非難の矛先
この物語は全て創作です。モデルはありません。
『織子、ハワイに行きたかったんだろ。2人で最高の思い出作ってこよ!』
織子は明にハワイに行きたいなどと言った覚えは無い。
が、織子が前彼の民生とハワイに行く直前で阻止したので、幾分、罪悪感があるのだろうか?
織子は今更ハワイなど行きたくなかった。いや、ハワイには行きたいが、民生と行くはずだったハワイに明と行くのも、少し気が引けた。
織子が素直に心中を話すと、
『織子、気にし過ぎぎ。じゃ、別れたカップルはこれからディズニーランドは誰とも行けない訳?』
と、先週も2人でディズニーシーで買って来たばかりの帽子を被りながらヘラヘラと言う。
その時も何故か、あちこちで社内の連中に目撃され、つまらないインスタ画像が、社内の身内で出回った。
織子と明が正式に同棲している(織子に言わせるとただの同居)を社内で知らない者は無い。
少し前までは織子に厳しい批判と中傷が向けられていたが、結局別れないとなると、今度はその矛先は明に向けられ始めた。
●Aって、やっぱりただのバカだったんじゃん?
●思った思った。だって、実家、成城だよね?おボンボンでしょ?
何が悲しくてわざわざあいつ?
●マザコンと違うの?
●ま、デブも仕事はできるわな。早いし文句いわないし、段取り良いし。
●Aって、苦労無し過ぎて、変態チックな趣味あるんだろな。ほら美人はひっかえとっかえだったでしょ?
●誰と付き合っても、あいつの事離さなかったってさ。普通の女は嫌がるでしょ?
●でもさ、Aの幸せ考えて身を引いたりしないのかな。
●だって、自分だって思って見て。あの社内のスター、Aだよ?誰だって離れないって。
●つうかAが夢中なんだってば、絶対。だから離さなかったつうか側に置いとくんでしょうが。
●何かメリットあるのかな?
●いや、仕事出来るし、逆らわそうだし、便利なんじゃん?
●あいつ料理も上手いし。ほらこの前のお花見の時。豪華弁当、男共大喜びしてたよね?
●確かに。Aの女だって話だからみんなしてドン引きしてるけど、あいつだけ見たら結構いいやつじゃね?
●思う。
●でも、あの容姿が駄目。いやAの相手じゃなきゃここまで嫌悪感無いんだけどさ。
●そうそう。生理的に無理。
●まあまぁ。そんな女を何年間も離さないで、一緒に暮らし始めたのが他でも無いAなんだから。
●顔の良い男って、結局とマザコンしかいないって事だよね?
●アーア!
織子はつくづくバカバカしくなった。
何でもいいからハワイに行って来よう。後はどうなったって知るもんか。
ハワイから帰って来てから冷静に考えてみよう。これからの明との事を。
暮らし始めただけで、キスしてるだけで、まだ明の正式な女になった訳では無いのだ。
またまだ何かと結論出すのは間に合うはずだ。
社内の非難は織子から明に向き始めます。みんな意外なカップルが結局別れないから嫉妬してるだけです!さて、こらから織子は明とどうなって行く?