第11話
第11話
マルヴィラを背負って走る。
彼女は辛うじて俺にしがみついている状態なので、何も要求することはできない。
彼女の容態は重いようだが、それは奇妙なことだ。
(何時間も経っているのに、まだ傷が塞がっていない!)
残念ながら、今はそれを心配している時間はない。
ちょうど別の牢屋から出てきた衛兵と出くわした。
考えるより先に、持っていた警棒で奴の頭を全力で殴りつける。男はピクリとも動かずに地面に倒れ込んだ。
視界の隅で、奴の腰にある剣を捉える。
(武器を変える時間だ!)
記憶が正しければ、念願の出口まではあと二つの通路と一つの広場を抜けるだけだ。
(どんどん騒がしくなってきている。急がなければ!)
最初の分岐点にたどり着き、一瞬、釘付けになったように立ち止まる。
3人の衛兵に出くわした。まさに俺が向かうべき場所に。
さらに悪いことに、奴らは他の衛兵を呼んでいる。
「ここで待っていろ」
蒼白なマルヴィラを地面に下ろし、壁に寄りかからせる。
闘技場で感情に身を任せた時の、あの感覚を呼び起こそうとする。難しいことではない。それはずっと俺の中に潜んでいたのだから。
奴らに向かって走り出す。
一人が俺に気づくが、遅すぎる。
奴らに向かって真っ直ぐに跳びかかる。一人を押し倒すと、そのせいで他の二人も体勢を崩した。
素早い動きで突きを繰り出し、一人の喉を貫く。
そいつを、倒れた奴の上へと突き飛ばす。
背中に硬い衝撃を感じるが、すぐに前方へ跳び退く。振り返りざまに、振り下ろされた棍棒の打撃を受け流す。
壁を蹴って次の攻撃を躱し、即座に間合いを詰める。流れるような動きで奴の喉笛を切り裂く。
まだ倒れている敵に駆け寄る。仲間の死体に押し潰されて起き上がれないでいる。
力一杯剣を振り下ろし、首を刎ね飛ばす。残念ながら、力が入りすぎた。剣が地面に激突し、砕け散った。
遠くから足音と叫び声が聞こえる。
3人の戦士たちの成れの果てを見回す。
棍棒は重すぎ、素早い戦闘には不向きだ。
斧。これなら使える。
武器を体の下に隠すようにうつ伏せになり、奴らが駆け寄ってくるのを待つ。
死体の山を見て、次の衛兵たちが俺の方へ向かってくる。地面の揺れを感じる。
待つ。せめて一人が十分に近づくまで。今だ。
素早く飛び起き、渾身の力で斧を振り上げる。奴の顎を顔面から切り離す。
一瞬たりとも動きを止めず、前の一撃の勢いを利用して電光石火の回転を繰り出す。
次の奴の胸に、柄の根元まで斧を力強く叩き込む。深く食い込んだ。
だが、俺の手にはすでに奴の槍が握られている。
残る2人の戦士との間には、かなりの距離がある。
躊躇することなく投擲の構えをとり、奴らに向けて槍を放つ。防ぐ術はない。
武器を手放した瞬間、残る最後の一人に向かって、肺が破れんばかりに全力で走り出す。
長剣を持った戦士だ。
走りながら一瞬身をかがめ、間際で地面に見つけた中くらいの石を掴む。
敵が武器を突き出し、俺を迎え撃とうと構えているのが見える。
奴が振りかぶる。俺は躱す。極限まで間合いを詰め、全力で奴のこめかみを石で殴りつける。
奴の手から剣が零れ落ちる。
宙を舞う武器を空中で掴み取り、そのまま奴の喉を掻き切る。終わりだ。
鈍い痛みが耳の奥でガンガンと鳴っている。
口からは無意識に涎が垂れている。
動くたびに筋肉が引き裂かれるのを感じる。
だが、休むわけにはいかない。
マルヴィラを迎えに戻る。彼女を背負う。彼女にはもう、しがみつく力さえ残っていない。
あとは広場を走り抜けるだけだ。最後の直線。
暗い広場に飛び込むが、幸運なことに誰も見当たらない。
目の前には、鬱蒼とした森の輪郭がすでにぼんやりと浮かび上がっている。自由への道だ。
森に向かって駆け出した時、出口の上の城壁に人々が集まる音が聞こえた。
文字通り数センチのところをかすめ飛ぶ、矢の風切り音が聞こえる。
弓兵の目を欺くため、左へ右へとジグザグに走り始める。
矢は容赦なく、冷酷に俺たちを追ってくる。
あとほんの数メートル。
森がもう目の前にそびえ立っている。着いた。勢いよく、その暗い茂みの中へと飛び込む。
俺たちは逃げ延びた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
闘技場で培われたアカルの真の力が、ついに解放されました!
次々と武器を奪いながら衛兵を屠っていく、血みどろの脱出劇。息もつかせぬ展開でしたね。
なんとか暗い森へと逃げ延びた二人ですが、マルヴィラの傷は一向に塞がる気配がありません……。
もし「アカルの無双アクションが熱い!」「なんとか逃げ切れてよかった!」「森の先が気になる!」と思っていただけましたら、
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