第2話
息ができない。体は熱を持ち、筋肉は疲弊している。
また同じ顔ぶれと戦っている。すでに俺が殺したはずの敵たちと。
今日、さらに三つの魂が、すでに膨れ上がった戦士たちの輪に加わった。
殺したくない。
致命傷を与えるたび、彼らの屍の上に親や妻、子供たちの姿が見える。大声で嘆き、泣き叫び、死んだ家族を悼む姿が。
血に染まり震える自分の両手を見つめていると、戦士たちの死体が起き上がり、俺に向かって叫び出す。
生きて何を成し遂げたかったのかを。どんな目的や生きる意味があったのかを。
(アカル、この人殺しめ! 名誉を知らぬ犬め!)
亡霊たちが最後に投げつけるのはその言葉だ。俺の幻覚は、いつも同じ結末を迎える。
自分の手で、次から次へと無数の女たちを引き裂いていく光景が見える。
目を閉じるたび、彼女たちの悲鳴、怒号、助けを呼ぶ声が聞こえる。
だが、助けなど決して来ない。
いつも。俺。だけだ。
汗だくで息を切らしながらベッドから跳ね起きる。
また同じ悪夢だ。また同じ幻覚。そしてまた、自分に対する嫌悪感が押し寄せる。
どうして俺がこんな目に!?
心の中で叫ぶことしかできない。好きでここにいるわけじゃない。
物心ついた時からここで育った。生まれながらの奴隷だ。
(俺に生きる権利はあるのか?)
いつも同じ問いを自分に投げかける。
だが、決して心から答えることはできない。
誰かがドアに近づき、鍵を回す音が聞こえる。毎日顔を合わせる、あの巨漢だ。
無言で立ち上がり、すぐに独房を出る。いつもと同じ光景だ。
三日に一度、闘技場で戦う。残りの日は一人で、あるいは他の奴らと訓練だ。
あいにく、今日は戦いの日だった。
巨大な金属の門に近づく。その前には、もう一人の巨漢が立っている。
(こうして見ると、どいつもこいつも似たような顔だな。)
近づくと、門の前の男が俺の手にありふれた木の槍を押し付けた。
(槍というより、ただ先を尖らせただけの棒切れだ。少なくともリーチは稼げる。)
今、巨大な金属の門の前に一人で立っている。手には2メートルの槍。
心臓が狂ったように高鳴る。
(また同じことの繰り返しだ。)
吸って。吐いて。
(もうウンザリだ……)
吸って。吐いて。
吸って。
門が開く。少し薄暗い闘技場へと歩み出る。
吐いて。
(どうやら、俺を始末したいらしい。)
向かいの門から、今度は四人の戦士が出てくる。
(クソったれな運命だ……)
二人が後方に残り、投石紐を取り出して石を装填するのが見える。
前衛は斧を持った奴と、剣を持った奴だ。
奴らに向かって走り出す。奴らも向かってくる。
頭のすぐ横を石が風を切って飛んでいく音が聞こえる。
敵に肉薄する。賢い奴らだ、同時に攻撃を仕掛けてくる。
剣の攻撃を躱す。斧の一撃を槍の柄で受け止める。そのまま武器の石突きで、剣を持った奴の膝を打ち据える。
ドスッ。左肩に石が直撃したのを感じる。
ヒュッ。二発目が顔の前をかすめる。
斧を弾いた隙に、剣が背中を切り裂くのを感じる。
幸い、傷は浅い。
視界の隅で、俺に向かって飛んでくる石を捉える。
避けられない。
心臓が狂ったように暴れる。息ができず窒息しそうだ。
衝撃を和らげるため、咄嗟に頭を右に傾ける。
ゴッ。
耳鳴りがする。視界がぼやける。
がむしゃらに身をよじるが、何度も体が切り裂かれ、貫かれるのを感じる。
苛立ちが募る。怖い。怒りに震える。
かろうじて斧の斬撃を防いだが、武器を真っ二つにへし折られた。
さらに足に石を食らう。
(もう限界だ……)
剣が肋骨に突き刺さり、そこに食い込む。
(いい加減、終わってくれ……)
死ぬのが怖い。
第2話までお読みいただき、ありがとうございます!
アカルの過酷な闘いはまだ続きます。
本日一挙公開の最終話となる第3話も、このまま続けてお楽しみください!




