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陰謀の罠

領都に戻るや否や、俺は父さんと国王に会議室に連れ込まれた。二人は満面の笑みで俺にプレッシャーをかけてくる。


「アル、お前、剣術がめちゃくちゃ上手いのに、なんで下手なふりしてたんだ?」


父さんの笑顔、怖すぎる!


「えっと…だって…俺、十分強いと思ったんですもん?」


「お前の安全をどれだけ心配して夜も眠れない日があったか知っているか? 家族の中で唯一剣術ができないお前のために、一番多くの護衛をつけたんだぞ。お前が俺にどれだけ気を使わせたか分かるか?」


「えっと…ごめんなさい?」


「まったく。だが、お前が俺より強いのは事実だったな…。次はもう勘弁してくれよ!」


それは…ちょっと難しいかも。


「お前の剣術がどこで身についたかは聞かないでおこう。既存の流派には見えなかったからな…。待てよ、十年前に俺を倒した、あのオリジナルの剣術か?」


うっ…父さん、記憶力良すぎだろ。


「はい…。あの後、学問を研究しながら、この剣術の開発も続けていました」


「だとしたら、本当にお前はすごいな。十年でここまで剣術を改良するとは」


「褒めてもらって、ありがとうございます…」


「しかし…。魔法が使えないのも演技だったんだろう? これも授業をサボるためだったんだろう? このツケは後でしっかり払ってもらうからな」


「えっと…」


あの時は本当に使えなかったんだ…。いや、もういいや。今説明しても、信じてくれるわけないだろうし…。


父さんが会議室を出ていくと、部屋には俺と国王だけが残された。


「アルフレッド、お前、朕の愛しいディアに、まさかあんなことをするとはな…」


いやいや、ディアが勝手に抱きついてきただけだし…。


そんな言い方をされたら、どう弁明すればいいんだよ?


「まあ、今回は彼女を守ってくれた。この件は不問にしよう…。ただし…次からは朕の許可を得てからだぞ!」


えっと…それって、絶対に許可しないってことですよね…。


「それと、アルフレッド。お前のあの力は…聖剣だけではないのだろう?」


うぐっ、いきなり一番答えにくい質問をしてきたか。


まさか、俺が水神の転生体だなんて言えるわけないだろ?


“ラルス、助けてくれ”


《嫌だね。俺を陥れたお前を、なんで助けてやらなきゃいけないんだ》


“頼むよ…。さっきは本当にごめんって”


《いやだいやだ、絶対いやだね》


俺はため息をついた。


「陛下、その、えっと…」


「そうだ、アルフレッド。朕のことを陛下と呼ぶのはやめてくれ」


「え? なぜですか? それは良くないかと…」


「構わん。聖剣使いの間では、地位は平等だ。国王だろうが乞食だろうが、同じことだ」


「それでも、やはり良くないかと。私は国民で、あなたは国王ですから」


「気にすることはない。私的な場では、ライラスと呼んでくれればいい」


「では…ライラスさん?」俺は試すように尋ねた。


国王は一瞬戸惑った後、笑った。


「はは、それもいいか。ライラスさんでも陛下よりはずっと良い。聖剣使い同士が君臣の呼び名を使うのは、神の品格を損なう」


「あの、ライラスさん。聖剣の力の源はご存知ですか?」


「聖剣は神の分身だ。故に、聖剣の力の源は神そのものだ」


「俺の聖剣は、偶然、消滅しかけていた水神に出会ったのが始まりです。彼の話によると、彼は消滅した後に今までずっと眠っていたため、他の神々よりも大量の神力を蓄積しており、それが間接的に聖剣の力を増幅させている、と」


…幸いにも、まだ聖剣のせいにできる。水神の力が露見するのはまずいからな。


「では、あの鎧は?」


「あれも同じく水の聖剣の一部です。ライラスさんは水の特性をご存知ですか?」


「主に変化と浄化だろうな」


「はい。鍵は『変化』です。水の聖剣には決まった形がなく、必要に応じて様々な姿に変形できるんです。聖剣顕現!」


俺は聖剣を手甲の形に変えて召喚し、自分の言葉を証明した。


「だから、先ほど私が身につけていた鎧は魔法ではなく、水の聖剣が変形したものなんです」


「なるほどな。水の聖剣は本当に便利だな。一本で防御も攻撃も賄える。我が家系に代々伝わる火の聖剣は、炎を刀身に纏わせるだけで、お前のような華やかな応用はできないからな」


