プロポーズ
この物語は全て創作であり、モデルはありません。
『織子、このままだと会社にも出勤し辛いだろ?実はお願いがあるんだ』
あれから特別な進展も無く、いつものように仕事と陰口で、ボロボロになって帰って来た織子が明のマンションのリビングでぼんやりコーヒーを飲んでいると、明が話かけて来た。
へえ、この男にもこんな口、聞けるのか....自分の事しか考えて無さそうだけど。
明は会社を独立するから、付いて来て欲しい事、織子にその気持ちがあるんだったら何れ結婚して欲しい事などをどっうて事無いように話出した。
織子はまた驚いた。
仕事の事は前からお世話になった先輩と一緒にやっていきたいと言っていたので、時期が来たのだなと思った。
『先輩の奥さんにも手伝ってもらうって言うし。で、織子って何でも出来るじゃん。書類作りから取材から営業から、webの知識もあるし、簡単なHPの修正とか』
確かに。
仕事、雑用、ど根性。それだけはその辺の美人に負けないかも。
『仕事はいいとして、なんで結婚?付き合ってもいないのに?』
織子は嬉しいを通り越して、多少怯えながら構えた。
『え?今だって同棲してるよね、俺と織子?』
ど、ど、同棲?
これが同棲?
織子は青ざめてwebで同棲の言葉を調べて見る。
“つまり一般的な言葉で表現すると同棲とは、結婚をしていない男女が生活を共にするということでしょうか。”
そっかそっか。
世間一般、Yahoo!で調べた言葉によると私と明は、同棲してるって事になるのか。
もう、何でもいいや。
織子は次第に考える事が面倒くさくなって来ていた。
一時期は明が自分をどうしたいのか考え過ぎて、かと言って話し合う気力もなく、それによって明と言う指針を失いたく無かったからなのだが。
明が結婚しよって言うんだからもう、それでいいや。
私を愛してるのか、他の女より大切に思っているのか、いつから自分を女として見て愛してくれていたのか、これからも愛し続けてくれるのか....
独身の女性は、そんな会話を恋人と話したい、語り合いたいんじゃ無いだろうか?
しかし、幼いのか、純粋なのか、博愛なのか、仲間愛有りきなのか、正体不明の明は織子を側に置いただけで、いきなり結婚しようと言う。
いや、確かに、年がら年中ソフトキスはされる。もうお約束、愛犬や愛猫にする感じ。
リビングで酔っぱらって、2人でぐぅすか寝てる。もう熟年の夫婦って感じ。
織子はまだ其処まで出来ないが、織子の残したラーメンを取り返してズルズルと明は食べ出す。もう、色気も何も通り越してるって感じ。
織子ももう、明からキツく捨てられない限り、離れられまい。このマンションから出て行くのも大義だ。
食費だけ払って置いて貰ってるし。その分、家事は全て織子がやるが、もともと得意分野だ。子供のいない2人分の家事など楽勝だ。
でも、明は私を家政婦として結婚するのだろうか?それともちゃんと女として愛してくれるのだろうか?
私を1人の女として抱いてくれるのだろうか?
一緒のマンションに暮らし始めたと思ったら明からのプロポーズ!まぁ順調な流れではありますかね?