宴会
まばゆいばかりの水晶の魔導ランプが、宴会場を煌々と照らし出している。壁には、前世で有名だった数十点の美術品が飾られていた。
今夜の主役である俺は、貴族たちのへつらいに必死で笑顔を保っていた…。前世がコミュ障だった俺にとって、こんなの少しも楽しくない。
その時、ライラスさんがホールの中心に歩み寄り、酒杯を高々と掲げた。その響き渡る声が、たちまち宴会場の話し声をかき消した。
「本日、未来の公爵となるアルフレッド・フォン・ライトが、正式に王都へ居を移した。彼は朕が直々に引き上げた王国の柱石であり、未来、王都の安全という重責を担うことになる。皆の者、杯を上げて、アルフレッドの未来に心からの祝福を捧げよう!」
ライラスさんのこの言葉は、間違いなく俺をスピーチしなければならない状況に追い込んだ。
くそ、俺はこういうのが苦手なんだ!
動け、この死んだ脳みそ! 何か言え!
《この役立たずめ…》
“うるさい!”
こんな時まで邪魔してきやがって…。
「えっと…皆様、宮廷貴族の諸先輩方、ライト公爵家次男アルフレッド・フォン・ライトと申します。本日は、本邸にご招待に応じていただき、心より感謝いたします。どうぞ、心ゆくまでお楽しみください! 未熟者ではございますが、今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます!」
俺は手に持った琥珀色のスパークリングワインのグラスを高々と掲げた。
「乾杯!」
「「「「「「乾杯!」」」」」」
—————————
ったく、次、もし誰かが俺を壇上に上げようとしたら、死んでも嫌だ。
壇上から降りてくると、すぐにディアが俺のそばにやってきた。
「今日のアルはすごく格好いいわ!」
「ディアも、すごく可愛いよ!」
今日の彼女は、少し豪華な黄色いドレスを着ていて、亜麻色の髪によく似合っている。頭につけた花が、元々可愛らしい顔立ちをさらに引き立てていた。
俺の方は、神闘武装で創造した灰色のフォーマルなスーツを着ている…。今朝発動させたばかりなので、ほぼ新品の衣服だ。銀色の長髪は、氷の輪で結んで、さっぱりとしたヘアスタイルに整えた。
腰には、新しい高等なミスリル製の長剣を帯びている。以前の剣とは違い、この剣は鉄剣に擬態させることなく、精巧な彫刻で飾られていた。
「今日の料理、アルのおすすめは何かある?」
「うーん…レシピは料理人たちに渡したんだけど、正直、どんな料理が出てくるかは俺もわからないんだ。初めて作る料理ばかりだから、基本的には彼女たちに自由にやってもらったんだ」
「アルも知らないの? じゃあ、一つ一つ試してみようよ!」
結果、堕天使たちは俺が前世で大好きだった料理を完璧に再現してくれた。量販店で売っていたビーフロールも、チェーン店の牛丼屋の豚カレー丼も、ニューヨークのベイクドチーズケーキも、全て本物と全く同じ味、いや、それ以上だった。
昔、学校の近くで売っていた牛肉麺を食べた時は、思わず涙がこぼれ落ちてしまい、ディアを驚かせてしまった。
幸い、皆、この世界で初めて登場する料理をとても気に入ってくれた。中にはレシピを買いたいと申し出る者もいた。
食事が終わり、次は舞踏会だ。
「創造」
天使とアイスゴーレムたちが空間魔法で食事のテーブルを片付け、ダンスフロアを空けた後、俺はこっそりと創造魔法を使ってステージ、譜面台、そして楽器を作り出した。演奏担当の天使たちがステージに上がり、演奏の準備を始めた。
俺はフロアの隅にいるライラスさんを見た。普通、国王がいる宴会では、国王夫妻が最初のダンスを踊るはずだが…。
彼は、先に俺が踊るようにと合図を送ってきた…。
…死ね、この老獪な狸め。
ディアが俺の袖を引いた。
「父王が合図したわ。さあ、踊りに行きましょう?」
…わかったよ。だが、覚えておけよ、このクソ国王。このダンスはディアに捧げるものだ。
「プリンセス、この私と、一曲踊っていただけませんか?」
俺は教本に載っているような模範的な姿勢で、ディアに右手を差し出した。
「喜んで、私のプリンス」
彼女は俺の手を握り返した。
そして、二人でダンスフロアに滑り出した。
—————————
亜麻色と銀色。
灰色と黄色。
四つの色がダンスフロアで交錯する。
二人の足取りは緩やかでありながら、時には速く。
まるで花々の間を飛び回る一対の蝶のようだ。
誰もが手に持ったものを忘れ、
ただ静かに少年と少女が、
たおやかな音色に合わせて優雅なステップを踏むのを見ていた。
一曲が終わると、また一曲が始まる。
人々もダンスフロアに加わった。
しかし、輝かしい二人は、常に会場の中心にいた。
昨日の夜、うっかり酸っぱくなっていたピーナッツ豆花を半分食べちゃいました。
お腹を壊さなければいいんですけど……大丈夫かな?
自分では胃腸がけっこう強い方だと思ってます!




