイチ家の孤児院出身のガストです。

とても優秀で軍部に内定が決まっているんです!」



ハナが我が事のように喜んで紹介する。

リロイは差し入れの弁当をあけモグモグ食べながらふーんと気のない相槌をうって食べるのに夢中となっていた。



「まぁ、そうですの。私はエレクトラ。軍部にはお兄様もおりますの。よろしくお願いいたしますね。」



エレクトラの兄は近衛騎士を蹴って軍部に入った変わり者といわれているが、第二のウォルクラウンの英雄かと言われるほどの実力者で物凄く強い。一度ガストはその訓練に参加させてもらったが何度か吐いて気を失いそうになった黒い思い出しかない。

恐ろしい人だ。

その人の妹であるエレクトラが只の美女なはずがない。


それでもガストはどうしても聞きたいことがあった。

覚悟を決め、言葉を紡ぐ。



「エレクトラ様、こちらこそ以後お見知りおきを…


ところで…

その失礼を承知でお尋ねしますが…

そのボインの秘訣はなんですか?

どうすればボインになりますか。」



真剣な顔で、真剣な声で、セクハラ発言をかますガスト。

場所が場所なら切り殺されても文句は言えまい。

一瞬間があったが、エレクトラは何事もなく答えてくれた。



「体操と、マッサージ、体質的なものが関わってくるようですね。本人の力のかけ具合で変わってくる面もあるかと思いますわ。」



「ですって!お嬢!聞きましたか!?

エレクトラ様、ぜひともお嬢にその技を伝授してあげてください!」



「なんちゅー事聞くか!このバカっ変態っ筋肉だるまっ!」



真っ赤になって脛に蹴りを入れまくるハナとあきれるエレクトラをよそにリロイがいった。



「ガスト。胸があっても肩凝り酷いし邪魔だと前に姉上が言っていたぞ。そんなデリカシーのない事をいうな。」



「デリカシー無いのはリロイ様も一緒ですっ!」



涙目のハナの言葉が部屋中に響き渡った。





ガストはハナちゃんを慕ってます。女性としてではなく主として。

孤児院メンツはハナちゃんと超現実主義の奥さま第一!&忠誠を誓ってます。近衛騎士団長とその息子はオマケみたいな。


ハナちゃんが体的に育たないと奥さまから外されるのではと大きなお世話な心配はしている。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