2歳ー5-
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これからも頑張っていきたいと思います。
目が覚めると大きな格子がさらに小さな格子で区切られたような、いわゆる小組格天井がみえた。
「乙姫様!お目覚めになられましたか!?」
横をみると侍女2人が歓喜の表情で私を見ていた。
「北の方様!乙姫様がお目覚めになられました!北の方様ぁぁぁぁ!」
一人の侍女が私の母のところに走っていった。
「私・・・、わたしどのくらいねてたの?」
危ない危ない、今まだ2歳児なのにはきはきしゃべるところだった。
「乙姫様が倒れられて2日経ちました」
先ほどから出ている『乙姫』だがこれは末の娘ということである。私の母は正妻で子供が五人いて、息子が2人、娘が3人いる。息子は1男次男三男の順に太郎次郎三郎となり、娘は長女次女三女の順に大姫中姫乙姫となるらしい。ってか二日?もうちょい起きるの遅かったらこの時代の医学的にヤバかったんじゃね?
「ふつかかんもねてたの・・・」
「薫!薫!目覚めたのですね!!よかった・・・」
どたばたと足音が聞こえたと思うと母が現れ、私の無事を確認するとへなへなと倒れた。私の母は私と同じ黒髪に深紅のバラのような眼の色をした美人さんである。名前は・・・知らない。この乙女ゲームの大まかな内容は菫から聞いていたが主要人物以外の名前など覚えようとも思わなかった。あとで調べよう。てかお母さまの全力ダッシュによりいつもついてくる人たちがいない。まさか道中で置いて行かれたのでは?その服装で走れるとは実は相当なマッチョなんじゃ・・・。
そんな母は私の枕元に座り、私の頭をなでながら安堵の笑みを浮かべた。
「おかあさま・・・しんぱいかけてごめんなさい」
「薫が無事ならばよいのです。ああ…私の大事な子・・・。」
そういって母は私を抱きしめた。
「薫が目覚めたというのは本当か!」
ドタンッバタンッゴンッと先ほどの母と似たような感じで現れたのは父である。てゆうか激しいな、絶対どこかしらぶつけたろ。こちらは少し青みのかかった黒髪に瑠璃のような濃い青の瞳である。名前は六条ナントカだろうに多分。
「おとうさま、わたしはげんきになりました。」
母に抱きしめられた状態のまま言う。
「そうかッ・・・、そうか・・・。」
父は私の顔を覗き込み、安心からか涙目になった。
その後、私は心配性な両親の命により3日間布団から出してもらえなかった。