第16話
深い安らぎが俺を包み込む。
これこそが、俺に欠けていたものだ。
これこそが、心の底から渇望していたものだ。
今なら分かる。俺の居場所がどこにあるのか。
この魔法の森で。アイアとルサルカたちの傍らで。
レイカ、ケイラとも同じ服従の儀式を繰り返した。
その時、彼女たちの真の姿を理解した。
彼女たちが何者であるかを。
ドライアドと、その従者たち。
魔法の力によって、俺たちの存在は不可分なものになったかのように感じる。
自分がこの場所に属していることを、全身で理解している。
俺は、生きる意味を見つけた。
この森を守るために生きる。
森が永遠に広がり続けるように戦う。
ただの野蛮な獣ではない。
俺は守護者であり、防人なのだ。
口づけを交わした瞬間、これらの知識が頭の中に流れ込んできた。
それは、まるで電撃に打たれたような体験だった。
契約を結ぶことが、これほどまでに……心地よいものだとは思わなかった。
彼女たちも同じ気持ちなのだろう。
荒くなった息遣いが聞こえる。
唇を重ねていた時、彼女たちの心臓が激しく打ち鳴るのを感じた。
向こうも同じはずだ。
俺がこれまで知っていたものとは、全く異なる種類の興奮だ。
「こっちへ来て。私たちの森を案内するわ」
アイアが微笑みながら近づき、俺の手を握る。
彼女の指は緊張し、痛いほど強く俺の手を握りしめているが、そこに脅威は感じない。
感じるのは、期待だ。
俺は岩から立ち上がり、彼女に身を委ねる。
「ケイラ、レイカ。あなたたちは泉に戻りなさい」
ルサルカたちは不満を露わにし始めたが、緑の瞳を持つドライアド、アイアがすぐに彼女たちを黙らせた。
「まずは森よ。後で彼をそっちへ連れて行くから。あなたたちは準備をする時間があるでしょ」
ルサルカたちの瞳が、何か不穏な光を放ったような気がした。
何のことか分からないが、遅かれ早かれ知ることになるだろう。
獣たちが踏み固めた小道を、木々の間を縫って歩く。
森全体の空気が脈打っているのを感じる。
アイアは数歩前を歩いているため、彼女の全身がよく見える。
こんなにも目が惹きつけられることに、自分でも驚いている。
それに気づいたのか、彼女は振り返り、眩しいほどの笑顔を見せた。
歩みを緩め、再び俺の手を握り、そのまま前へと進んでいく。
彼女の領土の境界線に沿って歩く。
意外なことに、その領域はさほど広くない。
俺なら容易に守り抜くことができるだろう。
ゆっくりと、中心部へと戻り始める。
泉のある場所へ。
突然、ドライアドが立ち止まり、俺の目を深く見つめた。
「あなたは今、この森の一部よ」
「ああ。俺の全霊をかけて、この場所を守り抜く」
嘘ではない。
そのために生きているのだと、心の底から信じている。
俺のその確信が、彼女を一瞬黙らせたらしい。
寒くもないのに、彼女の全身が震えているのが分かる。
風もないのに、彼女の葉が揺れる音が聞こえる。
その瞳には野生が宿っていた。
まるで獲物を見つめるかのようだったが、それは血への渇望ではなかった。
俺の頭ではまだ名付けられない、全く別の種類の渇望だった。
「私たちは魂で結ばれた……でも、儀式はこれだけじゃないわ」
彼女は近づき、鼻先が触れ合いそうな距離になる。
声が小さくなる。
「森が完全にあなたを受け入れるためには、肉体的にも結ばれなければならないの。あらゆる手段で、一つにならなければ」
その言葉を言い終えるや否や、彼女は再び俺の唇に自分の唇を重ねた。
泉の時よりも、はるかに長く。
森に入った直後に感じたあの緊張感が、今やはっきりと触れられるほどに実態を帯びている。
それは、俺たちを我を忘れるほどに飲み込んでいった。
* * *
戦士の精神に侵入した瞬間から、私の全身は燃え上がっている。
人の皮を被ったこれほどの獣と共にいる悦びは、私の許容範囲を超えている。
彼はまさに、野性の感情と捕食者の本能で形作られた人間だ。
彼が他の人間たちと戦う記憶の断片を見た。
その生存本能、圧倒的な力、そして何よりも殺戮者の本能が、私の全身に身震いを走らせる。
欲望に支配されないよう、必死に自分を抑え込んでいる。
私の聖域を案内しながらも、彼の視線が私に注がれているのを感じる。
今私の中で渦巻いているこの嵐に呼応するように、森もまた熱気を放っている。
彼は完璧な下僕だ。
私から何かを促す必要は一切ない。
私が思考するよりも早く、自ら私の意志に服従してくるのだから。
「あなたは今、この森の一部よ」
「ああ。俺の全霊をかけて、この場所を守り抜く」
完全に支配されている。
私の望むままに動く、従順な操り人形。
今私が唯一望むのは、抑え込まれた感情を解き放つことだけだ。
彼の肌に刻まれた、無数の傷跡が見える。
それは、彼がどれほど信頼できる道具であるかを裏付けている。
私たちの防壁となる、完璧な楽器。
「私たちは魂で結ばれた……でも、儀式はこれだけじゃないわ」
私の口から出た言葉は、ただの戯言だ。
彼はすでに、完全に私たちの支配下にある。
目の前に立つ、この獣のような本質に強烈に惹かれていることを、私自身認めたくないだけなのだ。
「森が完全にあなたを受け入れるためには、肉体的にも結ばれなければならないの。あらゆる手段で、一つにならなければ」
大いなる戦いと逆境を生き抜いた証である、その美しい傷跡に指が触れた瞬間――。
私の中で、何かがついに弾け飛んだ。
森が、法悦にざわめき始めた。
お前は存在しているのか?
それとも、誰かの人生の幻影に過ぎないのか?
お前が幽霊ではなく、血の通った生きた人間であることを俺に知らせるために、ここに何か「痕跡」を残していけ。




