2.幸せな生活
3話目は11月7日午前7時に投稿します。
しばらくすると、俺の母親が父親を連れて部屋に入ってきた。
「おー、これは元気な赤ちゃんが生まれたな。ところで名前はどうするんだ。」
俺は転生したからもう重金安弘ではないのだ。どんな名前にするのだろうか。せっかく転生したのだから、漫画などでよくあるような格好いい名前にしてほしいところだがそう上手くは行かないだろう。せめて変な名前にだけはしないでほしい。そう願うしかなかった。
「名前はもう決めてあるわ。この子の名前は、グレン・シャードよ。」
「なかなかいい名前じゃないか。よし、お前の名前はこれからグレン・シャードだ。よろしくな。」
自分の名前はどうなるのかと俺はひやひやしていたが、どうやらそれは杞憂だったようだ。むしろいい名前をもらえてよかった。
≪ワールドシステム作動。重金安弘の名を改めグレン・シャードと言う名になりました・・・≫
それから12年が経ち俺は12歳になった。時間が立つのは早いものだ。この12年の間、この世界の仕組みについて色々調べたのだが。どうやら度々聞こえてきた無機質な声は、ワールドシステムというもので、俺がわからないことを教えてくれたりするものということがわかった。俺が分からなかったときワールドシステムに聞くとすぐに答えてくれるので、何かと便利である。また、父親の名をシャード・クロム、母親の名をシャード・マリアというらしい。
クロムは騎士でマリアは魔法使いだ。どうやら俺は金持ちの家に生まれたらしい。
それとこれはワールドシステムから聞いたのだが、この世界にはスキル、スキル武器というものがあるらしい。
まずスキルとは、その人の能力を示すもので、12歳になり協会に行くことで神からの加護を受け、取得することができるらしい。
スキルにはSランクスキルからEランクスキルがあり、魔物を倒すことによってランクが上がるのではなく最初から決まっているそうだ。要するにEランクになると職業の選択肢が減るなどの弊害があるが、Sランクのスキル取得すればあちこちから引っ張りだこになるということだ。
また、スキルにはランク以外にも 特殊スキル、攻撃スキル、防御スキル、生活スキル、エクストリームスキルの5種類があるそうだ。
まず攻撃スキルは、その名の通り相手に攻撃するための手段である。次に防御スキルはその名の通り相手の攻撃によってダメージを受けないようにするためのアビリティである。生活スキルは戦闘時に使うものではなく、照明をつける、家事で使う水を生み出す、など日々の生活を楽にするものである。最後にエクストリームスキルについてだが、これは相手に大ダメージを与えることができるスキルである。どうやらこのエクストリームスキルと攻撃スキルの数、Sランクの数によってその人への第一印象が変わるらしい。なんとも厳しい世界である。
他にも補助スキルというものがある。これは神の加護を受けなくとも、取得できるスキルである。補助スキルは魔物などを倒すことによって成長するそうだ。
スキル武器についてだがこれは、あるスキルが稀に武器化することがありその武器のことを「スキル武器」と読んでいるらしい。なのでスキル武器は選ばれた人しか持っていないのだ。スキル武器はそのスキルの力を覚醒させるので、スキル武器を取得すると相当強くなる。
長くなったが俺が12年で学んだことはこれだけだ。
そして今日は俺の12歳の誕生日。これから協会に行ってスキルをもらう。ついにこの時が来たので俺は嬉しくてたまらなかった。
「おい、グレン。早くしろ。今日はお前の誕生日なんだから存分に祝ってやらないとな。」
クロムは言った。
なんて幸せな生活なんだろう。俺は思った。