EXⅠ:七夕~starry night~
七夕から数日たちましたが、EX回として書きました。
シャルルたちの世界にも七夕が来たみたいですよ!
私のところは残念ながら雨の七夕となりましたが(というか日本列島大体雨だったみたいですけど)シャルルたちは晴れの七夕を迎えたみたいです。
「何か今日は笹に紙に通した紐をくくりつけとるオブジェがあちこちに見えるんじゃがこれは何じゃ?」
シャルたち5人が祭りを謳歌し屋台を食べ回っていた時のことだ。アスタルテが何気なく呟いた。
「えー!? アスタルテちゃん知らないの!? 今日はねぇ……」
「ユリア姉さん、食べるか喋るかどちらかにしてください。ほら、まだ口についてますよ」
もぉ、とため息交じりにそれでも嫌そうではなくユリアの口をふいてあげるカレン。傍目にはカレンが姉と映るに違いない。
「それで? 今日は何なのじゃ?」
若干呆れつつ再び問うアスタルテ。
そんなアスタルテには気付いてないだろうユリアが目を輝かせながら語る。
「今日はね、あの綺麗な彦星様のお星さまと向こうのおり姫様のお星さまが星の川を渡って会えることを許された1年に1回の日なんだよ~! ロマンチックだよねー!」
「星は動かんじゃろ」
「人間が大昔に作った物語なんだけど、アスタルテちゃんは聞いたことないかな?」
補足を入れるカレンに首を振るアスタルテ。
神である身のアスタルテには無理もないことだがそれを知るシャルルとイズーナはこの会話に割り込む気はないらしい。
「そっかー。えーとね、あの紙は短冊って言って、お願い事を書くんだよ。それを笹に結び付けると出会った二人が叶えてくれるんだって」
「星に願いを託すのか。そんな軟弱な想いじゃ叶うもんも叶わんじゃろうて」
「厳しいねー、アスタルテちゃん。でもね、「叶えてくださいお願いします」ってわけじゃなくてお願い事を考えることで自分が何したいかはっきりさせることができるし、それを他の人にも見られる短冊って形で表すことによってそうなれるよう行動を起こすことに繋がるんだよー……ってシャル、どしたの?そんな驚いた顔して」
「いや……なんかユリアが頭よさそうなこと言ってると思うと驚いてな」
「あ、ひっどーい!私の事何だと思ってるのさ!」
「いや、妾も驚いたぞ。ユリアよ、何か悪いものでも食べたのか?どこで頭を打ったのじゃ?」
シャルルとアスタルテの容赦ない評価に対し頬を膨らませるユリア。
しかし、残りの二人の方はそんなことないと期待したのか笑顔で顔を向ける。
「ね、姉さん。私は……その驚いてなんかないですよ」
「じゃあ私の目を見て言いなさいよ」
むー、と頬をますます膨らませつつユリアが言う。
そーっとちょっとずつカレンがそむけていた顔を正面に戻しユリアと目を合わせようとする。が、ちょっとあった瞬間にすごい勢いでまたそらしてしまった。
「ごめんなさい、ユリア姉さん! 無理ですっ!」
「なんでよ! あんたのお姉ちゃんよぉぉ!!!」
無情なカレンの言葉にユリアが憤慨し叫ぶ。
「イズは!? イズはそんなこと言わないわよね!?」
「えぇ、私がそんなこと言うはずないじゃないですか」
と完璧な笑みを浮かべ言い切るイズーナ。
おぉ……とアスタルテが感嘆している。が
「目に光がないわ。イズも嘘つくの下手よね」
冷めた声でユリアが糾弾する。
「あら、付き合いが長いというのもこういう限定された時は考え物ですね。聡いアスタルテちゃんはだませたというのに」
「なんと! それは嘘であったのか! はぁ~すっかり騙されてしまったぞ!」
なぜか楽しそうなアスタルテを眺めていたら怒るのもバカらしくなってきたのかため息を一つ吐いてユリア。
「もういいもん。私も短冊書いてこよ~っと!」
「あ、ユリア姉さん。待ってください私も書きます!」
「シャル、私たちも書きませんか? せっかくですし」
「そうだな、1年に1回だしな。こういうのには参加しないと損って気持ちにもなるしな」
