4.二号の過去
「おい、酒をもってこい!」
声を張り上げて、部下にそう命令する。
「はっ、」
部下がそう答える。
この世界は素晴らしいと常々思う、部下は従順、酒はうまいし、俺の地位は高い。みんなから敬われる存在だ。
この世界に不満があるかって? ないない。すべてが俺のためにあるといってもいいぐらいだ。
「エドワード様!登校の時間です。行きましょう。」
「ああ、それより、あの計画は順調か
?」
「はい。予定通り進んでおります。」
「そうか。このまま継続してくれ。」
何もかも上手くいくこの世界。俺には最高の場所だ。
「よし、皆来たな。では作戦を開始する。俺が言ったノルマを今日までに達成できるなら。後は何をやってもいい。ああ、殺すのはなしな。」
「承知いたしました。」
「それと細かい作戦は自分たちで決めていいから。決して全員で行動しなくていいからな。」
「わかりました。」
「じゃあ俺はこの辺で…」
そう言って俺は校門から離れた。
(おい、ロザリア。あの地下室の丁度上はどのあたりかわかるか。)
(はい、今計測中です。少しの間待っていてください。)
そう、俺が言っていた"仕事"というのは学校が管理している地下室を見つけるというものだ。
地下室には実は金目のものが山程ある。今回はそれらを、見つからないように奪って帰るという任務だ。
(計測の結果、ここから東へ100m、北へ500mです。)
(そうか、分かった。)
まあ、のんびりやるとしよう。
「それで、私達ってどうすればいいんだっけ。」
「お前話聞いてたか?」
1号が呆れた顔で聞いてきた。
「いや、ごめんごめん。頑張って聞いてたつもりなんだけど…。忘れちゃってたよ。」
「お前はニワトリか?もうちょっと頑張れよ。」
「うーん…。まあできる限りやってみるよw」
だらしないやつだ。自分でもよく思う。
でも怠けたくならない?私は怠けたい。できることなら。こんな任務はしたくないのだが、グレン様のご命令だからしかたなくやっている。
2号は青い空を見ながら心のなかでそう言った。
「おーい、どうしたんだ?ぼーっとしてないで早く行くぞ!」
「はーい。」
今は2号と呼ばれているが、元の名は、
セレナ・アンドレス、という名前だった。
私は元々、剣術の名家であるアンドレス家の長女だった。私には妹が二人いて仲が良く、昔からよくあそんでいたのだが、
(我がアンドレス家の跡取りはセレナ・アンドレスにする!)
そう言われた。そしてその後、妹たちの策略により、私はアンドレス家から追い出されてしまった。あのときの妹たちのあざ笑うような顔は今でも忘れない。
私が跡取りになるのが気にいらなかったのだろう。
その後私は森林を一人彷徨い歩き、身体的にも精神的にも限界が近づいていた。その時だった。
誰かが茂みからでてきて私に、近づいてきた。この人気のない森林に人などいるはずがないので、最初は幻覚だろうと思ったが、
(ܠܵܟܵܡܕܦܨܹ̈ܲܡܣܛܚܦ݂ܸܼܵܚܒܙܟܿܟܼ ܐܣ ܨܐ ܐܙ)
なにか、言葉のようなものを喋っているけど…。良くわからない言語だった。
自分のほっぺたをつねってみる。
(痛い!)
どうやら幻覚ではないらしい。
そいつは美しい顔をした、女だった。
そして話し終わると私を突然担ぎ、ジャンプしたと思ったら、別の場所にいたのだ。
(これで七人目か?)
(セレナ・アンドレス、でいいわよね?)
(は、…はい。ていうかなんで私の話している言葉がわかるんですか?)
(ああ、そのことなんだけど…。私の頭を触ってくれないかしら?)
彼女の頭を触った途端、なんということだろうか。様々な種類の言語の知識が頭の中に入ってきたのだ。
(どう?わかったかな、これはスキル、言語理解っていって知らない言葉でも簡単に覚えることができる便利なスキルだよ。)
(成る程、でもなんで私をここに?あとなんで私の名前を知っているんですか。)
(それは今からする話を聞けばわかるよ。)
(みんな良く聞いて!ここに集まってもらったのはわがghostと契約してほしいからだ。君たちは選ばれた。数々の貧しいスキルの使い手の中から選ばれたのだ。)
(選ばれ…た?)
最初は何がなんだかわからなかったが、次第に状況を理解してきた。
どうやら自分も含める貧しいスキルの使い手の中から独断で選ばれたらしい。私の名前を知っていたのは、このghostの組織のボスが私の事を調べていたかららしい。
(君は私達ghostと契約する?)
(…)
(勿論強制はしない。あくまで勧誘に過ぎないからね。勝手につれてきた身だからそこの所は気にしなくていいよ。)
説明が終わると私を助けた女は契約について聞いてきた。私は迷ったが、行く宛もないし給料も良かったので、入ろうと思った。
(入ります。)
(本当?!良かった!じゃあ改めて。私はハンナ。よろしくね。)
そして今に至る。
これでわかっただろう?私が面倒くさいけど仕方なく任務をこなしている理由。
「おーい作戦だけどどうする?」
「じゃあ四人だし二手に別れようか。」
1号が言った。
「そうだな。じゃあ2号は剣術も魔法もスキルも使えないから、私が行くよ
。」
「わかった。じゃあ私達はこっちの方面行くから反対方面はよろしく!」
そういって6号と7号は去っていった。
「私達も行こう!」
私はアンドレス家なので剣術は達人級だが、何故か今は使えない。何故使えないかはわからないが、多分過去のとらうまへの恐怖だと思う。なんとも困った体だ。おまけにスキルも移動系しか使えない。
「あ、あなたたち誰?まさか…不法侵入してテロでも起こそうと…、うぁ!」
「ほー、これがレーザーの力か。あ、記憶が落ちてる!これを書き換えてっと。よし!」
1号は張り切って任務をやっていた。
「こいつは人気のない場所に置いておこう。2号も手伝って!」
「はーい。わかったよ。」
その時だった。黒い影が1号の後ろに急に現れ瞬く間に1号を連れて消えてしまった。
(や、やばい…なんとか…しなきゃ…。)
一瞬の出来事に私は唖然としていた。そして次第に恐怖が込み上げてきた。
あのときのとらうまが蘇ってきたのだ。
(人*´∀`)。*゜+




