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9-3

†††9-3



バババババ、とマシンガンが火を噴く。


「「ギャット!!」」


部屋の中からココとナッツが叫ぶ。返事は無い。


「ギャット、ギャット!返事をしろ!」

「おい、嘘だろ!返事しろ!」

「・・・・・・うるせーなあ・・・・・・。ちょっと黙ってろよ・・・・・・」


ようやく聞こえたギャットの声にココとナッツが安堵する。

「なんだよ、ヒヤヒヤさせるなよ。もしかしたら撃たれたんじゃないかと思ったぜ」

「・・・・・・そうか」


開け放たれたドアに赤い何かがへばりついた。


「もしかしたら、じゃねーんだけど、な・・・・・・」


ドアにへばりついていたのは血にまみれたギャットの手だった。


「「ギャット!!」」

「うるせー・・・・・・って。それしか、言えねえのか・・・・・・」


ドアの裏から現れたギャットの腹部は血で真っ赤に染まっていた。それがかすり傷などでは無いことは特別な知識の無いココとナッツにも一目でわかった。


「黙って・・・・・・ろ。今、縄を切ってやる、から・・・・・・」


一歩歩く度に白い無機質な床に赤い水玉模様が描かれていく。ギャットは命を削るようにして水玉を増やしていく。


「もういい!止まれギャット!連中に手当を、」

「ふ・・・・・・」


ギャットはココの叫びに微笑で答えた。答える意味が無いと思ったからか。


「ギャット!おい・・・・・・」

「縄は・・・切ったぜ・・・・・・」


ギャットはココとナッツの縄をナイフで切ると崩れ落ちた。床が見る見る赤く染まっていく。


「ギャット!待ってろ、今手当を・・・・・・」

「・・・・・・」


ギャットはココの言葉に微かな声で返事をしたがココにもナッツにも聞き取れなかった。


「・・・・・・!」


歯を思い切り食いしばってココが立ち上がる。


「ナッツ、すまん」

「・・・・・・?」


ナッツにはココの言っている意味がわからなかった。ココはドアに歩いていき、床にノビていた見張りの男の襟をつかんでゆすり起こした。


「起きろ!」



***



ギャットが先ほど殴り倒した見張りの男を揺り起こそうとするココにナッツは驚いた。


「何してるココ!どうして・・・・・・」

「うるせえ!黙ってろ!・・・・・・起きろ!」


見張りの男はようやく気が付き、鬼の形相で自分をつかんでいるココを見た。すかさずココは見張りの男の喉元を肘で圧迫するようにして身動きがとれないように壁に押し当てた。


「いいか、いますぐに幹部を一人連れてこい。さもないと・・・・・・」

「さもないと、何だね?・・・・・・全く間がいいんだか悪いんだか・・・・・・」


ココはすぐそばにタームが立っていることに気づいた。ココは押さえつけていた見張りの片割れを放した。


「ふん・・・・・・。二人で見張りしてこの様か。お前たちには後でたっぷりと灸を据えてやる。覚悟しておけ」

「は、はい・・・・・・」


見張りの男がすごすごと退がる。ちなみにもう一人の見張りはドアの後ろでまだノビている。タームは部屋をのぞき込むと出血しているギャットを見た。


「そういうことか。それで幹部に用とは? 何が望みだ」

「あいつを手当してやってくれ」

「あの出血ではもう助からんと思うが?」

「あいつがそんなにすぐ死ぬかよ。・・・・・・わかってないな。これは交換条件だ。俺たちが捕まえたおたくらの仲間を忘れたのか?」

「・・・・・・」

「やはりそうか。道理ですぐに殺されないわけだ。あいつはまだ見つかっていないようだな」

「ああ。見つかっていない。・・・・・・お前はうちのチャックとそこの半分死んでるような奴を交換しようと言うのか」

「チャックか。あいつそんな名前だったのか。そうだ。アンタらのチャックとウチのギャットを交換だ。今すぐにギャットの手当をしろ。ギャットが死ねば取引は無いぞ」

「・・・・・・ちっ」


タームはこれ以上は時間の無駄だと悟ったのだろう。諦めたようにため息をついた。


「おい、ベニーを呼んでこい。至急だ。・・・・・・いいか、外の連中には見つかるなよ」


タームが連れてきた側近の男に指示を出す。


「いいか、必ずあいつを助けろよ。さもないと・・・・・・」

「わかってる。最善は尽くさせよう」


ココはタームの顔から視線を外すとすでに意識のないギャットの元へ行った。



†††

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