説明不足の女神様にブチギレる。
「勇者様目を覚ますのです、吉良義人早く起きろ。」
声が聞こえる。慈愛に満ち溢れそして刃物のように尖ったような。
「よく聞こえないな、何があったんだっけ?」
そうだユウトと喧嘩して階段から落ちたんだ。そして気を失った。ここは何処だろうか?病院なのか?いやそれにしてはおかしい、床に放置されていることはないだろう。
ゆっくりと起き上がると自分の置かれている状況を把握しようと辺りを見渡す。
視界に映るもの全てが白と金色で統一され高級感が漂う部屋だ。まるで天界にいるような気分になる。
そういえば階段から落ちて全身を骨折して頭からは血が流れていたのに、今は傷一つないむしろめちゃくちゃ快調だ。
「いつまで寝ぼけてんだボケェ!」
さっきも聞いた声が聞こえる。今回は優しさに溢れた声とは違い、イライラしているようだ。
この部屋の主だろうか。だったらここが何処なのか今すぐに教えて欲しい。ユウトに同じ痛みを味合わせてやりたいところなんだ。
「あなたは死んだのです。これから異世界へ転生させます。その世界の支配を企む魔王を倒して頂きたいのです。それではいってらっしゃい健闘を祈っています。」
最初に聞こえた慈愛に満ち溢れた声に戻っている。情緒不安定すぎないか?まるで俺だな。でもその気持ちよくわかるよ。そんなことを思いながら腕を組みうなずき、現実から目を背ける。もっともこれが現実かははっきりしてないが。
実は立ち上がった時点で声の主は目の前に居たのだ。ほとんど裸と言っていいほど肌をを露出させた羽衣をまとい、その背中には神を彷彿させる大きな翼の生えた胸の大きな俺好みの女が。
え?俺死んだの?異世界転生するの?
全く理解が追いつかない。
女が呪文のような物を唱え始める。すると足元に魔法陣が浮かび上がり白い光に包まれる。そしてとても心地よい。このまま本当に転生できそうだ。
「ちょっと待てや。ターイム」
胸の前で両腕でT字を作り待って欲しいと意思表示する。俺まだ転生することに同意すらしてないんだけど、
すると目の前の女神?が顔を歪めながらも呪文を唱えるのをやめる。直後、足元の魔法陣が消え去る。
「ここは何処であんたは誰なんだそれにどういう状況か説明してくれ。」
聞きたいことは山のようにあるがとりあえず一番知りたいことを問いかける。
「はぁまじでうざい。私は女神でここは天界、あなたは死んだの。だから異世界に転生して魔王を倒せって言ってんの?わかるー?」
やはりここは天界でこいつは女神かそれにしても女神ムカつくな、死んでしまったのは仕方ないとして、中学生のガキみたいな煽りをしてきやがる。
イライラしてきた。自分の煽り耐性のなさに恥ずかしくなるが一度この女神をわからせる必要があるな。女神だからか人間を完全に見下してる。
俺は真の男女平等主義者だ女だって殴るぞ。
全力で走り出すと女神に近づくと顔面目掛けて拳を放つ。
「怒りの拳」
ただの拳を突き出したつまりだったのだが、俺は技?のような物を繰り出した。本能で理解できる。今感じていた、怒りの感情が拳に集中し高威力のパンチとなっている。
しかし、女神は掌で余裕で受け止める。受け止めた反対の手が俺の頬に向かって物凄い勢いで向かってきた。
「その力で世界を救ってこいって言ってんだろー!」
反撃のパンチを喰らう。
「一言もそんなこといってねぇだろ!」
俺の反論は無視されまた呪文を唱え始めると先ほどの魔法陣が浮かび上がる。
「転生したらガイド役がいるはずだから詳しいことはその子から聞いてね。」
「必ずお前を殴ってやるからなぁぁ」
一言吐き捨てると魔法陣と共に天界から姿を消した。
ユウトと女神、義人の復讐の対象が二人に増えたのだった。
「やってみろやクソガキー」
天界に一人残された女神は数秒前まで人間が居た場所に向かって叫ぶ。
彼女は憤怒の女神ネメシスであった。
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