ずっとそばにいて
「自分としては、あらゆるものは、他のあらゆるものと関連していると考え、動いただけのことですが、すべてご要望に応えられたのではと思います。いかがでしょうか」
「そうね。ごめんなさい、フロイド。私の認識不足だったわ。あなたは完璧よ。今日までに一度も失敗はないわ」
「ありがとうございます。お嬢様」
フロイドは本当に得難い人物だわ。このままバトラーを続けて欲しいけど、それは無理だろう。三男だから家を継ぐことはない。だがいずれかは結婚するだろうし……。
「お嬢様」
「何かしら?」
「自分はできればお嬢様のおそばに、これからもお仕えしたいと思っています。お嬢様はやがて王妃になるわけですよね。王妃様の専属バトラーであれば、伯爵家の三男の自分には誉となります。何より、お嬢様のリクエストにあわせ、いろいろ発明するのが楽しいですから」
これはとても嬉しい提案!
でも結婚は……?
「自分は結婚願望が強いわけではないので。むしろ自分の時間をたっぷり持ちたいタイプなのです」
そう言えば仕事が休みの日に何をしているのかと思ったら、絵を描いていると言っていたわ。それになんだかピアノ型の不思議な楽器の図面を描いたりしていたわよね。
「私はできればフロイドにはずっとそばにいて欲しいと思うわ。これからもぜひ、お願いね」
「勿論ですよ、お嬢様」
こうして馬車は王宮に到着した。
翌日。
メレディス王太子の到着にあわせ、とびっきりのドレスに着替えた。
今は初夏なので、涼しい色をチョイス。
白と南国のラグーンを思わせる水色を組み合わせたドレスは、身頃には繊細なレースが重ねられ、さらに沢山のビジューが散りばめられている。
スカートは、波を思わせる水の滴がプリントされ、そこに透け感があり、グリッターの飾られたチュールが重ねられていた。動く度に水面が揺れているように見え、私はとても気に入っている。
夜の晩餐会で髪はアップにするつもりなので、今はハーフアップにして、パールの髪飾りでとめた。昼間なので、チークは本当に淡い桜色をほんのりのせる。唇には小指で薄くシトロンの香油をつけ、潤いと艶やかさを出すようにした。
三年前。
私はまだ十五歳になったばかりだった。
メレディス王太子がグレーマンの残党を追う間、私は王太子妃教育に励み、王族の婚約者に相応しい頭脳と容姿を手に入れたと思う。……とても大変だったけれど!
今は十八歳となり、もうメレディス王太子から見ても“子供”ではないはず。
あの時はとても異性としては見ることができず、彼も私を子供として見ていた。今日の再会で変わるかしら?
ドキドキの再会だった。
国王陛下はメレディス王太子を迎えたい気持ちでいっぱいだった。だが、今日は高等学院の卒業式があり、そこには父兄として、また学院の特別理事として顔を出す必要があったのだ。
よって国王陛下夫妻は、チーティン第二王子の卒業式へ参列で、メレディス王太子を迎えるのは、私と宰相だった。お迎えしたい!という声は多くの貴族から上がったが、それでは収集がつかなくなるし、今晩は晩餐会も予定しているので、そちらでということで収めることになった。
こうして王宮のエントランスで宰相とフロイド、護衛の近衛騎士、使用人などと共に待っていると……。


















