シロウ
ちま!!
転生から二年が過ぎ六歳になった。
修業は難航し筋肉は増えなかった。
しかし村に新しい住人が増えた。
リュウカイ夫婦とその一人息子で私の二つ下、四歳の長男シロウだ。
シロウは小さくて髪が長かった。
前髪で目がよく見えない、いまいち何を考えているか解らない少年だった。
初対面でも私に良く懐いた。
この村にはあまり子どもがいない。
一番近い年齢でも上に三つは離れていたから、私は弟が出来たようで少し嬉しかった。
前世では余り優しい兄ではなかった。
尊敬はされていかも知れぬ。
故に優しくしてやろうと思った。
前世での行いに悔いはない。
だがそれとこれとは別であろう、うむ。
なので童心にかえってよく近所の子どもを交えて仲良く遊びに付き合った。
子どもの付き合いもせねばならぬ。
でなくば、両親も心配するのでな。
大人の配慮という奴だ。
ちなみにかけっこは私が村で一番早い。
さて事件が起きたのはかの家族が来て一週間ほどたった時に開かれた歓迎のささやかな宴の席でだった。
不意の事だった。
私はシロウにキスをされた。
頬やデコなら許してやる。だが違った。
彼は唇に軽くキスをした。
己れ小わっぱ!! 乙女の唇に何をするか!!。
一瞬の硬直から、回復し不埒者を奥義を持って滅殺せんと構えようとしたが、
何故か出たのは平手打ちだった。
これにはたまげた。まるでおなごの様ではないか!!。だが、それ以上に驚愕したのは自身のその後の行動だ。
泣いて自室に逃げて籠ったのである。
この修羅王が!! バカな!!
意識としては大人の男、修羅王だが、本能、感情の部分は修羅王より肉体に長く繋がっていたユリナの方が強いらしい。
二、三日ショックで自室で塞いだ。
だが、これではいけないと、奴に復讐するため自室で型稽古を再開した。
そんな折。
花が届いた。花屋で買う花束のような上等なものではない。どこぞの原っぱで取ってきた雑草だ。
端的に言ってゴミであろう。
ママは、母上は玄関に置いてあったと、持ってきたそれを己は間髪入れずに捨てた。
しかし、次の日も、また次の日も、また次の日もそれは届いた。
やがてなぜか私はそれを花瓶に活けはじめた。
一週間経って私は外出する事にした。
悪戯小僧に文句を言うために。
せめて、多少面白いとこまで進めたかったですとばい。
そしてあっさり成長。
いやね、相方を二歳年下にしたら相手が二歳になって、あ、話にならねときがついたのですよ、ははは。
最初からそうしとけよ!!
と書いた当時の自分に文句を行ってきます(机の引き出し開けながら)