「妾も書くぞ! 何を願うかの! 神たる妾の願いを叶えんとあの星落としてやるわ」
「ダメだよー! アスタルテちゃん。こういうのは書いて、あとは自分がどうするかなんだから! 」
「ユリア、お前もう帰ってゆっくり休め。気が付かなくて悪かった」
「馬鹿にされてる気しかしない!!」
わいわい、がやがや楽しそうに短冊を書く5人。
と、ユリアが顔を上げ
「あ、あなたも書く?」
「 」
「さっきからこっち見てたでしょ? 短冊、一緒に飾ろ?」
「 」
「おーい、ユリア。書いたなら飾るぞ」
シャルルの呼ぶ声に振り返った時、色味の強い金髪が主張するよう輝いて、括ったテールが撥ねた……ように見えた。
「ほら、あなたも! はやくはやく!」
大きな笹の前に行くと既に結び終わったのかアスタルテ以外は短冊を持っていなかった。
「ほれ、ユリアよ。はやくお前も結べ! なんじゃお前も短冊を結ぶのか? なら早ぉ結ぶがよいぞ」
「アスタルテちゃんは?」
「もちろん結ぶぞ? だが妾はこの中の誰より高いとこに結んで彦星と織姫とやらに一番に見てもらうのじゃ!」
えっへんというように胸をはるアスタルテ。
神様なのに欲深いというか俗物というか・……こういうところがユリアとカレンから神様扱いされないせいなのだが本人は気付いてないらしい。
「二人ともしっかり結んだか!?よ し。ほれ、シャルよ。妾を肩車するがよいぞ」
「……はぁ。はいはい」
ため息を吐いてもなんだかんだでアスタルテを肩車するシャルル。
皆、手の届く範囲で結んでいるから長身に含まれるであろうシャルルに肩車された状態で目一杯手を伸ばして結ぶアスタルテの短冊は誰よりも高い所に結ばれた。
「叶うかな……叶うといいな」
ユリアが誰ともなしにつぶやいた。その声は隣にいたカレンにだけ届いた。
「届きますよ。こんなに素敵な満天の星空の下で素敵な人たちと一緒に結んだ短冊なんですから」
カレンもユリアにだけ聞こえるよう呟き返す。
「ふふ、そうね! ねえ、カレンはなんてお願いしたの?」
「秘密です」
「えー、いけずー」
楽しそうに姉妹が会話を弾ませる。
「おい、二人ともそろそろ行くぞ」
「あ、はーい。じゃーね! あなたの願いも叶うといいわね!」
「叶うことを姉さんも私もお祈りしてます!」
そう言い残し姉妹は去って行った。
残されたあなたは夜空を仰ぎ見る。その目に映るは天満月に天満星。天の川は二人を裂くよう流れるでなく彦星を織姫の元に運ぶよう流れているように見えたのは七夕ゆえか。
二人の星が中心に輝きその周りで一年に一回の再会を祝福するよう輝いていた。
今夜ばかりは月さえ主役を夜空の主役を譲ったみたいである。
流れるような字で
『虹の足を見逃しませんよう、そして守れますように シャルル』
達筆に
『皆で素敵に過ごせる時間がずっと続きますように イズーナ』
こちらも意外と負けず劣らず達筆に
『カレンと皆とずっと過ごせますように ユリア』
可愛らしい字で
『姉さんと皆と幸せな時間をこれからも過ごせますように カレン』
力強い字で
『もっとたくさん美味なるものを食べる アスタルテ』
そしてあなたが
『 』
あなたはどんな字で短冊にどんな願いを書きましたか?
願わくばあなたが書いた願い事が叶いますようシャルル、イズーナ、アスタルテ、ユリア、カレンの5人と共にお祈りします。
時系列的には領主の館に行く直前なので6話と7話の間になります。
EXですし読者参加型を目指してみました・・・。どうでしょうか・・・?
楽しんで頂ければ幸いです・・・。
いつの間にかブックマークいただいていたみたいです。ありがとうございます。
今後も更新頑張っていく中で評価が高くなるよう努力したいと思います!
どうか長い目でお付き合いいただけたら嬉しいです。
では8話で会いましょう!8話は舞台を移し全然違う環境でシャルたちが頑張ります!