過去
この物語は全て創作です。モデルはありません。
明は派手な外見に反して、部屋に閉じこもって、過ごすのが大好きだった。
なので、決まった女のが居ない時の週末金曜の夜から、必ず、織子を部屋に呼んだ。
最も彼女がいても、明は気分で織子を呼びつけていたが。
織子も今でこそ明の部屋に呼ばれる事に驚かなかったが、最初は本当似に驚き、戸惑い、悩み、明の自分へのいたずら心に結構傷ついた。
いや、逆に喜びの妄想もした。
もしかして、やっぱり明は、みんなが噂してる通り、織子が本命の女で、逃げない織子がいるから安心して遊んでいるんだろうか?....とか。
つまり明は私にぞっこんって事だよね?
確かにそれは、人様から見たら、そう言う事になるのだろうか?
糟糠之妻を上手く丸め込み、外でたくさんの愛人達と遊びまわるモテモテの夫。
まぁ、そんな感じだろうか?
しかし、実の所、明の本心は織子にも掴めなかった。
何故なら、確かに金、土、日と一緒に明のマンションで過ごしても、色っぽい事は殆ど無かったからだ。
そう、仲の良い兄妹で、DVD鑑賞、スマホゲーム、飲み食い、サッカー鑑賞、山積みにしたレンタルマンガをひたすら読む....
まさにそんな感じだった。
食事は勿論、織子が作る。
買い出しは明が面倒くさそうに愛車のアウディを出す。
織子は車の助手席から降りたところや、一緒に買い出ししてるところを何回も会社の連中に見られて、散々陰口を叩かれていた。
悪口を総合すると、織子みたいな不細工が明みたいなイケメンの本物の彼女になれるはず無いのに、自分の立場もわきまえない、とんでもない勘違い野郎ってとこだろうか?
勿論、明が織子に甘々だから仕方無いんだろう、しかし利口な女なら明の為を思い、明から身を引く筈だろう....っと。
世間から見て、明と織子は何年経っても身体の関係は無く、ただ寝泊まりしたり、一緒にいるだけだなとど、信じてくれるお人好しは誰1人居なかった。
当然であろう。
明と織子を知る周りの人間は全て、明は女がいても織子をキープしてるゲス野郎、織子は彼女がいても男から離れない二番目女....と蔑んでおり、誰もが明と織子は出来てると思っていた。
一度、織子は会社の人の完全な嫌がらせで、何日も苦労して作った資料をシュレッダーにかけられてしまった事があった。
その時は、いつも笑ってヘラヘラみんなの機嫌を取ってるさすがの織子もキレた。
意地悪の根底にあるのはイケメン明といつも一緒にいるブスな織子への嫉妬なのだ。
織子は珍しく闘志が湧いた。
なので、いつもの週末に別れ間際に、今やすっかりお約束となったお休みのソフトキスをして来た明に迫った。
『ね、私と明の事、会社の人達がなんて噂してるか知ってるでしょ?どうせなら噂、本物にしちゃわない?』と。
すると明のセリフがふるっていた。
『だって、織子と結婚するって決まった訳じゃ無いのに、織子に手出し出来ないじゃないかぁ。』
『じゃ、毎回のこのキスも辞めてよ。私、バカだから勘違いしちゃうじゃないの』
『え?アメリカ人なんてみんなキスしてるじゃないかぁ!
それに織子が嫌なら俺も誘わないよ?誰か好きな男出来たらいつでも遠慮するなよ?』
ダメだこりゃ....
この男は幼すぎて、いや純粋過ぎるのか?物事の根本が分かっていない。
織子は、出来るかどうか分からなかったが、明から離れる努力を始めた。
つまり、他の男と付き合ってみようと思ったのだ。
織子は不細工であったが、男との体験が一度だけあった。
隣に住んでいた金持ち息子の家庭教師を頼まれてやった事があった。織子は勉強は普通に出来て、しかも教え方が美味かった。
そのコは、中2で、当時織子は高3。
2人きりで勉強部屋においても、まさかド地味な織子に息子が発情するなんて思いもしなかった息子の両親は安心して織子に息子を預けて、良く出かけたものだ。
そのコは、親の期待と締め付けが厳しくて、萎縮して育った。
なので、織子の太った身体と優しさに妙な安らぎを覚えたらしい。
そのコはなかなかの美少年だった。初めてそのコから織子に初体験の相手になってくれと言われた時、織子は腰を抜かしそうになった。
織子も勿論初めてなのだ、だから無理だと言うと、じゃ、いろいろ研究して見ない?と言われた。
女子高生だった織子も好奇心いっぱいで、信じている両家の親には悪いとは思ったのだか、その後、何回かお互いの練習台になった。
今の明との関係と、どこか共通するわ....なんて思い出しながら、とにかく!この際、明のような疑似恋愛では無く、家庭教師の生徒のような好奇心でなく、ちゃんとしたり大人と付き合おうと思った。
これからは明に振り回されないよう、私も彼氏を見つけるのだ!
少しばかり遅い決心ではあったが、織子は前に進む事にした。
織子の過去。どうやら幼い男が寄って来るんだね?