「いえいえ、火の聖剣の素早い攻撃はとても格好いいです。俺の水の聖剣は、反撃に重きを置いた地味な戦い方ですから」


「超攻撃的な戦い方には欠点もある。戦った後はいつも疲労困憊だ。朕のような歳になると、明日はきっと筋肉痛になるだろうな。まったく、年を取ったものだ、ははは」


「陛下、今よろしいでしょうか? 王都から特級暗号の魔導通信が届きました」


ドアの外から衛兵がノックした。


「ちっ、宰相め、また王都で何か企んでいるのか…。通信文を持って入れ」


「承知いたしました」


衛兵はドアを開け、一通の手紙をテーブルに置いて、急いで去っていった。


「えっと、ライラスさん? 俺、ここにいない方がいいですよね?」


「構わん。お前も見てもいい。もし本当に深刻な問題なら、やはりお前に相談せざるを得ない。なにせ、朕とそなたは王国で唯一の聖剣使いなのだからな」


国王はテーブルの上のレターオープナーを手に取り、特級暗号を示す封筒を開け、そして目を見開いた。


「どうしましたか、ライラスさん?」


「はぁ…王都中央守備軍を管理するワイズ公爵もまた反逆者だったようだ。情報局の者たちが彼らを全員逮捕した」


「それは…かなり深刻な浸透ぶりですね…」


王都中央守備軍は、王都と周辺の三つの衛星都市の治安維持を専門とする、王国の核となる部隊だ…。


「ああ…。宰相を放っておきすぎた。もっと早く手を打つべきだったな…。おかげで、今や大量のポストが空席になってしまった…」


国王は俺をじっと見つめた。


い…まずい。間違いなく俺に仕事を押し付けようとしている。


絶対に引き受けないぞ!


「アルフレッド、お前は今年から王立学院に入学するんだったな?」


「はい、そうですけど…何か?」


「貴族には学院で戦術や戦略を必修で学ぶ必要があるのは知っているな?」


「はい。それは領主が戦争中に領地を守る役割を果たすため…」


「それらには、多少の実践が必要だと思わないか?」


「えっと…そう…実践は必要です」


「ならば、アルフレッド。お前の実践は、学院に在学中、王都中央守備軍を統括する職に就き、卒業後は新しい公爵となり、ワイズ公爵の地位を継ぐことだ!」


待ってくれよ、いきなりすぎるだろ! 俺、まだ15歳の子供だぞ? なんで軍の権力を握らなきゃいけないんだ?


「そ…それはさすがにまずいのでは? ライラスさんが私を信頼していても、他の貴族は納得しないでしょう?」


「構わん。今、軍の権力は親王派の手中にある。貴族派には発言権がない。それに、お前は反乱を平定した功労者だ。この程度の褒美は過分ではないだろう?」


これ…全然褒美じゃないだろ! あなたも分かってるくせに! その腹黒い笑顔を見てみろ! この策士め!


「そうでなければ…お前とディアの婚約は…」


くそっ、弱点を握られている…。


「分かりました、やります。やらせていただきます」


「やった! だが、そうとなれば、お前とディアの婚約も少し変更する必要があるな…」


はぁ!? 仕事引き受けたのにまだ変えるのかよ! 死ね!


俺の表情が制御できていなかったのか、国王は驚いたようだった。


「落ち着け、落ち着け。朕が言っているのは、結婚の形式が変わるということだ」


「どういう意味ですか?」


「言葉の通りだ。元々はお前が王家に婿入りする予定だったが、お前がワイズ公爵の地位を継ぐとなれば、ディアが嫁ぐ形にするのが妥当だろう。そうでないと、王室がわざと一つの公爵家を抹殺したように見えてしまうからな」


びっくりした…。ただ形式が変わるだけか。


「よし、これで問題ないなら…。お前も朕と一緒に王都ヒルスヴィーナに戻ってくれ。ワイズ公爵が王都に持っていた屋敷も、お前が継承することになるからな」


えっ?

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