3.最弱スキル
4話目は11月8日午前8時に投稿します。
誕生日は最高に良かった。祖父母や親戚などを集めたので盛大に盛り上がった。プレゼントもたくさんもらい、立派なケーキを食べた。こんな誕生日は転生前の俺だったら絶対にありえないことだった。やはり転生してよかったのかもしれない。
そしてこれから俺は協会へ行く。12歳になったからいよいよスキルを授かる事ができるのだ。俺はあまりの嬉しさにいても立ってもいられなかった。
「父上。早くいきましょうよ!」
「まあまあ、そんなに慌てるな。今から協会へ行くのだから、もう少し我慢しなさい。」
俺、クロム、マリアは、予め呼んでおいた馬車に乗り、協会へ出かけた。
協会に着くと、そこにはスキルを授かりに来た人々の長蛇の列ができていた。皆次々に神殿の中に入っていく。神殿の中にはこの世界の神の像?らしきものがあり、そこの向かって多くの子供が祈っていた。祈りを終えた子どもたちの中には、喜んでいるもの、ショックを受けているもの、何も思っていないもの、色々いた。
なにせこれは自分の人生を決めるようなものだ。貧乏な家でも良いスキルを授かると一発逆転の可能性が生まれる。反対に金持ちの家に生まれたとしても、不遇スキルをもらうとろくな仕事につけなくなる。神は気まぐれなのだ。
そんなこと考えているうちに、自分の番がやってきてしまった。
(頼むから不遇スキルだけはやめてくれ・・・前の人生のように苦しい人生を送りたくないんだ。)
そう思いながら一生懸命祈った。
しかし、その願いは叶わなかった。熱心に祈っていると、急に俺の頭に「創作」の2文字が浮かび上がってきた。おそらくこれが俺がもらったスキルだろうと思った。
この「創作」というスキルがどんな能力を持っているか分からなかったので祈りが終わったあと、クロムとマリアに聞いてみた。
「おお、帰ってきたか。で、どんなスキルをもらったんだ?」
「”創作”というスキルを授かったのですが、どのような能力かわかりますか。父上、母上。」
「俺は知らないな、マリアはどうだ。このスキルについてなにか知ってるか。」
「・・・。」
「どうした。具合でも悪いのか。」
「・・・知ってるわ。”創作”はEランク生活スキル。能力は特になし。”創作”を授かると他の能力はもらえないの。巷では最弱スキルと呼ばれているわ。グレンはなんて運の悪い子なのかしら。あの最弱スキルを引き当ててしまうなんて・・・」
(終わった、俺の人生。クロムとマリアに迷惑をかけないために残りの人生は細々と暮らして行くしかない。)
俺はそう思った。
俺たちは落ち込んだ顔で家に帰り、それぞれ自室に籠もった。
(おいワールドシステム。なんで俺のスキルだけこんな弱いんだよ!普通こういうのって最強スキルを授かるものじゃないのかよ。)
≪私だって神じゃないのでそんなことわかりませんよ。他の人に聞いてください≫
(なんだよ。冷酷なやつだな。)
≪それと私の名前はワールドシステムではなく、ロザリアという名前なので今度からロザリアと読んでください。≫
(お前にちゃんとした名前なんてあったのかよ。じゃあロザリア、”創作”っていうスキルの能力は本当に特にない、なのか?)
≪さあ、私にはそんなことわかりません。しかし普通スキルの能力で特にないなんてないですけどね。≫
(・・・そうか。)
ロザリアが言っていることが本当なら、この創作というスキルは、知られざる能力を持っているはずだ。まだ希望はある。ただEランクスキルだ。あまり期待しないほうが良いだろう。だがないよりはマシだ。俺はそう自分を納得させた。
そしてその日の夜から俺は「創作」の本当の能力を知るために試行錯誤した。